
プラチナ価格は2025年、大きな転換期を迎えています。価格が高騰して、「今後もっと上がるの?それとも下がる?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、プラチナ市場の最新動向と今後の価格予想を、わかりやすく解説します。
目次
【最新】プラチナ価格予想!高騰の理由を解説
まずは、実際にプラチナの最新動向を見ていきましょう。プラチナの価格は急上昇しており、その背景には供給不足と需要拡大という2つの大きな要因があります。
2025年7月現在のプラチナ価格
2025年7月2日時点のプラチナ価格は、1グラムあたり7,015 円(田中貴金属店頭価格)で取引されています。
これは、6月の平均である5,811円と比べても、約1,200円の増加。約21%という非常に好調な上昇率を見せています。
※価格は1グラムあたりの「田中貴金属」店頭小売価格(税込)
※出典:「田中貴金属」公式サイト
プラチナ価格高騰の理由
プラチナ価格が高騰している理由を分析すると、主に以下の4点に整理できます。
- 供給不足の深刻化
- 南アフリカの生産障害
- 中国の需要急拡大
- 米国関税政策の影響
プラチナは、世界的な供給不足が深刻化しています。世界プラチナ投資評議会(WPIC)によると、2025年のプラチナ供給は需要に対して年間30トン不足する見通しです。これは年間需要の約12%に相当し、3年連続の不足になります。
また、主要産出国である南アフリカでは2025年初頭に洪水が発生し、鉱山の稼働に支障が出たことで生産量が前年より13%減少しました。
いっぽうで、中国を中心とした需要の拡大も目立ちます。2025年第1四半期には、中国でのプラチナ宝飾品の需要が前年比で15%増加。さらに、個人投資家によるインゴット(地金)投資も盛り上がりを見せ、4月の輸入量は12か月ぶりに11トンを超えました。
こうした「供給の減少と需要の増加」が組み合わさり、プラチナ価格は大きく押し上げられているのです。
出典:WPIC Platinum Quarterly Q1 2025
プラチナ価格に関する懸念
ただし、すべてが順風満帆というわけではありません。以下のような懸念点も考慮しておく必要があります。
- 米国の貿易政策変更
- 世界経済の減速
- 地政学リスク
- 投機的な動き
特に米国の貿易政策変更により、プラチナのインゴットに関税がかかるとの懸念があり、市場では混乱が広がっています。
また、景気が悪化すれば、工業用途での需要が減る可能性も否めません。産出国や物流ルートの紛争や災害により、供給に打撃を受ける恐れもあります。さらに、価格が短期的に上がりすぎると、反動で急落する確率も高くなるでしょう。
2025年第1四半期にはリースレート(貸し借りにかかる金利)が1%から13%に急上昇したというデータもあり、価格の変動性が高まっている点は注意が必要です。
プラチナの相場は何で決まる?
現在は急上昇しているプラチナですが、価格変動が大きい分注意深く見ていく必要があります。ここでは、プラチナ相場を予測するうえで知っておきたい基本的な3つの要素を改めて解説します。
① 世界の供給状況
まず最も大きな影響を与えるのが「供給量」です。プラチナは世界の限られた地域でしか産出されず、とくに南アフリカが全体の約7割を占めるとされています。
前述の通り、2025年には南アフリカの洪水によって鉱山の稼働が制限され、生産量が大幅に減少。これが価格高騰の大きな要因となっています。加えて、地上在庫も減り続けており、2029年にはひっ迫する可能性も指摘されています。
供給が不安定になると、それだけで価格は上がりやすくなります。
② 世界の需要動向
2つ目のポイントは「需要の動き」です。プラチナは主に以下の3つの用途で使われています。
- 自動車の排ガス浄化装置(触媒)
- 宝飾品(ジュエリー)
- 投資・金融商品としての購入
2025年は特に中国での宝飾品需要や個人投資が急拡大。水素エネルギーの普及に伴い、燃料電池関連の新たな需要も注目されています。こうした需要の高まりは、価格を押し上げる大きな原動力になります。
③ 国際的な経済・金融政策
3つ目は「マクロ経済や政策の影響」です。
2025年にはアメリカでプラチナ投資製品への関税強化の懸念が浮上し、NY市場での取引コストが上昇。それを受けて短期的な需給のひっ迫や投機資金の流入が起こり、価格が大きく動きました。
さらに、ドル安や金利の動きもプラチナ価格に影響を与えます。一般にドルが安くなると、ドル建てで取引されるプラチナは相対的に買われやすくなり、価格が上がる傾向にあります。
プラチナの相場推移振り返り!20年前とどう変わった?
20年前、2005年のプラチナ平均価格は3,245円と現在の半額ほどでした。価格の将来的な変動を理解するには、20年前、10年前と、過去の市場動向や世界経済の動きを分析することも重要です。この章では2001年から2024年までのプラチナ相場を改めて振り返ります。
※価格は1グラムあたりの「田中貴金属」店頭小売価格(税込)
※出典:「田中貴金属」公式サイト
【2001年~2010年】プラチナ相場がピークに
2001年〜2010年は、プラチナ相場が大きく変動した期間です。2008年にはプラチナ価格がピークに達し、1gあたり7,589円という高値を記録しましたが、翌年には大幅に下落するなど、世界経済が大きくプラチナ相場に影響しました。
この期間にプラチナ市場に影響を与えた重要な出来事を見ていきましょう。
2001年:ITバブル崩壊
1990年代前半のバブル崩壊から、1990年代後半のアジア通貨危機を経て、2000年ごろからITバブル崩壊が始まります。これは実態を伴わないインターネット関連企業や株式への過剰投資が原因で、日本経済は「第三次平成不況」と呼ばれるほどの打撃を受けました。
プラチナは株式市場の影響を受けやすく、ITバブル崩壊はプラチナ相場にも大きな打撃を与え、相場が低迷しました。
2003年~2006年:アメリカ、中国の住宅バブル
2003年から2006年にかけ、アメリカと中国で住宅や不動産のバブルが発生して世界経済に大きな影響を与えました。バブルによる好景気がプラチナ相場を後押しし、徐々にプラチナ相場が値上がりした期間です。
2004年~2008年:世界的なオイルバブル
2004年頃から、原油やその他の資源に関する世界的なバブルが発生しました。さらに、以前から続いていたアメリカと中国の住宅バブルも追い風となりプラチナ価格が急騰。2008年には最高値となる7,589円に達しました。
2007年~2010年:世界金融危機
2007年9月から顕在化したサブプライム住宅ローン危機を発端としたリーマン・ショックと、それに連なる一連の国際的な金融危機により「世界金融危機」が発生しました。世界的な経済衰退を迎えたことで、高騰していたプラチナ価格は一気に下落します。
2010年:南アフリカでワールドカップを開催
南アフリカは、プラチナの採掘量が世界の7割を誇る資源国です。南アフリカでワールドカップが開催されたことでGDPが上昇し、プラチナの相場も上昇しました。
【2011年~2022年】低迷したプラチナ相場は徐々に回復傾向へ
2007年のリーマンショックで落ち込んだプラチナ相場は、2013年頃に1gあたり5,000円台まで回復しました。しかし、ディーゼル車の需要減や新型コロナウイルスの影響で再び相場は下落しました。
2013年:産業用プラチナの需要が高まる
プラチナの需要は主に宝飾用、自動車用、産業用の3つがありますが、2013年は産業用プラチナの需要が大幅に高まった年でした。宝飾用や自動車用の需要は低迷したものの、化学業界や半導体業界などでプラチナの需要が高まったことで、プラチナ相場をアップさせました。
2015年:ディーゼル車需要の減少
2015年に、フォルクスワーゲンによる排ガス試験不正問題が発覚しました。これにより欧州を中心に消費者のディーゼル車離れが起こり、自動車用のプラチナ需要が大きく下がりました。
2015年:コロナ禍による経済不安
2020年頃から新型コロナウイルスが流行したことで、世界経済が全体的に低迷しました。プラチナ相場もその影響を受け、過去10年間で最低価格となる1gあたり2,321円(2020年3月)を記録しました。
【2023年~2024年】回復基調から急騰への転換期
2023年から2024年にかけてのプラチナ市場は、コロナ禍からの回復と新たな需要の高まりにより、大きな転換期を迎えました。
2023年はプラチナ価格が安定的に回復し、2024年には本格的な上昇トレンドに入りました。この期間の価格は1gあたり4,000円台から5,300円台へと上昇し、投資家の注目を集めることになりました。
2023年:自動車生産の回復とパラジウム代替需要
2023年は世界的に自動車生産が回復し、プラチナ需要を押し上げました。特に注目されたのは、高騰したパラジウムの代替としてガソリン車の触媒にプラチナが使われ始めたことです。パラジウム価格がプラチナを大きく上回る状況が続いたため、自動車メーカーはコスト削減のためプラチナへの切り替えを進めました。
2024:中国市場の回復の兆し&投資需要の急増
2024年前半には、中国のプラチナ宝飾品市場に回復の兆しが見え始めました。長年低迷していた中国の宝飾品需要が、ゴールド価格の高騰を背景に徐々にプラチナへとシフトし始めたのです。プラチナ価格は1月の4,800円から着実に上昇を続けました。
2024年後半には、プラチナETFへの資金流入が加速しました。日本の「プラチナの果実」では純資産残高が大幅に増加し、投資家数も急増しました。12月には価格が5,300円台に達し、2025年の更なる上昇への期待が高まりました。
AIが予測!プラチナ価格2026年~2030年はどうなる?
それでは、今後のプラチナ価格はどうなるのか?投資を考える皆さんが、最も気にしているポイントだと思います。これまでの動向を踏まえたうえで、弊社のアシスタントAIに予測を立ててもらいました。
“世界プラチナ投資協議会(WPIC)の予測によると、2028年ごろまで世界的な供給不足が続く見通しです。特に南アフリカの生産量は回復しておらず、地上在庫も減少傾向にあります。いっぽうで、中国では金の価格が高くなったことを受けて、代わりにプラチナ製の宝飾品が人気を集めています。こうした流れは、今後も続く可能性が高いでしょう。
また、環境対策の一環として注目されている「水素エネルギー」でも、プラチナは重要な素材です。日本を含む多くの国が、水素を使った燃料電池車の普及を目指しており、それに伴って新たな需要が生まれています。
こうした状況を踏まえると、2026年〜2030年のプラチナ価格は、1グラムあたり6,500〜8,000円前後で推移する可能性があります。需要がさらに拡大すれば、8,000円〜1万円台に達することも考えられます。
ただし、電気自動車(EV)の普及や世界経済の動向によっては、価格が下落に転じるリスクもあるため、今後の動向には引き続き注目が必要です。”
※この予測は、過去5年の価格推移、世界プラチナ投資評議会(WPIC)の需給統計、中国・米国の需要動向など複数の公開データをもとに、AIが機械学習により算出した参考値です。ここで予測されていない外部要因によって、価格が下落に転じるリスクも十分にあるため、投資判断は慎重に行う必要があります。
プラチナは今が売り時?買い時?判断のポイント
プラチナ価格が急騰している今、「売るべきか、買うべきか」迷っている方も多いでしょう。ここでは、現在の市場状況を踏まえた判断材料をご紹介します。
売り時と判断できる場合
短期的な利益確保を重視する場合は売り時と言えるでしょう。過去1年で30%以上の値上がりを記録しており、2024年初頭から保有している方は相当な含み益が発生している可能性があります。
また、価格変動リスクを避けたい場合も売却を検討する時期です。プラチナは金よりも価格変動が大きく、前述もしたように急騰の反動で急落するリスクも高まっています。リスクを避けて安定した資産運用を望む場合は、高値の今売却してしまうのも賢い選択かもしれません。
>>【毎日更新】今が売り時?プラチナ1gあたりの買取相場価格
買い時と判断できる場合
いっぽうで、中長期的な成長を期待する場合は買い時と考えられます。水素エネルギー社会の実現により燃料電池車での需要拡大が見込まれ、供給不足の構造的問題は短期間では解決しないため、価格の底上げ要因となる可能性があります。
インフレ対策を重視する場合も投資を検討する価値があります。貴金属はインフレのリスクヘッジとしての機能があり、現金や債券の実質価値目減りを懸念する場合、プラチナへの分散投資は有効です。
迷った場合の対処法
判断に迷った場合は、部分的な利益確定がおすすめです。保有分の一部を売却し利益を確保しながら、残りは保有継続する段階的なアプローチを取りましょう。
プラチナ相場のチェックと見極めが大切
現在のプラチナ価格高騰は、供給構造の変化と需要トレンドの転換によるものです。売り時・買い時は、個人の投資目的やリスク許容度によって大きく異なります。
重要なのは、市場動向を定期的にチェックしながら、自分の投資スタイルに合わせて柔軟に判断することです。プラチナ市場は今後も大きく動く可能性が高いため、情報収集を怠らず、慎重な投資判断を心がけましょう!