
世界的な高級ブランド「HERMES(エルメス)」のアイコンバッグである「バーキン」。
エルメスの創業者が経験した、とある偶然の出会いによって誕生し、現在に至るまで約40年間の歴史をたどってきました。
そんなバーキンとは、どのようなバッグなのか?歴史や魅力、サイズ、カラーなどを徹底解説します。
目次
エルメス「バーキン」とは?40年の歴史があるアイコンバッグの魅力に迫る
バーキンは、エルメスが1984年に発表したハンドバッグです。発表されてから今日までの約40年間、世界中の多くの人から愛され、今やエルメスを代表するアイコンバッグとなりました。ここでは、エルメスの中でも最も格式が高いバッグである、バーキンの歴史と特徴について解説します。
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女優ジェーン・バーキンとエルメス会長の出会いで誕生
バーキンは、1980年代当時、エルメスの会長を務めていたジャン=ルイ・デュマと女優ジェーン・バーキンが、たまたま飛行機で隣り合わせたことで誕生しました。
当時のジェーンは幼い子どもを育てており、子育てで多くなった荷物を入れられるバッグがないことに悩んでいました。そんなジェーンの悩みを聞いたジャンは、収納力に優れたバッグをその場でデザインし、今のバーキンが誕生したのです。
バーキンのデザインの特徴
子ども用の荷物も入れられるように設計されたバーキン。旅行用としても十分に活用できる大きさがあるうえ、ラグジュアリーな雰囲気のあるデザインが大きな特徴です。
また、多くの荷物を入れてもすぐに型崩れしないよう、しっかりめのレザーを主流としています。
その後、優れたデザイン性によって世界中にファンが生まれ、さまざまな素材・サイズが展開されています。
バーキンはなぜ高い?価値を支える5つの理由
ここでは、バーキンの高い価値を支えている理由を5つ解説します。バーキンの価値に興味のある人はぜひ参考にしてください。
①高級素材・職人製造のこだわり
バーキンは、雄仔牛レザー「トゴ」をはじめとした、最高級の素材が使用されています。トゴだけでなく、以下のような素材を使用したバリエーションも豊富なため、同じバーキンでも異なるニュアンスを楽しめます。
バーキンに使われる代表的な素材
・トゴ
・トリヨンクレマンス
・ヴォー・エプソン
・ヴォー・スイフト
・ボックスカーフ
・オーストリッチ
・シェーブル
・クロコダイル
そして、バーキンを作っているのは、数年間の訓練を積んだ熟練職人です。ひとりの職人がすべての工程を担い、約18〜48時間をかけて手縫いで作られます。
最高級の素材を使い、熟練職人が手間ひまかけて作られるバーキンには、こだわりが詰め込まれており、このこだわりこそがバーキンの価値そのものとなっているのです。
②“手に入らない”希少性の高さ
職人の手縫いで作られるバーキンは生産数が非常に限られており、需要に対して供給が少ない状態が続いています。そのため、店舗のみの販売となっているのです。
しかし、店舗に行けばいつでも買える、というわけでもありません。そもそも入荷されていないことも多く、店舗に並んでいたらラッキー、という声も。さらに、顧客当たりの購入制限が設けられているケースも珍しくありません。
供給の少なさによる顧客を限定する販売スタイルが希少性を高め、バーキンの価値を支える要因となっています。
また、バーキンには「提案されたら30分以内に決断しないと次の顧客に回される」という噂も広がっており、初心者が購入するには高いハードルに。
こうした理由からバーキンは手に入れにくいとされていますが、正規店で購入するために知っておきたいコツを知りたい人は、以下の記事もおすすめです。
>>エルメス「バーキン」の買い方と対策法を解説!
③安定した資産価値がある
エルメスではバーキンをはじめとする、一部バッグの定価を公開していません。しかし、近年は原材料費高騰などにより価格改定が実施され、定価が上がっているという情報があります。
そして、バーキンは希少性の高さや定価の上昇を背景に、中古市場ではむしろ価格が上がるバッグなのです。購入後も長期的に価値が上がることから、富裕層の資産分散先としても注目を集めており、安定した資産価値を有するという独自の強みがバーキンにはあります。
④機能性と耐久性
エルメスはもともと馬具メーカーとして創業しました。そのため、丈夫な馬具を作るための技術がバッグ作りにも遺憾なく発揮され、バーキンの優れた耐久性と機能性を実現しています。
バーキンは重さこそありますが、自立するため型崩れしにくく、ケア次第で長く美しい状態を保つことができます。また、大きく開く口は使い勝手がよく、収納力を重視した広いマチもあります。機能性が高いことから、日常使いには最適なバッグといえるでしょう。
また、エルメスにはアフターセールスカウンターで正規の修理が受けられるサービスも備わっています。バーキンは、日常で使うものを、長く、大切に、愛用したいという人におすすめのバッグなのです。
⑤セレブリティによるブランディング
バーキンは、生みの親ともいえるジェーンをはじめ、世界的なファッションアイコンや俳優、王室関係者、有名起業家、スポーツ選手といった著名人が愛用しています。
SNSやメディアでの露出がより地位を高め、世界中の人から「憧れの象徴」として認知が広まっています。
バーキンの定番サイズ
2025年現在、バーキンはおもに4つのサイズが展開されています。一般的に幅のサイズが表記されることが多いため、覚えておくと便利です。
ここでは、バーキンの定番サイズの具体的な大きさと、おすすめシチュエーションを紹介します。
さらにサイズごとの価格を知りたい人は、こちらの記事がおすすめです。
>>エルメス「バーキン」のサイズ別定価一覧を知る!
※バーキンには個体差があり、掲載している寸法と実際のバーキンの大きさは前後する可能性があります。
【バーキン25】パーティーやディナーに最適
バーキン25は、バーキンの中で最も小さい規格になります。小ぶりでキュートなシルエットのため、パーティーやレストランでのディナーなど、荷物が少ない場面におすすめのサイズです。
【バーキン30】手帳やペットボトルが入る
バーキン30は日本でも人気が高いサイズです。B5サイズの手帳や500mlのペットボトルが収納可能なため、普段使いに最適。荷物が少ない人であれば、ビジネスシーンでも問題なく使用できるでしょう。
【バーキン35】ビジネスシーンで活躍
バーキン35は、世界で最も人気が高いサイズです。バッグ自体の重さが1kgを超えるものの、A4サイズの書類も収納できるため、普段使いからビジネスシーンでも活躍します。
【バーキン40】ビジネスや旅行にも使える
バーキン40は、おもに流通しているバーキンの中で最も大きいサイズです。A4サイズの書類はもちろん、パソコンも入るほどの収納力があります。また、1〜2泊であればトラベルバッグとしても活躍するサイズです。ただし、重さは約1.5kgあるため、長時間の持ち歩きには不向きです。
バーキンに使われる人気素材
バーキンはさまざまな素材が展開されています。ここでは、バーキンに使われている人気素材を6つ紹介します。
トゴ
トゴは、適度な柔軟性と張りを併せ持つ仔牛のレザーです。傷がつきにくく扱いやすいという特徴があります。そのため、エルメスのレザーの中で最も人気が高い素材のひとつです。
表面には「血筋」と呼ばれる血管の跡が見られることもあり、エルメス伝統のクラフト感を見事に演出してくれます。
トリヨンクレマンス
トリヨンクレマンスは、ほどよい弾力のある牛のレザーです。トゴよりも柔らかく、バーキンが柔らかな印象に仕上がります。
使い込むほどに馴染んで艶が増す性質があるため、経年変化を楽しめる素材のひとつです。
ヴォー・エプソン
ヴォー・エプソン(エプソン)は、軽量な仔牛のレザーです。ほどよいハリ感があるため、使いやすさとラグジュアリー感を求めている人におすすめの素材といえます。
もともと高い人気を誇っていた「クシュベル」というレザーの後継者として誕生したエプソン。マットでありながら、光の加減で上品な光沢感を放つ特徴もあります。
ヴォー・スイフト
ヴォー・スイフトは、滑らかでマットな質感を持つ仔牛のレザーです。手に吸い付くような柔らかさが特徴的で、発色がよく、鮮やかな色からニュアンスカラーまで表現できます。
ほかの素材と比較すると傷つきやすいですが、きちんと手入れをすれば目立ちにくくなります。
ヴォー・スイフトについて、詳しく知りたい人はこちらの記事もおすすめです。
>>エルメス「ヴォー・スイフト」の魅力を紹介!
オーストリッチ
オーストリッチは、希少性の高いダチョウのレザーです。羽毛を抜いた跡の「クイルマーク」と呼ばれる丸い突起が特徴で、ほかのレザーにはない魅力があります。
牛革よりも軽く、非常に丈夫で、使い込むほどに味わい深い艶が出る、実用性の高い素材です。
クロコダイル
クロコダイルは、エルメスの中でも最高級の素材とされるワニのレザーです。腑(ふ)と呼ばれる鱗の模様が特徴的で、思わず注目を集めるような存在感があります。
経年劣化がしにくい素材でもあるため、アイテムを長く愛用したい人におすすめです。
バーキンのカラーバリエーション
バーキンは、定番色に加え毎年新色が発表されることもあり、カラーバリエーションは200種類以上あるといわれています。ここでは、200種類以上あるカラーバリエーションの中でも、注目すべきカラーを9色紹介します。
【定番】ブラック
ブラックはエルメスの定番色です。フォーマル、ビジネス、カジュアルといったどんなシチュエーションでも活躍するため、万能な活躍を求める際には、おすすめのカラーといえます。
素材によって表情が変わる奥深い色でもあるため、以下を参考に自分の好みを探してみましょう。
・トゴ:マットな質感でカジュアルな印象が強い
・エプソン:ハリがあるおかげで、シャープな印象が強い
【定番】ゴールド
エルメスのゴールドは「金」ではなく、温かみのあるキャメルブラウンを指します。エルメスの中でも代表的な定番カラーです。
フォーマルとカジュアルのどちらにも寄りすぎないため、どんなコーディネートにも馴染みやすいといえます。
【定番】エトゥープ
エトゥープは、グレーとベージュを合わせたようなグレージュです。落ち着いて洗練された印象を与えてくれます。
ブラックとゴールドに並んでエトゥープも定番色のひとつで、どんなコーディネートでも上品な印象に仕上げてくれます。
エトゥープについてもっと知りたい人は、こちらの記事もおすすめです。
>>エルメス「エトゥープ」についてもっと知る!
【2025年春夏新色】 ブルータイ
ブルータイは、2025年春夏新色として発表された、鮮やかなブルーです。ネイビー寄りの深みのある青で、クラシカルな印象があります。
凛としたなかに遊び心も感じられるような色味で、コーディネートの差し色としても活躍してくれます。
【2025年春夏新色】グリパンタン
グリパンタンは、2025年春夏新色として発表された、青みがかった軽やかなグレーです。清涼感とスタイリッシュな印象があり、ほかにはない魅力を放っています。
春夏シーズンにぴったりの爽やかさを持っているため、大人カジュアルを演出するのにおすすめです。
【2025年春夏新色】ルージュラドュー
ルージュラドューは、2025年春夏新色として発表された、鮮やかな赤色です。フランス語で「晴れやかな」という意味があるとおり、クリアな発色が魅力的です。
ポジティブでエネルギーがあふれる色なため、アクセントカラーとしても活用しやすい色味といえます。
【2025年春夏新色】ヴェールマングローブ
ヴェールマングローブは、2025年春夏新色として発表された、深みのあるダークグリーンです。マングローブの生命力を表現した色味で、ほかのグリーンにはない奥深さを演出しています。
落ち着きのあるグレイッシュな色なため、シックなコーディネートにバーキンを合わせたい人におすすめです。
【復刻色】ローズサクラ
ローズサクラは、その名のとおり「桜」を彷彿とさせる淡いピンクです。2015年春夏で初登場し、何度も復刻しているなど高い人気を誇っています。
バーキン25など小ぶりなバッグを中心に展開されており、キュートにバーキンを使いこなしたい人におすすめです。
【復刻色】ニュージーン
ニュージーンは、洗いざらしのジーンズのようなカジュアルなブルーです。2000年代に初登場し、地中海をイメージしてつくられました。
何度も復刻し、ニューバージョンで発表されているなど、使いやすさから幅広い年齢層に愛されています。
希少価値の高いバーキンのレアモデル3選
バーキンには、素材以外にも形、縫製などによりモデルがたくさんあります。ここでは、素材やかたちの異なる、バーキンのレアモデルを3つ紹介します。
カッチリした印象の“バーキン セリエ”
「バーキン セリエ」とは、外縫い(セリエ)になっているモデルのことです。通常のバーキンは内縫いで、ソフトで柔らかな印象になりますが、セリエはサイドのステッチが見えていることもあり、よりフォーマルなニュアンスを強めています。
シチュエーションによって印象を変えられる「3-NE-1」
「3-NE-1」は、定番スタイル・蓋なしバーキン・クラッチバッグと3通りの持ち方ができる、より自由なスタイルを楽しめるモデルです。クラシカルな雰囲気から、カジュアルなニュアンスまで、ひとつのバッグで幅広いコーディネートに対応できます。
エルメスの店舗をイメージした“フォーブル バーキン”
「フォーブル バーキン」は、エルメスのパリ・フォーブル・サントノーレ店をイメージしたデザインが特徴のモデルです。アリゲーターとシェーブルの2つの最高級素材が使われており、中古市場で最も高額なモデルのひとつです。多くの人の憧れの対象になっているバーキンだといえるでしょう。
バーキンの価格
最高級モデルであるバーキンですが、実際にどのくらいの価格になるかご存知でしょうか?ここでは、購入する際に知っておきたい、バーキンの価格について解説します。
バーキンの定価は“限定公開制”
バーキンは、店舗に行って在庫状況と価格を教えてもらう限定公開制を採用しているため、定価は公開されていません。年1〜2回の価格改定が実施されており、1年で7〜10%程度上昇している傾向があります。
今後は円安の影響も相まって、さらに価格が上昇していくと推測されています。
最も高価なモデル
バーキンの中で最も希少価値が高く、高価なモデルといわれるのが「ヒマラヤ」です。定価は1000万円前後とされています。
中古価格では、2017年にダイヤモンド付きのヒマラヤ・バーキンが香港のオークションにて38万ドル(当時4200万円)で落札され、当時のハンドバッグ史上最高値となったとニュースになりました。
また、2025年には初代「バーキン・バッグ」が、史上最高額の860万ユーロ(約14億7000万円)で日本人が落札。モデルによってはとんでもないプレミア価格がつくこともあるのです。
バーキンの購入方法
バーキンの購入方法は複数あり、それぞれメリット・デメリットが異なります。ここでは、納得する買い物を実現するために知っておきたい、バーキンの購入方法を3つ解説します。
正規店での購入方法と「エルパト」の実態
エルメスでは基本的に、バーキンは店頭販売のみ取り扱っています。バーキンは希少性が高いため店舗に並ぶ機会も少なく、何度も店舗に足を運ぶ「エルパト」でないと購入が難しいです。
エルパトの概要や方法は、以下の記事で解説しているので、正規店での購入にチャレンジしたい人は、ぜひチェックしてみてください。
>>初心者でもOK!エルパトのコツを紹介
並行輸入で購入する
並行輸入は、正規代理店やメーカーを通さずに、海外で販売されている正規品を第三者が独自ルートで輸入・販売することを指します。並行輸入のショップを活用すれば、インターネット上でもバーキンを購入可能です。
ただし、メーカー保証やアフターサービスが受けられないケースが多いだけでなく、店舗よりも高い価格で売られていることも珍しくないため、お得に購入するにはコツが必要です。
中古専門店での購入
中古専門店やフリマアプリ・通販サイトで購入することも有効な手段です。ただし、フリマアプリ・通販サイトでは偽物の可能性もあるため、見分ける自信がない人は、信頼できる中古専門店のほうがおすすめです。
バーキンの買取相場
クロコ素材は大きく値がはるなど、バーキンはサイズ・素材によって買取相場が変わる傾向があります。弊社の買取実績をもとにした、バーキンの参考買取価格は以下のとおりです。
サイズ | 参考買取価格 |
---|---|
バーキン25 | 200万円~400万円 |
バーキン30 | 120万円~300万円 |
バーキン35 | 77万円~360万円 |
※掲載された価格は2025年7月時点のものです。表示価格はあくまでも参考価格であり、実際の買取価格を保証するものではございません。実際の買取価格は、相場・在庫状況や商品の状態に応じて変動いたします。あらかじめご了承ください。
ブラリバでは、経験豊富な鑑定士の査定を元に、多種多様なバーキンが多数買取されています。買取実績は以下の参考記事から確認できるので、お手元にあるバーキンの価値が気になる人は、お気軽にお問い合わせください。
>>【随時更新】エルメス「バーキン」の買取実績
バーキンはエルメスのブランディング力が生んだ世界最高峰のバッグ
バーキンは約40年の歴史を持つ、エルメスを代表するアイコンバッグです。技術やこだわりが詰まっていることから、世界中から高い人気を誇っています。
コレクター需要やネームバリューから中古品でも高い価値を誇りますので、気になる人はぜひ中古市場のバーキンをチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考文献
ジェーン・バーキンと”バーキン”バッグ。その誕生とパートナーバッグのストーリー|ELLE