
テレビやYouTubeで「砂金採り」を見て、「砂金を掘り出せれば儲かるのかな」と考えたことはありませんか?
金の価格が上昇している影響もあり、砂金採りに大きなロマンを感じ、挑戦してみたいと考えている人もいるかもしれません。
この記事では、砂金1gあたりの値段や採取ポイント、持ち帰りのルールまで砂金採りに関する情報を解説します。
目次
砂金とは川砂の中に自然に含まれる金の粒子のこと
砂金とは、川砂の中に自然に含まれる金の粒子のことです。金鉱脈が風化や川の侵食によって砕かれ、流れ出した金が比重の重さによって川底や川岸に堆積したもので、日本では「川金」とも呼ばれます。
自然界の砂金は純金100%ではなく、通常90〜98%ほどの金を含み、銀や銅などが混ざるのが特徴です。形や大きさもさまざまで、肉眼で確認できる粒から、ごく細かい粉状のものまで存在します。
古くは古代エジプトのナイル川流域や、北海道のウソタンナイ川などで採掘されてきました。現在では大規模な採掘はほとんど行われておらず、おもに観光や体験型アクティビティとして親しまれています。
砂金はグラムや形によって呼び方が変わる
砂金はグラムや大きさによって呼び名が変わります。一般的には、0.4グラム未満のものを「粉金(粉砂金)」、0.4グラム以上のものを「グレイン」、1グラム以上のものを「ナゲット」と呼びます。
基本的に採取できるのは粉金で、大きさは1ミリ前後。なお、ナゲットサイズでは過去に重量70kg超のものが見つかっており、ニュースや金貨のデザインになっています。
金と砂金の違い
金と砂金はいずれも同じ元素(Au)で構成されているため、素材に違いはありません。では、何が違うのかというと、おもに価値の判断基準です。
金は重さに応じて相場が決まっており、需給バランスによって毎日変動し、その日の相場で取引されています。
いっぽうの砂金は、ほとんどが1グラムに満たないこと、不純物が混ざっているものがあることから、相場での価値判断が難しいのです。ただし、とくに大きなナゲットなどは、希少性や形状が評価され、金としての重量価値を大きく上回る価格で取引される可能性もあります。
ちなみに、フリマサイトなどでは砂金1粒200円前後で取引されていることが多いです(2025年9月時点)。
砂金採りは儲かる?気になる1gの値段とは
砂金は大量に採掘するのが難しいうえ、金の含有率が100%ではないため、大きく儲けることは難しいです。
ただし、金の価格は年々上昇しているため、ナゲットサイズの砂金を見つけた際には、高値で売却できる可能性があります。
現在の金の買取相場価格
金の買取相場価格価格:1gあたり18,020円
※価格は2025年9月2日時点の情報
最新の金価格情報は下記を参考にしてください。
>>【随時更新】最新の金価格情報
ここからは、巨大な砂金が見つかった3つの事例を紹介します。
【世界最大】70kg超の「ウェルカムストレンジャー」
過去に発見された世界最大級の砂金は、1869年にオーストラリア・ヴィクトリア州で採取された、天然ナゲット「ウェルカムストレンジャー」。重量70kg超の巨大な砂金です。金の含有率は98%以上あり、ほぼ純金と呼べます。1986年~1989年まではオーストラリア政府発行の金貨の裏面デザインにも採用されていました。
【国内希少】北海道・枝幸町で発見された769gナゲット
日本最大級といわれているのが、1900年に北海道の枝幸町(ウソタンナイ川流域)で採取された約769gの巨大ナゲットです。この2年前からウソタンナイ川で砂金が発見され、ゴールドラッシュが起こっている最中でした。
【夢は現実に】「ハンド・オブ・フェイス」で金属探知機で発見された27kgナゲット
1980年、オーストラリア・ヴィクトリア州キングオワーでは、27kgナゲットが金属探知機によって発見されました。「信仰の手」という意味の「ハンド・オブ・フェイス」と名づけられ、発見者のケビン・ヒリアー氏は100万ドル以上の価格で売却しました。
現在はアメリカ・ラスベガスの「ゴールデン・ナゲット」というホテルに飾られており、見学することが可能です。
日本でも砂金は採れる!おすすめ採取スポット5選
日本で砂金が採れる場所は限られていますが、今もなお砂金採取に挑戦できる場所がいくつかあります。ここでは、日本国内で砂金が採れるおすすめ採取スポットを5つ紹介します。
【北海道】ウソタンナイ川(枝幸町)
北海道枝幸町にあるウソタンナイ川は、明治時代に769gの巨大ナゲットが発掘された場所。現在も砂金採り体験が可能な、希少なスポットです。
「ウソタンナイ砂金採掘公園」では、例年6月1日から9月30日まで「砂金掘り体験」が実施されています。実際に川に入る「川掘り」のほか、水槽で簡単に掘れる「水槽掘り」も体験可能です。インストラクターが手順を教えてくれるため、初めて砂金採取に挑戦する人におすすめとなります。
【中部】山梨県身延町・早川流域
山梨県身延町の早川流域にある湯之奥金山は、日本最古の金山として戦国時代に栄えた歴史ある場所です。
「甲斐黄金村・湯之奥金山博物館」では、1年中屋内で砂金採り体験が楽しめます。毎年夏に砂金採り大会が開催されていたり、「湯之奥金山博物館砂金採り番付表」に名前を載せられたりするなど、豊富なイベントも開催されています。
【東海】静岡県・土肥金山
静岡県の土肥金山は、佐渡金山に次ぐ生産量を誇った一大産地です。江戸時代から昭和時代にかけて、推定40tもの金が採掘されました。
「砂金館」では屋内で楽しめる「温泉砂金採り体験」ができます。1月は「砂金採り大会(中学生以上)」、7月は「小学生砂金採り大会(小学生限定)」が開催。30分間に30粒以上の砂金を採ることができれば、砂金採り名人として登録されます。
【九州】大分県日田市・鯛生金山
大分県日田市の鯛生金山は、かつて東洋一の金の採掘量を誇る金山でした。
道の駅・鯛生金山には、当時の採掘風景を再現した全長約800mの坑道見学や天然の砂金を探すゴールドハンティングを楽しめる「地底博物館」が隣接しています。鯛生金山の歴史を感じながら砂金採りも体験できる、人気スポットです。
日本だけじゃない!世界の有名砂金採取スポット3選
世界には砂金が多く採取できるスポットがいくつもあり、多くの人がロマンを求めて訪れています。ここでは、世界的に有名な砂金採取スポットを3つ紹介します。
かつてゴールドラッシュの舞台となった経緯や、世界に与えた影響まで解説するので、世界の砂金情勢を知りたい人は参考にしてみてください。
アメリカ アラスカ州/カナダ ユーコン準州
アメリカのアラスカ州とカナダのユーコン準州にまたがるユーコン川流域は、現在も砂金採り・金鉱採掘が行われている、世界でも珍しい現役の採掘地です。
金の採掘による一獲千金を狙った6人の男たちを追った、アメリカのリアリティ番組『ゴールド・ラッシュ』のロケ地になったことでも話題となった地域で、世界的な注目が集まっています。
オーストラリア ヴィクトリア州
オーストラリアは19世紀中盤のゴールドラッシュで有名な国であり、現在も観光目的での砂金採り体験ができる施設やエリアが多く存在します。とくにヴィクトリア州にあるバララットやベンディゴ地域では、当時の金鉱跡地に再現型テーマパークや体験施設が整備されており、砂金採り体験をアクティビティとして楽しめます。
また、オーストラリアは世界最大級の自然金「ウェルカムストレンジャー」や「ハンド・オブ・フェイス」といった有名なナゲットの発見地でもあり、大きなロマンを秘めるエリアとなっています。
ニュージーランド
ニュージーランドは19世紀にゴールドラッシュが起きた国です。とくにリゾート地として有名なクイーンズタウン周辺は、開拓者が集まって繁栄していきました。
オタゴ地方のアロータウンにある「レイクス・ディストリクト博物館」では、ゴールドラッシュ当時の街並みが再現され、歴史を学ぶことができます。館内を流れるアロー川にて、砂金採り体験ができます。
ほかにも、グレイマウスにある「シャンティタウン・ヘリテージ・パーク」など、観光客向けに砂金採り体験を提供してくれる施設もあり、旅行ついでに砂金採りを楽しめます。自然の中でリアルな砂金採り体験を楽しめる数少ないエリアでもあるため、大自然の中で採れるロマンを味わいたい人におすすめです。
砂金採りに必要な道具リスト
川で砂金採りを楽しむためには、いくつか道具を揃える必要があります。砂金採りで必要な道具は以下のとおりです。
砂金採りに必要なもの
・パンニング皿
・ウェーダー
・ゴム手袋
・スコップ
・スポイト
・ガラス瓶
また、川に入ったり水槽に手を入れたりするため、水に濡れてもよい服装がおすすめです。道具は体験施設やネットで砂金採り道具がセットで販売されているほか、100円ショップでもそろえることができます。
また、体験施設でレンタルできる場合も。事前に調べて用意しておきましょう。
【初心者向け】砂金採りのコツを解説
砂金をうまく見つけるには、場所選びが重要です。1から自分で探してみるのも楽しいですが、まずは上流に鉱山がある川を選ぶとよいでしょう。川底が岩盤になっていると、浅い部分に砂金が留まりやすいため、川底にも注目してみることをおすすめします。
道具を揃えて現地に到着したら、川の流れを確認しましょう。水流のカーブを探し、インコース(川のカーブの内側で流れが緩やかな場所)になっている場所は、砂金が貯まりやすいスポットになっています。岩盤の割れ目や、増水したときに水につかる草の根元などは、水の流れが弱まりやすい場所です。金は比重が重いため、そうした場所に沈んでたまりやすく、砂金を見つけやすいポイントになります。
砂金に関するFAQ
ここでは、砂金に関するよくある質問をQ&Aでまとめています。砂金採りに関するルールもまとめているので、砂金採りに挑戦しようと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
川で見つけた砂金を持ち帰るのは違法?
原則として、少量の採取であれば違法になることはありません。ただし、以下のようなシチュエーションや目的の場合、法律に反することがあるため注意が必要です。
・仕事として継続的に採取する
・販売目的で大量に採取する
砂金で儲けるためではなく、あくまでもアクティビティの一環として、ルールや限度を守って砂金採りを楽しみましょう。
海岸でも砂金は採れる?
河口付近であれば海岸でも砂金を採ることは可能です。ただし、海の底は砂地が多いため、砂金が深く沈み込みやすく、実際に見つけるのは難しいのが現状です。そのため、砂金採りの主なスポットはやはり川に集中しています。
採取した砂金は溶かしてインゴットにできる?
採取した砂金は溶かして、インゴットにすることは可能です。ただし、必要とする砂金の量が多いうえ、専門の設備や加工する費用が必要なため、実現が難しい場合がほとんどです。
個人でも砂金を採って売れる?
少量であれば販売することが可能です。ただし、大規模・反復的だと違法になる可能性も高いので注意が必要です。また、自然公園・国有地・文化財地域などは禁止されていることが多いため、採取場所には注意しましょう。
見つけた砂金は買取業者に売れる?
売却は可能ですが、店舗によって対応は異なります。
砂金の買取は行っていない、少量だと対応できないケースが多いため、ある程度量がまとまったうえで、事前に確認してから検討しましょう。
砂金はロマンと自然が詰まった“金の原石”
この記事では、砂金1グラムあたりの値段や採取ポイント、持ち帰りのルールまで砂金採りに関する情報を解説しました。
砂金はロマンあふれる自然金ですが、採取するためには根気と事前調査が重要です。しかし、日本国内で今もなお採取できる場所が存在するので、誰でも挑戦できる楽しさがあります。ルールや節度を守って、あくまでもアクティビティとして砂金採りを楽しみましょう。
参考文献:
一般社団法人資産運用総合研究所「砂金の大きさ―粉金からナゲットまで」