GMT機能付き腕時計の使い方とは?意味や日本時間との関係も解説

腕時計の商品説明でよく目にする「GMT」や「GMT機能」という言葉。なんとなく聞いたことはあっても、「実際にはどんな機能なのかよく分からない…」という方も多いのではないでしょうか。

そんな方に向けて、この記事ではGMTの基本的な意味はもちろん、腕時計で用いられるGMT機能の実用性までを詳しく解説します。

記事を読んでGMT機能を理解すれば、時計選びの幅も広がるはずです。ぜひ参考にしてください。

本記事の内容は一般的な情報を元に作成されています。制度や時刻表記は変更される可能性があるため、航空会社・公的機関の公式情報もあわせてご確認ください。

GMTとは?

GMT(Greenwich Mean Time:グリニッジ標準時)とは、かつて世界の標準時として用いられていた時刻の基準のことです。イギリス・ロンドン郊外にあるグリニッジ天文台を基準に、地球全体の時間を統一するために考案されました。

GMTの起源は19世紀、大航海時代や鉄道網の発達によって「時刻の統一」が求められたことにあります。当時は都市ごとに「地方時(ローカルタイム)」が使われており、航海や列車の運行に支障が出ることも少なくありませんでした。
この混乱を解消するため、1884年、ロンドン郊外グリニッジのグリニッジ天文台を通る経線(グリニッジ子午線)を世界の本初子午線とし、これを基準とした時刻=GMTが正式に採用されました。

以来、GMTは長らく世界標準の基準時として用いられてきました。

UTC(協定世界時)との違いは?

現在では、天体観測に基づくGMTに代わって、より高精度な「UTC(協定世界時)」が国際的な基準時として採用されています。UTCは原子時計をもとに算出されており、1秒単位での高い正確性が求められる現代社会に適した仕組みです。

とはいえ、「GMT」という表現は今なお広く使われており、「GMT機能付き時計」のように実用語として定着しています。日常的な表現としては、現在でもGMT=標準時という認識で使われることが多いのです。


GMTと日本時間(JST)の関係

GMT(またはUTC)は世界の時間帯を決める基準であり、各都市の時差はこれを基準に「プラス・マイナス」で表されます。

日本標準時(JST)は、GMTより9時間進んでいるため、「GMT+9」と表記されます。たとえば、GMTが午前0時のとき、日本は午前9時です。

世界のおもな都市とGMT

GMTと「時差」が分かると、あらゆる国の時刻を知ることができます。この基本的な時差を把握しておけば、海外旅行や出張、オンライン会議などの際に、時刻のズレで混乱するリスクを減らすことができます。

以下は、代表的な都市の時差を示した一覧です。

都市名GMTとの時差備考(サマータイム)
ロンドン(イギリス)GMT(UTC)±0夏はGMT(UTC)+1
パリ(フランス)GMT(UTC)+1夏はGMT(UTC)+2
ニューヨーク(アメリカ)GMT(UTC)-5夏はGMT(UTC)-4
東京(日本)GMT(UTC)+9
ソウル(韓国)GMT(UTC)+9
北京・シンガポールGMT(UTC)+8
ジャカルタ(インドネシア)GMT(UTC)+7※国内で複数のタイムゾーンあり

時計の「GMT機能」とは?

腕時計によく用いられるGMT機能の解説に移りましょう。ご想像の通り、GMT機能は世界の標準時であったGMTにちなんで名づけられました。

GMT機能を用いると、世界中の時刻をひとつの時計の中で同時に知ることができます。たとえば、日本に住みながら、ロンドンやニューヨークの時間も一目で確認できるというわけです。

GMT針(24時間計針)と回転ベゼルの位置を示したGMTウォッチの図解

GMT機能付きの時計には、通常の時針・分針に加え、24時間で1周する「GMT針」が搭載されています。また、「回転ベゼル」と呼ばれる、ケースを縁取るように目盛りが付いたものもあります。

このGMT針や回転ベゼルを使って、「第2のタイムゾーン」や「第3のタイムゾーン」を把握することができるのです。

GMT機能を理解するための用語のおさらい

  • GMT針(ジーエムティーしん):24時間で文字盤を1周する針。通常は「ホームタイム(自国などの基準時間)」を指し示します。昼夜の判断ができるのも特徴です。
  • 回転ベゼル:文字盤の外周にある回転式のリング。GMTモデルでは24時間の目盛りが付いており、第3の時間帯(3か国目)を簡易的に表示できます。
  • ローカルタイム:現在自分がいる場所の時刻。海外旅行や出張などで現地の時間に合わせたい場合に、「ローカルタイム」を設定します。
  • ホームタイム:普段生活している場所(自国など)の基準時刻。GMT針が指し示す時間帯であり、海外滞在中も常に変わらず確認できるため、家族や本社などとの連絡タイミングを図るのに役立ちます。

GMT機能の見方手順を解説!

GMT機能付き時計の魅力は「複数の時間帯を一目で把握できる」点ですが、その使い方や見方が複雑に感じる方も多いかもしれません。

ここでは、GMTウォッチの基本的な見方と設定方法を、視覚的にも理解できるように解説します。

① リューズを回して、すべての針を同期させる

GMT時計のリューズ操作で1段引きと2段引き時の針の動きを示した図解

リューズ(竜頭)を2段階引くと、時針、分針、GMT針が連動して動きます。

まず、GMT針と時針を「0時」または「24時」の位置に合わせて同期させます。

※モデルによっては、GMT針と時針の操作段が逆の場合もあるため、取扱説明書の確認が必要です。

② ホームタイム(基準となる国や都市の時間)を設定する

2段引きのまま分針を回して、ホームタイム(例:日本時間)に合わせます。

このとき、GMT針も同時に動きます。

③ ローカルタイム(現地時間)を設定

リューズを1段戻して引き、時針だけを動かして現地時間に合わせます。

分針やGMT針は動かず、時針だけが1時間単位で動きます。

④(必要に応じて)回転ベゼルで第3のタイムゾーンを設定

24時間表記の回転ベゼルがある場合、さらに別の時差に合わせてベゼルを回せば、3つ目の時間帯も確認できます。

GMT機能の使い方の例

日本からニューヨークへ行き、パリの取引先と連絡を取る場合

各都市の時刻:
日本:21時(午後9時)
ニューヨーク:8時(午前8時)
パリ:14時(午後2時)

①リューズを2段引いて全針を同期させます。

時針をニューヨーク現地時間(8時)に合わせます。

GMT針を日本時間(21時/「21」の位置)に設定します。

④日本とパリの時差は「-7時間」。ベゼルの「0」マーカーを「-7時間」分(7クリック分)逆方向(時計回り)に回します。


GMT機能はいらない?なぜついているのか

GMT機能はとても複雑で、使いこなすにはコツが必要です。日常生活ではあまり利用する機会がないため「こんな複雑な機能、必要なの?」と思う人も多いかもしれません。現在では、スマートフォンで世界中の時刻が瞬時に調べられるため、「GMT機能はいらないのでは?」と感じるかもしれません。

そもそもこのGMT機能は、1950年代の航空業界から生まれました。国際線のパイロットやクルーは、出発地と目的地の時間を同時に把握する必要があります。そんな需要に応え、ロレックスが「GMTマスター」を開発。そしてGMT機能は、パイロットや船舶関係者、軍人など特定の職業の人々にとって必須の機能となったのです。

「GMT機能」を求める人々

現在では、スマートフォンをはじめとした代替手段が豊富になり、GMT機能への需要は減ったかもしれません。しかし、今でも技術的・デザイン的な魅力や、ステータスシンボル・コレクション品としての価値を見出され、GMT時計は根強い人気を誇ります。

もちろん現在でも、航空・船舶関係者や、軍事関係者、アウトドア愛好家など、電波やバッテリーが制限された環境下の人々には広く重宝されています

海外と頻繁にやり取りをするビジネスマンや、金融トレーダー、医療・介護の現場で複数の時間を管理する必要がある人にとっても、GMT機能は非常に便利です。


代表的なGMTウォッチの例

GMT機能付きの腕時計は、さまざまなブランドから多彩なモデルが展開されています。

ここでは、信頼性・デザイン性・資産価値の面で定評のある代表的なGMTウォッチを紹介します。

ロレックス GMTマスターII

ロレックスの「GMTマスターII」は、GMT機能付き時計の代名詞ともいえる存在です。1950年代にパイロットや国際線クルー向けに誕生し、現在ではその耐久性・精度・デザイン性から、世界中のユーザーに愛されています。

ツートンカラーの回転ベゼルが特徴で、ホームタイムとローカルタイムを直感的に把握できます。中古市場でも高いリセールバリューがあり、資産性の面でも優秀な1本です。

セイコー アストロン

セイコーが誇るGPSソーラーウォッチ「アストロン」は、GPS衛星から位置情報と時刻情報を取得し、世界中どこにいても自動でローカルタイムに切り替えられる先進的なモデルです。
屋外でボタン操作を行うだけで、現在地のタイムゾーンに自動で補正される、非常に便利な機能を備えています。

また、太陽光による充電式のため、電池交換が不要な点も魅力の一つ。アストロンは、“時差を気にせず動ける”心強いパートナーです。

グランドセイコー スプリングドライブGMT

グランドセイコーの「スプリングドライブGMT」は、機械式のぜんまい駆動とクォーツの高精度制御を融合させた、独自のスプリングドライブムーブメントを搭載したモデルです。

GMT針によって、ホームタイムとローカルタイムを視認性高く表示でき、実用性とデザイン性を両立。
鏡面仕上げのケースやインデックス、緻密なダイヤルの仕上げなど、日本製ならではの丁寧なつくりも魅力です。

ビジネスシーンでも違和感なく使える洗練されたデザインで、高級感と信頼性を兼ね備えた1本として、多くのユーザーに支持されています。

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GMTを理解すれば腕時計選びも広がる

実用性と機能美を兼ね備えたGMT機能は、長年にわたり世界中の人々を魅了してきました。

中には複雑で使いづらいと感じる人もいるかもしれませんが、その確かな価値は揺るぎません。ロレックスをはじめとする人気ブランドが、GMT機能付き腕時計のアップデートに力を入れ続けているのも事実です。

GMT機能を使いこなすことができれば、あなたも時間をさらに有意義に使うことができるはず。ともに時を刻む、運命の一本をぜひ見つけてください。

参考文献・サイト
米国海軍天文台(USNO):https://www.usno.navy.mil/
Timeanddate.com|世界の時差とUTC・GMT情報:https://www.timeanddate.com/
ロレックス公式サイト(GMTマスターII):https://www.rolex.com/ja/watches/gmt-master-ii.html
セイコー公式サイト(アストロン):https://www.seikowatches.com/jp-ja/products/astron
グランドセイコー公式サイト(スプリングドライブGMT):https://www.grand-seiko.com/jp-ja/worldofgrandseiko/manufacture/9r20th/vol1/index

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