
高級ブランド品を探しているときに、「並行輸入品」という言葉を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
正規品より安価で魅力的ですが、「偽物では?」「安全に購入できる?」と不安に感じる方も多いでしょう。
本記事では、並行輸入品の基本知識から偽物の見分け方、安全な購入方法まで2025年の最新情報をもとに詳しく解説します。
目次
並行輸入品とは「正規代理店以外の個人または業者が輸入したもの」
並行輸入品とは、海外メーカーの正規代理店を通さず、第三者が海外から独自に輸入・販売する商品のことです。商品自体は海外で正規に販売されている真正品ですが、日本の正規流通ルートを経由していないため「並行輸入品」と呼ばれます。
消費者庁の定義によると、「海外メーカーの日本支社や輸入販売契約を結んだ正規の代理店等を通じて日本に輸入される正規輸入品とは異なるルートで輸入されたもの」とされています。
おもな仕入れルートは以下の通りです。
- 海外の正規販売店から業者が購入し輸入
- 個人が海外で購入し日本で転売
- 海外のオークションサイト等から仕入れ
並行輸入品市場は年々拡大しており、とくにブランド品や化粧品、電化製品などで多く見られます。
並行輸入品は合法だが、商標法上の注意点あり
並行輸入は完全に合法な商行為です。これは「真正商品の並行輸入理論」という法的原則に基づいています。
真正商品の並行輸入理論とは、商標権者やその承認を受けた者が海外で正規に製造・販売した商品であれば、第三者が日本に輸入しても商標権を侵害しないとする考え方です。
最高裁判所の判例により、以下の条件を満たす場合、商標権侵害にはならないと確立されています。
- 真正品であること
- 製造国と日本国内の権利者が同一であること
- 正規輸入品と品質に実質的差がないこと
ただし、偽物の輸入・販売は商標権侵害となり、刑事罰の対象になります。購入時は真贋をしっかり確認することが重要です。
正規品との違い
正規輸入品と並行輸入品には複数の重要な違いがあります。これらの違いを理解することで、自分に最適な選択ができるようになります。
輸入ルート・販売経路
正規輸入品と並行輸入品の最も基本的な違いは、商品が消費者に届くまでの流通ルートです。この違いが、価格や保証などの様々な要素に影響を与えています。
正規輸入品
- メーカー→正規代理店→小売店の流通ルート
- 公式認定された販売チャネル
- 厳格な販売条件・価格統制
正規輸入品は、海外メーカーが日本市場向けに正式に認定した代理店を通じて輸入されます。この流通ルートでは、ブランドイメージの統一や品質管理の徹底が図られており、消費者は安心してブランド品を購入できます。
並行輸入品
- 海外正規店→輸入業者→小売店の流通ルート
- 独立した輸入業者による調達
- 自由な価格設定が可能
並行輸入品は、個人や業者が海外の正規販売店から商品を購入し、日本国内で販売するものです。メーカーの販売統制を受けないため、価格競争が生まれやすく、消費者にとってより安価な選択肢となります。
保証・アフターサービス
保証とアフターサービスの充実度は、正規品と並行輸入品の最も大きな違いの一つです。長期間使用する高額商品を購入する際は、とくに重要なポイントとなります。
正規輸入品
- 国内メーカー保証あり
- 正規代理店での修理対応可能
- 技術サポート・相談窓口完備
- メンテナンス・クリーニングサービス
正規輸入品を購入すると、メーカーや正規代理店による手厚いサポートを受けることができます。故障時の修理はもちろん、使用方法の相談や定期メンテナンスまで、トータルサポートが提供されるのが特徴です。
並行輸入品
- メーカー保証なし
- 販売店独自保証のみ(ある場合)
- アフターサービス限定的
- 修理対応は一般業者頼み
並行輸入品では、メーカーの公式保証を受けることができません。ただし、信頼できる販売店では独自の保証制度を設けている場合があります。修理が必要になった際は、一般の修理業者に依頼することになり、純正部品の入手や技術力に不安が残る場合があります。
価格・モデル展開
価格面での違いは、多くの消費者が並行輸入品に注目する最大の理由です。また、商品の選択肢においても大きな違いがあります。
正規輸入品
- 定価販売が基本
- 国内向けモデルのみ
- 価格統制により割引限定的
正規輸入品は、ブランドイメージや価値を維持するため、基本的に定価での販売が行われます。セールやキャンペーンはありますが、大幅な割引は稀で、価格の安定性が特徴です。
また、日本市場向けに厳選されたモデルのみが展開されます。
並行輸入品
- 商品によっては正規品より数十%安く入手できる場合もある
- 世界中のモデルが選択可能
- 為替レート・現地価格が反映
並行輸入品の大きな魅力は価格の安さです。正規代理店の中間マージンが省かれるため、条件によっては正規品より安く購入できる場合があります。
また、世界中で販売されているモデルから選択でき、日本未発売の限定品や地域限定カラーなども手に入る可能性があります。
付属品や仕様の違い
商品本体は同じでも、付属品や仕様には地域によって違いがあります。とくに取扱説明書や保証書の言語、電化製品の規格などに注意が必要です。
正規輸入品
- 多くの場合、日本語説明書が付属
- 正規保証書・ギャランティーカードが同梱されることが一般的
- 日本市場向けの仕様に準拠しているケースが多い
正規輸入品には、一般的に日本語で書かれた詳細な取扱説明書が付属します。
また、保証書やギャランティーカードも日本国内で有効なものが同梱されるケースが多く、購入後の手続きもスムーズに行えます。電化製品の場合は、多くは日本の電圧や規格に対応した仕様となっています。
並行輸入品
- 説明書が外国語表記のみの場合が多い(翻訳なし)
- 保証書は海外向けで、日本では無効となるケースが一般的
- 輸入元国の仕様に準じていることが多い
並行輸入品の説明書は、一般的に輸入元の国の言語で記載されており、日本語訳が付属しないことも少なくありません。保証書についても、現地向けのものとなるケースが多く、日本国内では有効とならない場合が一般的です。
また、電化製品では電圧やプラグ形状が日本と異なることがあり、その際は別途変換器などが必要になることがあります。
検品・品質管理体制
商品の品質管理は、消費者の安全と満足に直結する重要な要素です。正規品と並行輸入品では、検品体制に大きな違いがあります。
正規輸入品
- 日本向けの法規制・品質基準に適合
- 正規代理店による検品・流通管理
- 品質保証やアフターサービスの体制
正規輸入品は、電気用品安全法(PSEマーク)、電波法(技適マーク)、薬機法など、日本の法令で定められた基準を満たした商品のみが販売されます。さらに、正規代理店による検品や流通管理を経て、市場に不良品や不具合品が出回るリスクは最小限に抑えられています。
また、万が一問題が発生した場合でも、国内での保証や修理などの対応体制が整備されています。
並行輸入品
- 輸入元国の基準
- 輸入業者の検品レベルに依存
- 品質管理体制にばらつき
並行輸入品の品質管理は、輸入業者の検品体制に大きく依存します。信頼できる業者であれば適切な検品が行われますが、業者によっては検品が不十分な場合があります。
輸入元国の品質基準が日本と異なる場合もあり、消費者は事前に販売店の品質管理体制を確認することが重要です。
ブランドとの関係性・サポート範囲
ブランドとの公式な関係性は、購入後のサービスや特典の充実度に大きく影響します。とくに高級ブランド品では、この違いが顕著に現れます。
正規輸入品
- ブランド公式サポート対象
- ブランド直営店でのサービス可能
- 公式イベント・キャンペーン参加可能
正規輸入品を購入すると、ブランドの公式カスタマーとして認識され、様々な特典やサービスを受けることができます。直営店での修理やメンテナンス、VIP向けイベントへの招待、新商品の先行案内など、ブランドとの長期的な関係を築くことが可能です。
並行輸入品
- ブランド公式サポート対象外
- ブランド直営店でのサービス不可
- 公式特典・サービス対象外
並行輸入品の購入者は、ブランドの公式顧客として認識されません。そのため、直営店での修理サービスや、会員限定のイベント・キャンペーンには参加できません。ブランドとしては、正規ルート以外での購入を推奨していないため、公式サポートの対象外となるのが一般的です。
保証期間・修理対応のスピード
商品に問題が発生した際の対応スピードは、日常使いする商品ではとくに重要な要素です。保証期間の長さと修理対応の迅速さに大きな違いがあります。
正規輸入品
- 多くの場合 1〜3年の保証期間
- 一般的に迅速な修理対応(1〜2週間程度が目安)
- 専用パーツの供給体制が整っているケースが多い
正規輸入品では、メーカーや正規代理店による手厚い保証が提供されます。故障や不具合が発生した場合、専用の修理拠点で迅速に対応してもらえます。純正部品の在庫も豊富で、修理期間も短く済むのが特徴です。
並行輸入品
- 保証期間なし、または限定的
- 修理対応に時間がかかる場合が多い
- パーツ入手に困難を伴う可能性
並行輸入品では、基本的にメーカー保証は適用されません。修理が必要になった場合、一般の修理業者に依頼することになりますが、純正部品の入手に時間がかかったり、技術的な問題で修理できない場合もあります。販売店によっては独自保証を提供していますが、期間や内容は限定的です。
並行輸入品を選ぶメリット
並行輸入品には正規輸入品にはない独特の魅力があります。価格面だけでなく、商品の入手性や多様性においてもメリットがあります。
正規品よりも安く購入できる
並行輸入品最大の魅力は価格の安さです。
正規代理店を通さないため、以下のコストが削減されます。
- 正規代理店の中間マージン(一般的に数%〜数十%程度)
- 国内での広告宣伝費
- アフターサービス体制の維持費
海外での為替レートや現地セール価格も反映されるため、タイミングによってはさらなる値引きも期待できます。
国内未発売のモデルが購入できる
並行輸入品なら、以下のような希少なアイテムが手に入ります。
- 海外限定カラー・デザイン
- 現地での記念モデル・コラボレーション商品
- 日本市場投入前の最新モデル
- すでに日本で廃盤となったヴィンテージアイテム
例えば、ヨーロッパ限定のバッグカラーや、アメリカでのみ販売される時計モデルなど、正規輸入では絶対に手に入らないアイテムが豊富です。SNSでの注目度も高く、他の人とは違う個性的なファッションを楽しめるのも大きな魅力です。
正規店よりも欲しいアイテムが早く手に入るケースも
海外で先行発売された商品を、正規輸入を待たずに入手できるケースがあります。
- 欧米での先行発売後、日本での発売まで数ヶ月程度のタイムラグが生じることがある
- 限定モデルは日本発売が決定しない場合も多い
- シーズン商品は並行輸入の方が早く手に入る傾向
とくにファッション業界では、海外ファッションウィークで発表された最新アイテムを、正規輸入前にいち早く取り寄せることが可能です。
保証期間や在庫制限に縛られず自由に購入できる場合がある
並行輸入品は世界中の市場から商品を調達するため、正規輸入品と比べて圧倒的に選択肢が豊富です。
- 複数の国・地域からの仕入れによる豊富な在庫
- サイズ・カラーバリエーションの充実
- 価格帯の幅広さ
- ヴィンテージから最新作まで幅広い年代の商品
正規店では売り切れている人気商品も、並行輸入品なら在庫がある場合が多く、欲しいアイテムが見つかる可能性が高まります。
並行輸入品を選ぶデメリット
並行輸入品にはメリットが多いいっぽうで、購入前に理解しておくべきリスクやデメリットも存在します。これらを事前に把握することで、後悔のない買い物ができます。
保証やアフターサービスが受けられない
並行輸入品の大きなデメリットのひとつは、多くの場合メーカー保証やアフターサービスが受けられないことです。高額な商品ほど、この保証の有無は大きな影響を与えるため、購入前に十分に検討する必要があります。
受けられないことが多いサービス
- 無料修理(保証期間内でも対象外となるケースが多い)
- メンテナンス・クリーニングサービス
- 部品交換・パーツ供給
- 技術サポート・使用方法の相談
正規品であれば当然受けられるこれらのサービスが、並行輸入品では原則対象外となるのが一般的です。とくに精密機器や高級ブランド品では専門的な修理が必要になることが多く、一般の修理業者では対応が難しい場合もあります。
ただし、一部の並行輸入販売店では独自の保証を設けています。以下はその一例です。
- 販売店独自の1年保証
- 提携修理工場での対応
- 返品・交換サービス
信頼できる並行輸入販売店であれば、メーカー保証の代替として独自保証を用意している場合もあるため、購入前に保証内容や修理対応の実績を確認することが大切です。
偽物を購入してしまう恐れがある
並行輸入品市場では、残念ながら偽物やコピー品が混在するリスクがあります。とくに人気ブランドや高額商品では、偽物の技術も巧妙化しており、一般消費者には見分けが困難な場合があります。
偽物が混入する理由
- 仕入れルートの不透明性
- 真贋鑑定体制の不備
- 悪意のある業者による意図的な販売
- 海外市場での偽物の巧妙化
並行輸入品の仕入れルートは多様で、なかには信頼性の低いルートから調達している業者も存在します。
また、真贋を適切に判定できる鑑定士が在籍していない販売店では、偽物が本物として販売されてしまうリスクがあります。
偽物を見分けるポイント
- シリアルナンバー・製造番号の確認
- 素材感・縫製の品質チェック
- ロゴ・刻印の精度確認
- 付属品(箱・袋・カード)の品質
- 販売価格の妥当性(相場との比較)
購入前には必ず商品の詳細画像を確認し、不自然に安い価格設定の商品は避けることが大切です。また、真贋保証書を発行している販売店を選ぶなど、リスク軽減策を講じましょう。
国内規格ではない可能性がある
海外市場向け製品のため、日本の基準や使用環境に適さない場合があります。とくに電化製品や化粧品では、安全性や法規制に関わる重要な問題となる可能性があります。
電化製品での注意点
電化製品での注意点
- 電圧仕様(110V/220Vなど)
- プラグ形状・コンセント規格
- 技適マーク未取得(無線機器)
- 日本の電波法に非対応
日本の電源電圧は100Vですが、海外製品は110Vや220V仕様の場合があります。無理に使用すると故障や火災の原因となる可能性があります。また、Wi-Fi機能付きの電子機器では、技適マークがないものは日本で使用すると電波法違反となります。
化粧品・香水での注意点
- 薬事法に基づく成分基準
- アレルギー表示の違い
- 容量・濃度規制
海外の化粧品は、日本では使用が認められていない成分が含まれている場合があります。また、アレルギー表示の基準も国により異なるため、敏感肌の方はとくに注意が必要です。
その他の注意事項
- 説明書が外国語表記のみ
- サイズ表記(US・EU・UKサイズ)
- 保証書の言語・有効地域
購入前に日本での使用可否を必ず確認し、必要に応じて変換器やアダプターの準備を検討しましょう。
買取を断られる可能性がある
並行輸入品は将来的な買取や転売時に、正規品と比べて不利になる場合があります。資産価値を重視する方や、将来的な売却を考えている方には大きなデメリットとなります。
買取・査定への影響
- 買取拒否される可能性
- 査定額が正規品より低くなる可能性
- 真贋証明の困難さ
- 保証書・付属品の不備
並行輸入品は正規品と同じ商品でも、買取市場では区別されて扱われます。とくに高級ブランド品では、正規品の証明書類がないことで査定額が大幅に下がったり、買取自体を断られる場合があります。
実際の対応は店舗ごとに異なり、並行輸入品を一切取り扱わないところもあれば、条件付きで査定・買取に応じる店舗も存在します。将来の売却を考える場合は、購入前に「どの買取店が並行輸入品を扱っているか」を確認しておくことが重要です。
将来の売却を考えている場合は、購入時に買取対応している店舗を事前に調べておくことをお勧めします。また、付属品や購入証明書は大切に保管しておきましょう。
並行輸入品を買い取ってもらうには
並行輸入品の買取を成功させるためには、以下のポイントが重要です。
- 買取店選びのコツ
- 並行輸入品取扱い実績のある店舗を選ぶ
- 複数店舗で査定を受ける
- 専門性の高い買取店を優先する
査定時に必要な準備
- 購入時のレシート・領収書
- 付属品を全て揃える(箱・保存袋・カードなど)
- 商品の状態を良好に保つ
- 真贋証明に役立つ資料の準備
リセールバリューを重視する場合は、将来の買取可能性、査定時に必要な書類・証明、市場での需要・人気度を事前に確認しましょう。資産価値を考慮するなら正規品を選ぶのが安全です。
ブラリバでは並行輸入品の買取にも対応しています。
豊富な実績と専門知識を持つ鑑定士が丁寧に査定し、市場相場を踏まえた適正価格での買取をお約束します。
「正規品じゃないから断られるかも…」と不安に感じている方も、まずはお気軽にご相談ください。
並行輸入品は正しい知識で安全に購入しよう
並行輸入品は、適切な知識と慎重な販売店選択により、正規品と同品質の商品を安価で購入できる魅力的な選択肢です。
以下に改めてメリットと注意点、購入のポイントをまとめます。
メリット
- 正規品より安い価格
- 日本未発売の限定モデルが手に入る
- 豊富な選択肢から選べる
注意点
- メーカー保証がない
- 偽物のリスクがある
- 将来の買取価格が下がる可能性
安全な購入のポイント
- 信頼できる販売店選び(古物商許可証、真贋保証等)
- 相場価格の事前確認
- 商品の真贋見分け方の習得
2025年現在、並行輸入品市場はさらに拡大しており、正しい知識があれば非常にお得な買い物ができます。
少し視野を広げるだけで、思いがけない掘り出し物に出会えるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。