
ブランド品を購入すると、基本的には「ギャランティカード」がついてきます。ただ、その必要性にピンときていない方もいるかもしれません。
実はこのカード、ブランド品が“本物”であることを証明する重要なアイテムであり、買取やアフターサービス、修理対応などで大きな役割を果たすことがあります。いっぽうで、シャネルやプラダなどのブランドでは、近年このカードを廃止する動きも進んでおり、「ギャランティカード=必須」とは言い切れなくなってきているのも事実です。
この記事では、ギャランティカードの必要性や、ハイブランドのから、カードをなくしたときの対処法までを解説します。
目次
ギャランティカードとは?ブランド品と一緒に付いてくる“あのカード”の意味
カードですが、その役割や価値は非常に重要です。
この章では、ギャランティカードの基本情報から、よく混同される保証書との違いを解説します。
ギャランティカードの役割は「本物の証明書」
ギャランティカードとは、ブランド品が正規品であることを証明するカードです。商品購入時に付属することが多く、真贋の証明やアフターサービス、将来的な売却時の信頼性向上にも関わる重要なアイテムです。
カードの見た目はブランドによって異なりますが、一般的には名刺〜クレジットカードサイズのプラスチック製または厚紙製で、シンプルかつ高級感のあるデザインが特徴です。ブランドロゴやホログラム、シリアルナンバーの記載などがあり、偽造防止にも配慮されています。
下記は実際のギャランティカードの一例です。
こうしたカードが付属することで、「そのブランドの正規品である」と安心して判断できる根拠となります。
どんな情報が書かれているの?
ギャランティカードには、ブランド名・型番・販売店名・購入日・シリアル番号などが記載されています。これらの情報が揃っていることで、その商品が正規ルートで購入されたことを証明する材料になります。
「保証書」とは何が違う?両者の重要性
ギャランティカードと保証書はよく混同されがちですが、実際には明確に線引きできない場合もあります。とくに時計ブランドなどでは、ブランドが発行するギャランティカードが「保証書(=保証内容の記載された書類)」を兼ねていることが多く、両者が一体化しているケースが一般的です。
たとえば、ロレックスのグリーンカードや、タグホイヤーのインターナショナルギャランティカードは、正規品であることの証明と、保証期間やサービス内容の記載が一体となったカードです。
いっぽう、バッグやアパレルブランドでは、ギャランティカードは「真贋証明」のみに使われ、修理対応は別途「保証書」や「購入レシート」によって判断されることもあります。
このように、ブランドや製品カテゴリによって「ギャランティカード」と「保証書」の意味合いや役割は異なります。購入時にはそれぞれの役割を確認しておくと安心です。
カードを廃止する傾向も?RFIDタグ・ICチップを導入するブランドが増えている
近年、シャネルやプラダなどのブランドでは、ギャランティカードの代わりにRFIDタグやICチップが導入されています。
これらは製品内部やタグに埋め込まれ、商品の情報を電子的に記録・管理できる仕組みです。
RFID(Radio Frequency Identification)は、無線通信を使って情報を読み書きできる技術。RFIDタグが内蔵された商品に専用の読み取り機やスマートフォンをかざすことで、シリアル番号や製造情報などが確認できるようになっています。
ICチップも同様に、商品に内蔵されて情報を記録するもので、RFIDの一種といえます。なかにはNFC(近距離無線通信)機能付きで、スマートフォンアプリから読み取りが可能なモデルも増えています。
これにより、ギャランティカードを紛失しても、ICチップやタグに登録された情報で真贋判定が可能になるため、よりスマートで安全な認証方法として注目されています。
ギャランティカードは捨てずに保管しておいたほうがいい理由
カードの有無が、修理やサービス対応、そして売却時の査定額にまで影響を与えることがあります。
この章では、カードがあることで得られる2つのメリットについて解説します。
修理やアフターサービスを受けるときに必要
一部ブランドでは、ギャランティカードの提示がアフターサービスや修理対応の前提条件になっています。とくに購入後間もない場合や、無償修理の対象かどうかの確認では、カードの有無が重要になるケースがあります。
売るときに有利!カードの有無で査定額に差が出る
ギャランティカードがあると、その商品が正規品であることを証明できるため、買取価格が高くなる傾向があります。ブランドやモデルによっては、カードの有無で査定額に数千円から数万円の差が生じる場合があります。
【2025年最新】人気ハイブランドのギャランティカード事情
ブランドによって、ギャランティカードの発行有無や管理方法には大きな違いがあります。
近年はRFIDタグへの移行が進んでいるいっぽうで、現在もカードを重視しているブランドも存在します。以下では、代表的なブランドの対応状況を詳しく見ていきましょう。
ロレックス、オメガ、タグホイヤー
これらの時計ブランドでは、現在もギャランティカードが非常に重要です。製品の信頼性や修理履歴の証明として使われることが多く、査定時にも重視される傾向があります。
- 材質:プラスチック製(ホログラム入り)
- 特徴:シリアル番号・日付入り、ブランドロゴの刻印あり
- 今後の方針:現時点でRFIDへの移行発表はなし
シャネル
※上記の画像は旧カードの一例です。
2021年4月から、シャネルはバッグやウォレットにRFIDチップ内蔵のメタルプレートを搭載し、ギャランティカードを廃止しました。ICチップには個体情報が登録されており、カードがなくても真贋判定ができる仕組みとなっています。
- 過去のカード:ブラック地に金文字、8桁のシリアル番号入り
- 現在:メタルプレート(製品内部に縫い付け)にRFID搭載
ディオール
2022年ごろから、ディオールも一部商品においてICチップやRFIDによるデジタル認証を導入し始めています。商品内部に埋め込まれたタグにより、正規品であることの証明やアフターサービスでの管理が行われています。
対象商品:バッグ・革小物など(導入は順次拡大中)
特徴:タグまたはメタルプレートに情報を内蔵。専用アプリで確認できるモデルもあり
プラダ
※上記の画像は旧カードの一例です。
2021年7月ごろから、プラダはNFCやRFIDチップを使用した認証システムを導入し始めました。2021〜2022年製の商品では、ギャランティカードとICタグの併用がみられましたが、2023年春夏コレクション以降はカードの発行を廃止。ICタグのみで管理する方式へと完全に移行しました。
- 過去のカード:ホワイトカードに型番・店舗印・購入日入り
- 現在:タグやスマホで読み取れるNFCチップが付属
ルイ・ヴィトン、エルメス
ルイ・ヴィトンとエルメスでは、もともとギャランティカードを発行していません。正規購入を証明する手段としては、紙タグや購入レシート、製造番号などが活用されています。
- 製造番号は製品内部に印字または刻印されている
- 修理やアフターサービス時は購入証明書が必要になることも
なくした場合は再発行できる?ブランドごとの対応
一般的にギャランティカードの再発行は不可とされていますが、商品情報の確認や保証適用が可能な場合もあるため、まずは購入店やブランドのカスタマーサポートに相談するのが安心です。
たとえば、ロレックスではカードの再発行は原則不可ですが、購入記録が残っていて顧客情報と一致する場合には、修理時に内部データから保証期間の確認が可能です。また、シャネルでは2021年以降のRFIDプレート搭載モデルにおいてカードが廃止されており、ICチップから情報確認ができる仕組みとなっています。
いっぽうで、プラダやディオールなど一部のブランドでは、購入時のレシートや公式オンラインストアの購入履歴があれば、修理受付や真贋確認において代替対応をしてもらえるケースもあります。
ブランドや販売店によって方針は異なるため、まずは購入店舗またはカスタマーサービスに相談することが重要です。
ギャランティカードの保管、どうすれば安心?
ギャランティカードは、紙製やプラスチック製であることが多く、破損や劣化のリスクがあります。湿気の少ない場所で、カードケースやファイルに入れて保管しましょう。
バッグのポケットや財布に入れたまま持ち歩くと、擦れや折れによってカードが傷んでしまう恐れがあるため避けるのが無難です。
また、カードが複数枚ある場合は、ブランドや購入年ごとに分類して保管すると、必要なときにすぐに取り出すことができて便利です。
大切な資産価値を守るためにも、ギャランティカードの取り扱いには十分注意を払いましょう。
偽造に悪用…ギャランティカードに潜む2つのリスク
ギャランティカードは、正規品の証として広く信頼されてきました。しかし近年では、カードが偽造されるケースや、本物のギャランティカードを使った悪質な手口も確認されています。
この章では、そうした2つのリスクについて解説します。
偽物のギャランティカードに注意!
偽造されたギャランティカードは意外と多く、見た目だけで真贋を見極めるのは容易ではありません。特に、フリマアプリやオークションなど、非正規ルートでの購入には注意が必要です。
以下のような特徴が見られた場合は、偽造の可能性を疑いましょう。
- 印刷の粗さやぼやけた文字
- ホログラム加工がない、精度が低い
- ブランドロゴのフォントが異なる
- 正規品番号との不一致
少しでも不審な点があれば、正規販売店や査定士に確認してもらうことをおすすめします。
“本物のカード付き”でも油断は禁物
ギャランティカードは本物、ただアイテム自体が偽物だった…というケースもあります。
近年では正規のカードを流用し、偽物の品に添えて販売する手口が増加。とくにフリマアプリや並行輸入品では、「カード付き=本物」と思い込みやすく、この心理を悪用した詐欺的な販売が多発しています。
カードの有無だけに頼らず、販売元や商品の状態もしっかり確認することが大切です。
ギャランティカードの基礎知識を理解して賢く使おう
ギャランティカードは、ブランド品の真正性を証明する重要なアイテムです。小さなカードではありますが、その価値は決して小さくありません。
- 意味や役割を正しく理解する
- 保証書との違いを押さえる
- ブランドごとの対応を把握する
- 紛失時やカードなしでも焦らず対処する
これらのポイントを押さえておくことで、ブランド品を購入・売却する際に損をせず、より安心して取引を進めることができます。
とくに近年は、ギャランティカードの取り扱い方もブランドごとに多様化してきており、「あるから安心」「ないからダメ」と一概には言えない時代になっています。
だからこそ、正しい知識を身につけておくことが、ブランド品を賢く楽しむための第一歩です。