翡翠(ヒスイ)とは?特徴・意味・種類などを徹底解説

古来よりさまざまな国で縁起のいい石とされてきた翡翠(ヒスイ)。翡翠といえば美しい緑色が特徴ですが、翡翠にはほかにも色のバリエーションがあるのをご存知でしょうか?

当記事では、翡翠の特徴や魅力、翡翠とは何かを解説します。偽物の確認方法も紹介するので、お手持ちの翡翠について知りたい方も、ぜひ参考にしてください。


翡翠とはどんな石?

翡翠とは、宝石の一種です。独特の透明感と艶のある質感を持つ石で、とくにアジア圏で人気があります。5月の誕生石でもあり、パワーストーンとしても人気の高い石です。

ここでは、翡翠の特徴や産地をはじめ、翡翠に関する基礎知識を解説します。

翡翠の特徴

翡翠といえば深緑色の宝石という印象が強いですが、実は翡翠本来の色は無色透明です。翡翠はさまざまな鉱物が集まってできた宝石で、構成される鉱物によって色が変わるのが特徴です。

また、翡翠は親油性が高く、肌の油分と馴染んで艶が増すのも特徴です。そのため、翡翠は色を育てる宝石ともいわれ、身に付ける期間が長いほど美しくなります。

その反面、翡翠は乾燥が弱点です。乾燥によって翡翠の中の水分や油分が蒸発すると、石の透明度が濁ったり、欠けや割れの原因となります。翡翠を美しく保つためには、日常的に身に着けて、ほどよく油分を補給してあげるのが最大のお手入れです。

翡翠のお手入れについて詳しく知りたい方は、「翡翠のお手入れ方法」の記事もあわせてチェックしてください。

翡翠は日本の国石

翡翠は、2016年に日本鉱物科学会によって国石に指定されました。 翡翠は日本でも採取される宝石で、翡翠の産地である新潟県糸魚川では、縄文時代から翡翠が利用されていたことなどが理由です。

翡翠の産地

翡翠は世界各地で産出される宝石です。翡翠は、地球の表面を覆うプレートが、別のプレートの下に潜り込む「沈み込み帯」と呼ばれる場所で生まれます。

おもな翡翠の産地は以下の国です。

おもな翡翠の産地

  • ミャンマー
  • グアテマラ
  • ロシア
  • アメリカ
  • カザフスタン
  • 日本
  • 中国
  • ニュージーランド

    日本では新潟県糸魚川市の姫川流域が翡翠の産地として有名です。糸魚川は宝石質の翡翠が産出される日本唯一の場所で、一部のエリアは天然記念物に指定されています。


    翡翠の意味が怖いと言われる理由

    カワセミ

    もともと翡翠とは、鳥のカワセミを指す言葉です。カワセミの美しい緑色の羽に似た色の石を翡翠玉(ひすいぎょく)と呼んだことが、翡翠の名前の由来です。

    どこか可愛らしさを感じる由来ですが、実は「翡翠の意味が怖い」という声が多く上がっているのをご存知でしょうか?
    それには魔除けと使われていたことと、不老不死をもたらすとされていた2つの理由があります。

    ひとつめの理由として、翡翠はかつて護符や魔除けとして使われていた過去があるため。
    翡翠は古来より特別な力を持つ石と考えられており、災いから身を守るために人々が利用したという説が浮上しています。古代中国では王の象徴とされており、神聖な儀式などにも利用されるなど、魔除けやお守り的な意味が込められていました。

    ふたつめの理由は、不老不死をもたらすといわれているためです。
    中国やミャンマーなどでは昔から翡翠は長寿のシンボルだとされており、体内の悪いエネルギーを取り除いてくれる効果があるといわれていました。
    ただし現時点ではそれについて科学的根拠は認められておらず、スピリチュアル的な要素が強いとされています。

    こうした言い伝えがおのずと「怖い」というイメージに繋がっている可能性が高いでしょう。


    翡翠の石言葉やお守りとしての効果

    翡翠の石言葉には、以下のようなものがあります。

    • 繁栄
    • 長寿
    • 幸福
    • 安定
    • 福財
    • 飛躍

      中国では、翡翠は「仁・義・礼・智・信」の5つの徳を備えた石とされています。そのため、さまざまな恩恵を得られる石として珍重され、西太后をはじめとした中国の権力者に愛されてきました。5つの徳には、それぞれ以下のような意味が込められています。

      • 仁:相手を思いやる心
      • 儀:真面目に取り組む心
      • 礼:礼儀を守る心
      • 智:知恵を磨く心
      • 信:相手を信じる心

      お守りとしての翡翠

      翡翠には、パワーストーンとしての効果もあるとされています。 古くから、翡翠を持つことにより以下のような効果があると考えられてきました。

      • 災厄から身を守る
      • 心の平穏を得る
      • 五徳(仁・義・礼・智・信)を高める
      • 冷静さや忍耐力を養う

      翡翠は世界各国で「奇跡の石」として愛されています。お守りとして翡翠のアクセサリーを身につけることで、スピリチュアルな効果を期待する方も多いです。

      石言葉や効果などについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
      >>翡翠の石言葉や効果の記事についてはこちら


      翡翠にはジェダイトとネフライトの2種類がある

      一般的に翡翠と呼ばれる石は、実はジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)の2種類あります。かつては全く同じ石と考えられており、どちらも翡翠ではありますが、宝石としての価値があるのはジェダイトだけです。

      ここでは、ジェダイトとネフライトの違いと、翡翠と間違えやすいその他の石について解説します。

      ジェダイト

      ジェダイト

      ジェダイトは、貴石に分類される石で、本翡翠とも呼ばれます。ジェダイトを構成している主要鉱物はヒスイ輝石です。 ヒスイ輝石はもともと白い鉱石ですが、クロムや鉄などの成分が入ることで鮮やかな緑色に変化します。

      また、採掘される場所によって構成する鉱物の種類や割合が変化するため、カラーバリエーションが豊富な点が特徴です。

      鉱物には、鉱物の硬さを図る尺度である「モース硬度」というものがあります。モース硬度は10段階あり、ジェダイトのモース硬度は6.5〜7と、決して硬い石ではありません。

      しかし、結晶構造が強靭で靭性が高いという性質を持つため、ジュエリーとして身につけるには十分な強度を持っています。   

      ネフライト

      ネフライト

      ネフライトは半貴石に分類される石で、主要構成鉱物は透閃石です。 ネフライトの色は緑色から暗緑色のグリーン系で、稀に黒いものも存在します。ジェダイトのようなさまざまなカラーバリエーションはネフライトにはありません。

      ネフライトのモース硬度は6前後で、ジェダイトより柔らかいことから軟玉と呼ばれています。

      ネフライトは主に中国で産出されるため、中国で玉(ぎょく)と呼ばれて珍重される宝石は、ジェダイトではなくネフライトを指します。 

      2つの違いについてくわしく知りたい方は「ジェダイトとネフライトの違い」の記事もぜひ参考にしてください。

      どちらの翡翠が価値が高い?

      貴石であるジェダイトと、半貴石であるネフライトでは、ジェダイトのほうが宝石としての価値が高いです。価値の高い翡翠のほとんどはジェダイトにあたります。

      ただし、ネフライトの中でも和田玉(ほーたんぎょく)と呼ばれる、中国新疆ウィグル自治区のホータン地区で産出されるネフライトは非常に貴重です。

      和田玉の中でもとくに透明感の高い白色の石は羊脂玉(ようしぎょく)と呼ばれ、中国では皇帝などに献上されました。   


      翡翠の色のバリエーション

      翡翠といえば緑色が有名ですが、ジェダイトはカラーバリエーションが豊富な石です。緑だけでなく、さまざまな色から自分の好みにあった石を選ぶのも、翡翠の楽しみのひとつです。  

      緑の翡翠

      緑の翡翠

      緑色は、翡翠の中でもっとも一般的な色です。淡いパステルグリーンから、深い暗緑色までさまざまな緑色がありますが、日本や台湾では鮮やかで濃い緑色が好まれます。

      しかし、中国やマレーシアなどでは、アップルグリーンと呼ばれる淡い緑色の翡翠が好まれるなど、国民性によって緑の翡翠の価値は変わります。  

      氷翡翠

      氷翡翠

      氷翡翠はアイスジェダイトとも呼ばれる、透明度の高い翡翠です。白翡翠とも呼ばれ、不純物の少ない純粋な翡翠ほど、氷のような透明感を持ちます。 氷翡翠は中国でとくに人気が高く、成功を導く石として親しまれています。

      オレンジがかった色や、薄緑のものなどさまざまな色がありますが、透明度が高く、青白いものほど価値が高いです。  

      ラベンダー翡翠

      ラベンダー翡翠

      ラベンダー翡翠は、柔らかい薄紫色をした翡翠です。緑色の翡翠はアジア圏で人気ですが、ラベンダー翡翠はアメリカやヨーロッパで人気があります。

      翡翠が薄紫色に発色する原因ははっきり解明されていませんが、ジェダイトにチタンや鉄を含んだものが、ラベンダー翡翠になることが多いそうです。  

      黒翡翠

      黒翡翠

      黒翡翠はグラファイト(石墨・黒鉛)を含んだ翡翠です。グラファイトの濃度によって黒の濃さは異なり、グレーから黒に近い半透明のグラデーションが特徴です。オニキスのように不透明ではなく、独特の透明感がある点が人気です。  

      その他の翡翠

      翡翠の色は、翡翠を構成する鉱物の成分や割合で変化します。そのため「翡翠の7色」と呼ばれるほどさまざまなカラーバリエーションがあります。 鉄分が多いミャンマーの地層からは、赤やオレンジの翡翠が産出されます。

      日本では、地層に含まれる鉄分が少ないため、赤系の翡翠はありません。産地の違いによって生まれる色の変化も、翡翠の魅力のひとつです。  


      翡翠の価値は何で決まる?

      翡翠の価値を決める要素はいくつかあります。ここでは、価値が高い翡翠の確認方法について解説します。  

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      翡翠の色

      色は、翡翠の価値を決める大きな要素です。緑の翡翠がもっとも人気が高く、次いで、ラベンダー翡翠が人気です。 翡翠の色は、深く濃いほど価値が高くなります。また、色ムラのなさも重要なポイントです。  

      翡翠の産地

      翡翠は世界各国で産出されています。世界最大の翡翠の産出国はミャンマーで、ミャンマーの翡翠はもっとも品質が高いとされています。ミャンマー産の翡翠は透明度が高く、艶のある美しい質感が特徴です。

      また、中国の新疆ウィグル自治区のホータン地区から産出されるネフライトの中でも高品質の石は羊脂玉と呼ばれ、非常に価値の高い翡翠として取引されています。  

      翡翠の透明度

      翡翠は、透明度が高いほど価値が高くなります。照明器具やライトで翡翠を光にかざしたときに、内包物や色むらが少なく、透明感のあるものほど高価です。

      氷翡翠やラベンダー翡翠のように淡い色の石は透明感のあるものが多いですが、濃い緑の翡翠で透明度が高いものは希少です。そのため、透明度の高い緑翡翠は高額で取引されます。  

      翡翠のランク

      翡翠は、A貨、B貨、C貨の3つのランクがあります。

      • A貨:研磨や加工だけの天然翡翠
      • B貨:樹脂に浸したり漂白などの処理をした翡翠
      • C貨:染色処理してある翡翠

        翡翠のなかで宝石としての価値があるのはA貨だけで、B貨とC貨は大幅に価値が下がります。  

        翡翠の含浸処理とは

        翡翠の価値を調べる上で大きなポイントとなるのが、含浸処理が施されているかどうかです。 翡翠は透明感があり、ガラスのように艶のある質感のものほど価値が高いとされています。

        多孔質の石である翡翠を樹脂に浸す処理を行うと、目に見えない小さな穴が樹脂で埋められ、なめらかで透明感のある質感になります。 含浸処理がされている翡翠はB貨となるため、宝石としての価値はありません。

        含浸処理と間違えやすいのが、ワックス加工です。翡翠は研磨の過程で、表面をなめらかにして光沢を出すため、ワックス加工を施すことがあります。 ワックス加工は表面のみの処理のため価値は下がらず、A貨の翡翠でもワックス加工されたものが存在します。  

        ろうかんとは

        翡翠の中でも最高級のランクとされているのがろうかん(琅玕)と呼ばれるものです。インペリアルジェードとも呼ばれ、翡翠の中でも別格の価値を持ちます。 翡翠のろうかんの条件は以下のとおりです。

        • 鮮やかで深い緑色
        • 透明度が高い
        • ガラスのような艶

          ろうかんの翡翠は国際的にも高い評価を得ています。アメリカの資産家であるバーバラ・ハットンが所有していたろうかん翡翠のネックレスは、27個の大粒の翡翠が使用されており、全て同じ原石から採掘されたように、色と透明度が完璧に揃っている点が特徴です。

          このネックレスは、オークションで翡翠のアクセサリーとしては史上最高額となる約30億円で取引されました。

          翡翠の価値を決める要素は多岐にわたります。
          色・透明度・産地・処理の有無など、さらに詳しい評価ポイントは翡翠の価値に関する記事で解説しています。

          高く売るコツや市場での評価基準を知りたい方はぜひご覧ください。


          翡翠の判別方法を確認!間違えやすい石に注意

          鉱物の中には、ジェダイトでもネフライトでもないものの、翡翠によく似た石が存在します。 

          • 蛇紋岩
          • ロディン岩
          • 緑石英
          • 曹長岩

            これらの鉱石は翡翠の原石に似た外観を持っており、翡翠が産出される地域で発見されることが多いのが特徴です。とくに、翡翠に関する認知が高くない欧米などでは、キツネ石(グリーンアベンチュリン)などを翡翠と偽って販売する例もあり、注意が必要です。

            ここでは、本物の翡翠かどうかを見極めるためのポイントをご紹介します。

            翡翠に光を当てる

            翡翠を光にかざす方法は、手軽にできる判定方法のひとつです。翡翠は鉱物のため、どれだけ透明度が高いものでも、必ず色の濃淡や内包物があります。

            光に透かしてみて全く濃淡のない石や、気泡がある石は、天然翡翠ではなく人工石の可能性が高いです。  

            翡翠の鑑別書をチェック

            お持ちの翡翠に鑑別書がついていたら、価値を調べるのは簡単です。翡翠にはジェダイトとネフライトがありますが、宝石としての価値が高いのはジェダイトです。鑑別書に「天然ジェダイト」とあれば、価値のある翡翠と考えていいでしょう。

            また、鑑別書には加工の有無も必ず記載されています。ワックス加工のみの翡翠なら価値が下がることはありませんが、樹脂含浸や染色されたものは、価値が下がります。

            ただし、高品質に見える翡翠でも、鑑別書が偽物だったというケースが稀にあります。翡翠を売買する際は、信頼できる査定士がいる場所で、鑑別書も含めてチェックすることが大切です。  

            翡翠の重量感

            翡翠の重さも、価値を調べるうえでチェックするポイントのひとつです。翡翠は比重が重い石なので、見た目の重量より重く感じます。

            翡翠を真上に投げて手のひらでキャッチしたときに、重みを感じたら翡翠の可能性が高いです。

            ただし、素人が手で持っただけで確実に判別するのは難しいので、判断材料の1つとして知っておくといいでしょう。  

            翡翠の質感

            艶のある翡翠

            翡翠は多孔質の鉱物のため、表面をよく見ると微細なくぼみが残っていることがあります。あまりにツルツルと光沢があるものは、偽物かもしれません。

            しかし、価値が高い翡翠ほど表面はガラス質に近くなるため、他の要素と総合的に判断することが必要です。

            また、翡翠は熱伝導率が高い石です。表面を触ったときに手の熱が奪われ、ひんやりした感触がある石や、手のひらで石を数分間握っても温かくならないなら、本物の可能性が高いです。

            くわしくは、以下の記事をご参照ください。
            >>本物の翡翠の見分け方についてはこちら

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            翡翠は多彩な魅力と深い歴史を持つ特別な石

            翡翠は、ジェダイトとネフライトという2種類があり、色や透明度、産地によって価値が大きく変わります。緑だけでなく、ラベンダーや氷翡翠など多彩なカラーバリエーションを持ち、国や地域によって好まれる色味も異なります。
            また、翡翠は古来より魔除けや長寿の象徴として大切にされ、現代でも石言葉やお守りとしての魅力を持つ宝石です。

            本物と偽物の見分け方やお手入れ方法を知っておくことで、翡翠をより長く美しく保つことができます。価値を決める要素や評価基準を理解すれば、お持ちの翡翠の真価を把握する手助けにもなるでしょう。

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