
金価格が歴史的な高水準で推移している昨今。「金を今買うべきか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか?
しかし、金価格は為替や金利、インフレ、世界情勢といった複数の要因が絡み合っていることから、単純に価格の高低だけで買い時を見極めるのは難しいもの。
そこでこの記事では、金を買うタイミングの考え方や初心者でも判断しやすい確認ポイントを解説します!また、金を買った後の売り時・注意点についても紹介。金の投資に興味のある方はぜひ参考にしてください。
※本記事は価格動向の整理と判断材料の提示を目的としたものであり、特定の売買行動を推奨するものではありません。
※本記事に掲載している価格は2026年1月時点の田中貴金属の公式サイトをもとにしています。
目次
金は今買うべきか?投資目的別の金を買うベストタイミング!

金を買うタイミングは、価格水準だけで判断するものではなく、投資の目的によって考え方が大きく変わります。以下では、代表的な3つの投資目的ごとに、金を買うタイミングの考え方をまとめました。
| 投資目的 | タイミングの考え方 | 重視するポイント |
|---|---|---|
| 長期保有 | 価格の上下に過度に反応せず、欲しいと感じたタイミングで少しずつ購入。安値狙いより時間分散を重視 | 長期で価値が維持されやすい点、積立による価格変動リスクの軽減 |
| 短期売買 | 有事や金融政策など、相場が動く前兆を意識。急騰局面での飛び乗りは避ける | 金利・為替・地政学リスクなど相場材料、高値掴み回避 |
| 資産分散 | 最適な底値を待たず、計画的に組み入れる。保有すること自体を重視 | ポートフォリオ全体の分散効果、積立によるリスク分散 |
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※あくまで一般的な考え方であり、相場状況や個人のリスク許容度によって判断は異なります
ここからは投資目的別の買うタイミングについて、詳しく説明していきます。
長期保有前提なら“欲しい”と思ったとき
長期保有を前提とする場合は、短期的な価格変動に過度に振り回される必要はありません。
金は長期的には価値を保ちやすい資産とされており、「どれだけの期間保有するか」に重きを置くことが重要です。そのため、長期目線で考えるなら「欲しいと思ったとき」をひとつの判断基準にしても問題ありません。
目先の値動きを気にしすぎると判断が遅れやすく、結果的に行動できなくなるケースもあります。純金積立のように定期的に購入する方法を選べば、買うタイミングを細かく見極める負担を軽減しやすく、取得価格の平準化にもつながります。
底値を正確に狙うことは難しいため、定期的に少しずつ保有を積み上げていく考え方が現実的といえるでしょう。
短期売買なら有事が発生する前
短期売買を目的とする場合、金を買うタイミングの重要性は高まります。金価格は為替や金利、世界情勢といった材料が短期間で反映されやすく、急騰・急落が起こりやすいのが特徴です。
有事が意識される局面では価格が上昇しやすいですが、急騰中は判断が難しく、高値掴みのリスクも高まります。そのため、有事が発生する前のタイミングを狙いたいところ。
2026年1月、アメリカの外交政策による国際情勢・経済の緊張など、不安定な世界情勢が続きました。これら複数の要因で金価格は上昇し、同年1月時点、1グラムあたり27,000円前後で推移しています。
いっぽうで、米国の利上げ局面では金利上昇が金価格の逆風となり、価格が一時的に下落するケースも見られます。下落局面を狙う考え方もありますが、相場を読み違えると損失につながる可能性も。そのため、短期売買は価格変動リスクを許容できる人向けの選択肢といえるでしょう。
上昇局面では一時的に価格が下がったタイミングを待ち、押し目買いの判断をすることが大切です。
出典:貴金属価格情報|田中貴金属
資産分散・リスクヘッジ目的なら買いたいとき
資産分散やリスクヘッジを目的に金を保有する場合、「買うタイミング」よりも「持つこと自体」に意味があります。そのため、自分の買いたいタイミングで買っても問題ありません。
金は株式や債券とは異なる値動きをしやすく、ポートフォリオ全体の安定性を高める役割を担います。そのため、相場環境が比較的安定している平時から、全資産の一部として少しずつ組み入れる考え方が現実的です。
また、定期的に購入するなど、購入時期を分散させることで価格変動リスクも抑えやすくなります。
金価格はなぜ動く?金を買うタイミングに影響する主な要因

金価格は需給だけで決まるものではなく、為替や金利、景気動向、国際情勢といった複数の要因が重なり合って変動しています。ここでは、以下の要因についてそれぞれ解説していきます。
- 為替レート(円高・円安)
- 政策金利・金融政策
- 景気動向
- 世界情勢・地政学リスク
為替レート(円高・円安)
金は国際的に米ドル建てで取引されているため、為替レートの影響を強く受けます。
円安が進行すると、ドル建ての金価格が大きく変わらなくても、円換算の金価格は上昇しやすくなります。反対に、円高局面では国内の金価格が下落しやすい傾向があるのです。
国内での金価格は、「金そのものの値動き」と「為替変動」というふたつの要素が重なって決まる点が重要です。
近年、国内金価格が高水準で推移している背景には、金相場だけでなく円安の影響もあります。そのため、金を買うタイミングを考える際には、金価格のチャートだけで判断せず、ドル円(USD/JPY)相場の動きもあわせて確認することが欠かせません。
【まとめ】為替レートによる金価格への影響
- 円安が進行→国内の金価格が上昇傾向
- 円高が進行→国内の金価格が下落傾向
政策金利・金融政策
金は利息や配当を生まない資産ですが、相対的に政策金利の動向に影響を受ける側面があります。
金利が引き上げられる局面では、債券や預金など利回りのある資産が選ばれやすくなり、金価格は伸びにくくなる傾向があります。
低金利政策や金融緩和が進む局面では、利息を生まない金の不利さが薄れ、相対的な魅力が高まりやすく、金価格が上昇しやすくなるのです。とくにアメリカの金融政策は世界の市場に与える影響が大きく、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ・利下げ方針は金価格にも反映されやすい点に注意が必要です。
金を買うタイミングを考える際は、現在の金利水準だけでなく、今後どの方向に政策が動きそうかという流れまで含めて確認しておくことが重要です。
【まとめ】政策金利・金融政策による金価格への影響
- 利上げ局面:金投資への魅力が相対的に下がる→金価格が下落
- 利下げ局面:金投資への魅力が相対的に上がる→金価格が上昇
景気動向
金価格は、景気の拡大・後退とそれに伴うインフレや金利動向の影響を受けます。
景気拡大局面では、経済活動の活発化によりインフレ懸念が高まりやすく、現金価値の目減りを避ける目的で金が選ばれ、価格が上昇しやすくなります。
いっぽう、景気後退局面では、株式などのリスク資産が売られやすくなり、資産防衛の手段として金が選ばれる傾向があります。
ただし、金融引き締めによって実質金利が上昇する局面では、利息を生まない金は相対的に不利となり、価格が伸びにくい点には注意が必要です。
【まとめ】景気動向による金価格への影響
- 景気拡大局面:インフレ懸念が金価格を押し上げやすい
- 景気後退局面:リスク回避で金が買われやすい
- 実質金利上昇局面:上値が抑えられる場合がある
世界情勢・地政学リスク
金は、戦争や国際紛争、金融不安など、先行き不透明感が急激に高まる局面で買われやすい資産です。
地政学リスクが高まると、株式や通貨から資金が逃避し、国や企業の信用リスクを受けにくい金へ資金が流入する傾向があります。こうした動きは、景気動向とは無関係に短期間で起こる点が特徴です。
また、金融危機や政治不安などにより為替市場が不安定になる局面でも、価値保存を目的として金が選ばれるケースがあります。
【まとめ】世界情勢・地政学リスクによる金価格への影響
- 戦争・紛争・金融不安時に金が買われやすい
- 景気動向とは関係なく、短期的な価格上昇を招くことがある
金を買うときに確認する5つのチェックポイント

金の買い時は、ひとつの指標だけで判断できるものではありません。為替や金利、インフレ、世界情勢、チャートといった複数の材料をあわせて確認すると、相場全体の流れを把握しやすくなります。
こうした視点は、短期的な売買判断だけでなく、長期保有を前提とした判断にも役立ちます。
ドル円(為替)を確認するにはチャートを見る
金を買う前に、ドル円(USD/JPY)チャートを確認して為替の動きを把握しましょう。国内の金価格は、国際的な金価格にドル円相場を反映して決まるため、為替の影響を大きく受けます。
ドル円が右肩上がりであれば円安方向、右肩下がりであれば円高方向と判断できます。「1ドル=◯円」という水準が直近で上昇しているのか、横ばいで推移しているのかをチェックしましょう。
急激な円安が進んでいる局面では、金価格が為替要因によって押し上げられている可能性があるため注意が必要です。金価格のチャートとドル円チャートを並べて確認すると、価格変動に対する為替の影響がどの程度大きいのかを判断しやすくなります。
金利動向を確認する
金を買う前に、直近で大きな金利変更や金融政策の発表があったか、もしくは予定されているかを確認しましょう。
日銀の金融政策決定会合や連邦公開市場委員会(FOMC)などで利上げ・利下げが行われた直後は、市場が一時的に不安定になりやすく、価格が大きく動く場合があります。
金は利息を生まない資産であるため、利上げ局面では相対的な魅力が低下し、価格が伸び悩む傾向があるのです。反対に、利下げ観測や長期金利の低下局面では金が選好されやすく、価格を下支えする要因になります。
日本の金融政策だけでなく、世界の市場に影響を与えるアメリカの金融政策動向もあわせて確認し、金利が今後どの方向に動きそうかという市場の見方をチェックすることが欠かせません。なお、「政策イベント直後かどうか」もチェックポイントです。
連邦公開市場委員会(FOMC):アメリカの金融政策を決定する会合。
消費者物価指数でインフレ率を確認する
金を買う前に、足元のインフレ率が上昇傾向にあるかを確認しましょう。
総務省の発表している消費者物価指数(CPI)などの指標に注目すると、インフレ率の動向などを把握することができます。
出典:2020年基準 消費者物価指数 全国2025年(令和7年)11月分|総務省
CPIが上がっているということは、物価が上昇している=インフレが進行していることを示します。
インフレ率が落ち着き始めている局面では、金価格の動きが鈍くなる場合もあります。現在の数値のみで判断せず、今後のインフレ見通しがどのように語られているかを確認し、「物価上昇が意識されている局面かどうか」を判断材料のひとつとして捉えることが大切です。
世界情勢・有事ニュースを確認する
緊張が高まる報道が出ているときは、NY金先物価格やドル円レートに変動が起きているかを同時に確認してください。
「ニュースの量が増えているだけなのか」「相場が動いているのか」を見極めることが重要です。戦争など有事による金価格の上昇が、一時的な動きにとどまるケースもあります。
停戦や緊張緩和の報道ひとつで急落に転じる可能性があるため、世界のニュースにも目を向けておきましょう。加えて、「ニュースと相場の反応が一致しているか」をチェックすると、金価格の動向をつかみやすくなります。
チャートで価格と指標を確認する
金を買う前には、直近の金価格チャートを確認し、上昇・下落の流れを把握しておきましょう。
金価格チャートは、貴金属メーカーや証券会社などのサイトでチェックできます。直近の高値や安値、移動平均線などを目安にすると、現在の価格水準がどの位置にあるのかを確認しやすくなります。
とくに、急騰や急落の直後は価格が不安定になりやすく、勢いだけで判断するとリスクが高まります。短期的な値動きに過度に反応せず、全体の流れを見る姿勢が重要です。
こうしたチャートの確認は、為替や金利、インフレ、世界情勢といったほかの要因と合わせて行い、「今は買うタイミングかどうか」を総合的に判断する材料として活用しましょう。
金を買うならどこがいい?

金を買うなら、目的や購入方法に合った信頼できる購入先を選ぶことが重要です。購入先によって特徴や注意点が異なるため、事前に違いを把握しておきましょう。
| 購入先 | 特徴 |
|---|---|
| 地金商・貴金属メーカー | ・おもにインゴットが購入可能 ・純金積立も可能で、現物との交換も可能 ・大手地金商は、全国に店舗を持ち品質保証された金を扱っている |
| 宝飾店・貴金属店 | ・おもにジュエリーやアクセサリーが購入できる ・ブランドやモデルなどによっては価格が大きく変わる |
| 証券会社 | ・金関連の金融商品が購入できる ・一部のインターネット証券では純金積立ができる。現物の受け取りも可能 |
このように、金の購入先は、現物(インゴットやジュエリーなど)か、金融資産かによって選択肢が変わります。そのため、自分の投資目的や管理方法に合った購入先を選ぶことが大切です。
金をどこで買えばよいのか、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。
>>金を買うならどこ?初心者向け購入方法を解説!
金を買うタイミングと合わせて考えたい売却のコツ

金への投資を考える際は、「いつ買うか」だけでなく、「いつ売るか」まで含めて考えておくことが重要です。
金を買う段階から出口となる売却の考え方を意識しておくことで、結果として落ち着いた判断がしやすくなり、安定した運用につながります。
金の利益確定ラインを事前に決める
金を売る際には、あらかじめ利益確定の目安となる価格帯を決めておくことが重要です。
価格が上昇している局面では、「もう少し上がるかもしれない」という心理が働きやすく、判断が遅れてしまうことがあります。事前に目標価格や一定の利益幅を設定しておけば、感情に左右されにくく、冷静に判断しやすくなります。
短期売買と長期保有では利益確定ラインの考え方も異なり、短期では小さな値幅でも利益を確定するいっぽう、長期では保有期間を重視して目標を大きく設定するケースが一般的です。
また、相場状況や保有目的の変化に応じて、利益確定ラインを柔軟に見直す姿勢も欠かせません。
一部売却か全部売るかを考える
金を売却する際には、保有している金をすべて売るか、一部だけを売るかという選択肢があります。
一部売却は、一定の利益を確保しながら保有を続けられる方法として検討されやすく、相場の先行きに迷いがある場合でも柔軟に対応できます。
全部売却は、相場の転換点と判断した場合や、資金化を優先したい場面で選ばれることがあるのです。
どちらが正解というものではなく、今後の相場見通しや資金の使い道、保有目的やリスク許容度に応じて、無理のない判断を行うことが重要です。
| 売却方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 一部売却 | 利益確保しつつ保有継続 | 上昇に期待しつつリスクを抑えたい場合 |
| 全部売却 | すべて売却して資金化 | 下落を予想し現金が必要な場合 |
税金を抑える売却のコツ
現物の金を売却して利益(譲渡益)が出た場合、税金が発生する可能性があります。ただし、売却方法やタイミングによっては、税負担を抑えられるケースもあります。ここでは、金の売却に関わる税金の基本的なしくみと、売却時に押さえておきたいポイントを説明します。
金地金や金貨、金製品などを売却して得た利益は、原則として「譲渡所得」として扱われます。譲渡所得は、売却金額から取得費や譲渡費用を差し引いて計算され、一定額を超えると確定申告などの税務対応が必要になる場合があります。
譲渡所得には、年間50万円の特別控除が設けられています。この控除は、金地金などの譲渡益だけでなく、貴金属や宝石、骨董品など他の資産の譲渡所得と合算した金額に対して適用されます。そのため、金の譲渡益が50万円以下であっても、他に譲渡所得がある場合は、課税対象となる可能性がある点に注意が必要です。
たとえば、金の譲渡益が40万円で、同じ年に宝石の譲渡益が20万円あった場合、譲渡所得は合計60万円となり、50万円の特別控除を差し引いた10万円が課税対象となります。このように、税金の有無は金だけで判断できないため、その年の譲渡所得全体を把握することが重要です。
また、5年を超える期間、金を保有した場合は「長期譲渡所得」に区分され、課税対象となる譲渡所得が2分の1に軽減されます。長期保有することで税負担を抑えられる可能性がありますが、実際の節税効果は、譲渡益の金額や他の所得状況、特別控除の適用状況などによって異なります。
【まとめ】金の売却において税金を抑えるコツ
- 5年を超えて保有し、長期譲渡所得の優遇措置を活用する
- 譲渡益が50万円の特別控除内に収まるよう、売却時期や数量を調整する
- 他の譲渡所得がある年を避けて売却する
税金面での不安がある場合は、税理士に相談すると安心です。
出典:
No.3161 金地金の譲渡による所得|国税庁
土地や建物を売ったとき|国税庁
金を買うタイミングは価格だけで決めない
金を買うタイミングは、「今が買い時かどうか」だけで判断するのが難しいのが実情です。
金価格は、為替や金利、インフレ、世界情勢など複数の要因が重なって動き、相場環境によって常に変動します。そのため、短期的な上げ下げを正確に予測することは容易ではありません。
金を購入する際は、価格水準だけを見るのではなく、「なぜ価格が動いているのか」「自分はどの目的で保有するのか」といった判断軸を持つことが重要です。長期保有、短期売買、資産分散といった投資目的によって、適した買い方や考え方も異なります。
また、買うタイミングとあわせて、売るタイミングや税金など出口の考え方まで含めて検討しておくことが、納得のいく判断につながります。相場に振り回されすぎず、自分なりの基準を持って金購入を考えることが大切です。

