
金製品には通常、純度を示す刻印が入っていますが、中には刻印がまったくないものもあります。「刻印がない=偽物?」と不安になる人もいるのではないでしょうか。
本記事では、刻印なしの金が存在する理由をわかりやすく解説!自宅でできる見分け方や、刻印なしでも売れるケースについても紹介します。
「刻印がないから売れないかも…」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
目次
金の刻印とは?意味と役割をおさらい
正規品のジュエリーや金製品には、通常、品質を示す刻印が入っています。刻印には以下のような複数の役割があり、金の価値を担保するうえで重要な情報だといえるでしょう。
金製品に入っている刻印の役割
・純度や素材情報の表示
・品質の保証
・信用の証明
ただし、金の刻印といってもすべてが共通の印で刻まれているわけではありません。国やブランドによって表記方法やマークの種類が異なります。代表的な刻印の種類は以下のとおりです。
種類 | 概要 | 例 |
純度表示 | 金の含有率を示す刻印で、国際的にジュエリーに広く使用される | 海外:K24・K22・K18/日本:24K・22K・18Kなど |
ホールマーク | 各国の金製品における品質保証マークで、国ごとに図柄が異なる | 日の丸国旗+ひし形のなかに数字 |
メーカーズマーク | 製造元やブランドを示すマーク | 「Ambrose」「Queen」など |
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日本の金製品には「ホールマーク(品位証明)」と呼ばれる刻印があり、これは造幣局が定めた基準に沿って付けられます。
この表示は「K18」などのカラット表記ではなく、「750」「999」といった数字で純度を表すのが特徴です。
実はこの基準はイギリスの制度を参考にしており、イギリス製品やティファニーなど海外ブランドのジュエリーでも同じような刻印を見ることができます。
造幣局の品位証明区分とカラット表示の早見表は以下のとおりです。
造幣局で行っている金製品の品位証明区分 | カラット表示 | 純度 |
999 | K24 | ほぼ100% |
916 | K22 | 約91.7% |
750 | K18 | 約75% |
585 | K14 | 約58.5% |
416 | K10 | 約41.7% |
375 | K9 | 約37.5% |
※出典:造幣局「貴金属製品の品位区分と証明記号」
金の刻印の意味についてより深く知りたい人は、以下の記事もあわせてチェックしてみてください。
>>刻印の意味を解説!「K24」「K18」「K14」の違いとは?
刻印なしの金があるのはなぜ?5つのパターンを紹介
金製品には通常、純度を示す刻印が入っていますが、なかには刻印が見当たらないものもあります。
「刻印がない=偽物?」と不安になる人も多いですが、必ずしもそうとは限りません。
ここでは、刻印がない金が存在する5つの代表的なケースを紹介します。
パターン①海外製は刻印なしで流通することがある
金の刻印は、法律で義務づけられているわけではなく、基本的には製造者が任意で刻印します。そのため国や地域によっては刻印の基準が統一されておらず、刻印がないまま流通することも。
とくにアジアや中東では、純度表示やホールマークの打刻を義務化していない国も多く、日本に輸入された段階でも刻印が付いていないことがあります。
パターン②ヴィンテージまたは古いジュエリー
ヴィンテージ品やアンティーク品など古い時代の金製品は、現在のような刻印システムが整う前に製造されたものが多くあります。古い時代の金製品は職人の手作業で作られ、金の品質確認も現代ほど厳しくはなかったため、刻印が省略されているケースも多いです。
国内のジュエリーでも戦前〜昭和初期に製造されたものは、刻印がない可能性が高いです。そのため、古い時代の金製品の価値は刻印の有無には左右されない可能性が高く、買取の査定時にも大きな影響はないといえます。
パターン③ピアスや指輪など小さくて刻印が打てない
ピアスや繊細なデザインの指輪など小さな金製品は、刻印を打つスペースが限られていることも珍しくありません。無理に刻印を入れると金が変形したり強度が落ちる恐れがあるため、小さな金製品はあえて刻印を省くことがあります。
刻印がなくても、アクセサリーやジュエリーには付属の証明書が付いているため、証明書さえ提示できれば、品質を証明することが可能です。
とはいえ、ピアスのキャッチ部分など、目立たない場所に小さく刻まれているケースもあります。購入時や売却前には、製品全体をよく確認しましょう。
パターン④長年の使用で刻印が摩耗して消えた
金は金属の中では比較的柔らかい素材のため、長年の使用や摩擦によって刻印部分が少しずつ摩耗し、刻印が見えなくなることがあります。とくに指輪やブレスレットなど日常的に身につけるものは、手や衣服との接触で刻印が消えやすい傾向にあります。
「前は刻印があったのに使っているうちに薄れて読めなくなった」というケースも往々にしてあるのです。
パターン⑤工房製・手作りの金製品
個人が運営している工房では、刻印を入れる工程や専用機材が整っていない場合があります。そのため、工房製や手作りの金製品には刻印がないケースが多いです。
とくにオーダーメイド品や一点物では、強度を優先して刻印を省くことも珍しくありません。また、デザイン性を優先して打刻しない方針の工房もあるため、「無刻印=粗悪品」と決めつけるのではなく、ほかの方法できちんと見極めることが大切です。
【自宅でできる簡易チェック】刻印がない金を見分ける5つの方法
金はほかの金属にはない特有の性質を持つため、自宅でも簡単なチェックで本物かどうかを見極めることができます。
ここでは、手軽に試せる金製品のチェック方法を5つ紹介します。
磁石にくっつくかを確かめる
純金や高純度の金は磁石に反応しません。そのため、金製品に磁石を近づけて、磁力を感じない、つかない場合は金である可能性が高いです。
反対に、金製品に磁石を近づけて、磁力を感じたり、つく場合は、金メッキ製品だといえるでしょう。鉄・ニッケル・コバルトなどを含む金メッキ製品は、磁石に引き寄せられる場合があります。
ただし、金を主成分とする金合金は磁石につく可能性があり、いっぽうで、金メッキ品や一部の合金の中には、磁力が弱いものやないものもあります。そのため、必ずしも確実に確かめられるわけではない点に気を付けましょう。
表面に剥がれがないかを確認
金は酸化や変色に強く、長期間使用していてもコーティングの剥がれが起きにくい金属です。
金メッキの場合、長期間使用していると摩耗や傷によって地金(別の金属)が見えることが多いです。色ムラや、端に銀色っぽい地金が見える場合は金メッキの可能性が高いといえます。
「チェーンの留め具」や「角」「縁」部分は剥がれやすいので、入念にチェックしてみましょう。
ただし、金の耐久度を上げる目的で、ほかの金属を混ぜ合わせた金合金の場合、混ぜられている金属によっては黒く変色することもあります。
手に取ったときの温もりで確認
金は熱伝導率が高い金属です。手に取ると体温が早く広がり、すぐに温もりを感じられる特徴があります。そのため、手に取ったときにすぐに体温になじんで温かく感じやすい金属は、金である可能性が高いです。
いっぽう、なかなか体温が伝わらず冷たい時間が長い場合は、金メッキやほかの金属である場合が考えられます。
ただし、周囲の温度や製品の厚み、表面加工によって感覚が変わることもあるうえ、どうしても感覚的な判断になってしまいがちです。あくまで目安として、ほかの方法と組み合わせて確認することをおすすめします。
試金石を使う
試金石とは、金など金属の品質(純度)を調べるための、黒色の石です。製品をこすりつけ、条痕によって品質などを鑑定します。
インターネットで「試金石+試薬セット」と検索すると、セット商品などが販売されているため、自宅でも試金石で調べることが可能です。
試金石を使用した、金の見分け方は以下のとおりです。
2.専用試薬を垂らす
3.酸との反応を見て真贋を推測する
ただし、試金石を使うと製品を傷つけるおそれがあります。また、薬品の扱いや判定の難しさ、メッキとの見分けミスのリスクがあるため、初心者が正確に判断するのは難しいです。実践する場合は説明書をよく読み、手順や判別サインをきちんと理解して、あくまで目安に留めるとよいでしょう。
水に沈める
金は密度(比重)が高いため、水に入れると沈む特徴があります。この特徴を活かして、金製品を水に沈めることで、本物かどうか判別することも可能です。
純金や高純度の金であれば水にすぐに沈みますが、金メッキ製の軽いアクセサリーはゆっくり沈む、もしくは浮かぶことがあります。
ただし、小さい金製品や中が空洞のものは沈む速度が変わることも多いため、「沈む製品=金」と断定はできない点には注意が必要です。水に沈める方法を試す際には、ほかのテストとあわせて実施し、あくまでも目安のひとつとして捉えておきましょう。
刻印なしの金は売れる?売れない?
刻印が入っていない金製品でも、基本的には売却は可能です。
ただし、刻印がない金は真贋の判断が難しいため、買取業者によっては対応が異なります。査定を断られることや、刻印ありの製品よりも査定額が低くなることもあるため注意が必要です。
信頼できる買取業者であれば、刻印がなくても純度を確認・検査したうえで適正な価格で買い取ってもらえます。金であることが証明できれば、刻印ありの製品と同等の価格になるケースも多いです。
反対に、検査体制が整っていない業者では、刻印がないという理由だけで買取を断られたり、不当に安い査定をされる可能性もあります。複数の業者で査定を比較する、実績のある専門店を選ぶといった対策が大切です。
ブラリバでは、金の知見が豊富な査定士が在籍しており、刻印の有無にかかわらず一つひとつ丁寧に確認して査定します。「刻印がないから売れないかも…」と不安な人も、まずはお気軽にご相談ください。
金・貴金属の買取相場を知りたい人はこちらのページをチェックしてみてください。
>>【随時更新】金・貴金属の参考買取相場
刻印なしの金でもまずは確認を!
金に刻印がないものは、海外製やヴィンテージ品だから、といったさまざまな理由があります。
大切なのは、「刻印がない=偽物」と決めつけず、正しい方法で確認することです。紹介した見分け方や基礎知識を参考に、お手持ちの金製品をチェックしてみてください。
売却する際は、信頼できる買取店に相談すると安心です。納得のいく形で売却できるよう、じっくり確認してから行動しましょう。