
国内の金の店頭小売価格(税込)は2025年9月29日に初めて1グラムあたり2万円を超えました。
今後も金価格は上昇するのか、それとも下落するのか?多くの人が気になっているのではないでしょうか。
この記事では、金価格の現状を整理するとともに、短期的な下落リスクと長期的な上昇要因を解説。さらに、AIによる10年後・20年後の金価格予測も紹介します。
※本記事に記載された将来の価格見通しや市場動向は、複数の業界レポートや公開情報をもとに編集・推定したものであり、いかなる投資判断を保証するものではありません。ご自身の判断と責任において参考情報としてご活用ください。
目次
金価格はまだ上がる?現状と今後の予想

世界的な経済情勢や金融市場の不安定さを背景に、安全資産とされる金価格は過去最高水準にまで高騰しています。国内市場でも同様に高値が続き、多くの人が今後の行方に注目しています。
結論として、金価格の上昇は落ち着きを見せるか、下落に転じる可能性がありますが、長期的には上昇の余地があると見られます。現状を踏まえて、今後の動向を見ていきましょう。
金価格が高騰している現状
出典:金価格 店頭小売価格(税込)円/グラム|田中貴金属
2020年のコロナ禍の金価格は1グラムあたり約6000円前後で推移していましたが、2022年頃から徐々に上昇傾向となり、2024年に大きく上昇しました。コロナ禍の水準と比較して3倍以上の成長を遂げています。
その背景には、世界的な金融不安や地政学リスクの高まりに加え、安全資産として金の需要が高まったことが挙げられます。
ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化も避難需要を押し上げる要因となり、中国やロシアなど各国の中央銀行が外貨準備として金を積極的に購入している点も相場を支えているのです。
【今後の金価格①】短期では下落の可能性
短期的には、金価格が下落に向かう可能性があります。要因のひとつは、ロシアのウクライナ侵攻をはじめとする国際紛争が収束に向かうかもしれない点です。
金市場は世界情勢に敏感であり、停戦交渉の進展があれば、金の安全資産としての需要が弱まり、売却が広がる可能性があります。
その結果、金価格が下落することが考えられるでしょう。
もうひとつは、アメリカの金利動向です。2024年以降はインフレ鈍化を受けてFRB(米連邦準備制度理事会)が利下げに転じていますが、実質金利の動き次第ではドル高が進み、利息を生まない金の魅力が一時的に低下する局面も考えられます。
金融市場では、実質金利やドル指数の上昇が金価格の重しとなるいっぽうで、地政学リスクやインフレ懸念が再燃すれば再び上昇に転じる可能性もあります。
こうした要素が重なると、短期的には調整局面に入り、一時的に値下がりする展開も想定されます。
【今後の金価格②】長期では上昇の可能性

長期的には、金価格が上昇する可能性があります。要因のひとつは、需要が今後も継続すると見込まれる点です。
金は宝飾品だけでなく、半導体や電子機器といった産業用途にも広く利用されています。そのため、金需要が急激に失われる可能性は低いのです。とくに半導体部品では高い電気伝導性を持つ金が欠かせません。金需要は今後も継続すると考えられ、需要に伴い、金価格も上昇する可能性があります。
さらに、各国の中央銀行が準備資産として金を積極的に保有していることや、投資家がインフレ対策として金を購入し続けていることも価格を支える要素です。
供給の限界と需要の継続というふたつの側面から、長期的に金価格は上昇傾向を示すと考えられます。
また、一部の予測によると、金価格は今後2倍にもなると考えられています。この予想について詳しく知りたい人は、こちらの記事もおすすめです。
>>金価格が2倍になる可能性も?現在の動向と今後の予想を解説!
今後の金価格上昇に影響を与える5つの要因をチェック
2024年には国際市場で過去最高値を更新し、2025年もその勢いを保ったまま高値圏で推移しています。日本国内でも金価格は1グラム2万円を超え、史上最高水準に到達しました。
金価格が上がっているおもな要因として、下記の5つが考えられます。
- 地政学リスクの勃発・継続
- 円安の進行が継続している
- 景気変動と資産防衛ニーズの高まり
- 需要と供給のバランス
- 中央銀行の動向
これら5つの要因を重点的に解説します。
上昇要因① 地政学リスクの勃発・継続
地政学リスクの高まりは、金価格の上昇を後押しする要因です。
現在、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中東地域(イスラエル・パレスチナを含む)の緊張激化、台湾海峡をめぐる対立や米中関係の悪化など、不安定な状況が続いています。
戦争や国際対立が表面化すると、経済や金融市場の先行き不透明感が強まり、投資家は株式や債券から資金を引き揚げ、安全資産とされる金を購入する流れが定着しつつあるのです。
実際、2022年のロシアのウクライナ侵攻後には金需要が急増し、相場を大きく押し上げました。
出典:年次金価格推移|田中貴金属
歴史的にも1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻や2001年のアメリカ同時多発テロの際に金相場が急騰した例があり、地政学リスクと金価格の上昇には強い関連が見られます。
このように、地政学リスクの勃発や継続は投資行動を大きく左右し、今後も金価格を支える重要な要因になると考えられます。
上昇要因② 円安の進行が継続している
金価格に強い影響を与えている要因のひとつが為替相場、とくに円安の進行です。
2022年以降、日本円は大幅に下落し、一時は1ドル=160円台を記録しました。その後、当局の為替介入などを受けて一時130円台まで戻ったものの、再び円安が進行し、2025年11月4日時点も1ドル150円前後で推移しています。
この背景には、依然として残る日米の金利差があります。アメリカではインフレ沈静化を受けて2024年以降利下げに転じたものの、政策金利は依然として高水準を維持しています。いっぽうで日本銀行はマイナス金利を解除した後も緩和的なスタンスを続けており、金利差の完全な解消には至っていません。
出典:主要各国政策金利表|為替どっとコム
さらに、2025年春にはトランプ大統領が対日25%関税を表明したことが一時的に円売りを加速させました。その後、日米間の合意により関税は15%へ修正されたものの、為替相場は円安圏での推移が続いています。
為替相場が円安・ドル高に振れると、国際市場での金価格が変わらなくても、日本円に換算した金価格は上昇します。円安の継続は、今後も国内の金価格を押し上げる主要因のひとつといえるでしょう。
上昇要因③ 資産防衛ニーズの高まりと景気変動
資産防衛への意識の高まりや景気の変動も、金価格を押し上げる要因です。
株式市場の低迷や金融不安が生じる局面では、投資家は資産を守るために安全資産である金を購入し、結果的に金価格が上昇しやすくなります。過去には、2008年のリーマンショックや2020年のコロナショックといった世界的な経済危機の際に、金の安全性が再評価され、金相場が急騰しました。
さらに、インフレが進行する局面でも通貨の価値下落に備える手段として金の需要が高まり、価格が上昇する傾向があります。たとえば、2022年のアメリカでは高いインフレが続く中で、金の投資リターンが株式を上回りました。
このように、景気悪化やインフレによって資産防衛の動きが強まると、金需要は一段と拡大し、価格を押し上げる要因となるのです。
上昇要因④ 需要と供給のバランス
金価格は、基本的に需要と供給のバランスによって決まります。一般的には、需要が拡大して供給が追いつかなければ価格は上昇し、逆に需要が減少して供給が増えれば価格は下落します。
近年の金市場では、需要の強さに対して供給が限られており、それが価格上昇を後押ししています。
金は宝飾品だけでなく、工業用途や現物投資、さらには各国の中央銀行による準備資産など、多方面で需要があります。そのため、今後の金需要が急減する可能性は低く、むしろ安定的な増加が見込まれています。
『World Gold Council(WGC)』の「Gold Demand Trends 2024」によると、2024年の世界金総需要は4,974トン(前年比+3%)と過去最高を更新。とくに中央銀行による金購入量は3年連続で1,000トン超に達しており、価格を強力に支えています。
いっぽうで、供給面では年間の鉱山産出量が約3,300〜3,600トンにとどまり、新規鉱山の開発には多大なコストと長い年月を要します。世界の確認埋蔵量は約5万9,000トン(USGS 2024)とされ、供給の伸びが鈍化しているのが現状です。
このように、需要の増加と供給制約の継続が重なり、金の希少性は一層高まっています。結果として、金価格は中長期的に上昇しやすい構造にあるといえるでしょう。
上昇要因⑤ 中央銀行の動向
中央銀行の動向も金価格を左右する大きな要因です。
各国の中央銀行が金を購入すれば、需要が急増し、価格を押し上げます。その背景には地政学リスクの高まり、ドルなど特定の外貨への依存度を下げて外貨準備を多様化する狙い、インフレ対策をするといった目的があるのです。
こうしたことから世界の中央銀行による金購入量は近年急増しており、2022年から3年連続で年間1000トンを超えています。
また、金利と金価格には一般的に逆相関関係があり、「金利上昇=金価格下落」「金利低下=金価格上昇」とされます。
しかし、経済状況によってはこの関係が崩れる場合も。たとえば、日本では2024年に日本銀行が約17年ぶりに利上げを実施しましたが、その時期には金利の付かない金への需要が増え、結果として金価格は上昇しました。
中央銀行の金買い姿勢や金利政策は時々の景気や金融環境によって異なる影響を及ぼし、今後も金相場を動かす重要な要因になると考えられます。
【2025年11月更新】AIが予測!10年後・20年後の金価格

今後の金価格はどうなるのか?投資を考える皆さんが、最も気にしているポイントだと思います。これまでの動向を踏まえたうえで、弊社のアシスタントAIに予測を立ててもらいました。
※本予測は過去数年の金価格推移や経済指標をもとにしたシミュレーション結果であり、将来の価格動向を保証するものではありません。市場環境の変化によって実際の価格は大きく異なる可能性があります。投資判断の際は最新の相場や専門家の意見もあわせてご参照ください。
【10年後】2035年の金価格予測は最大1グラムあたり3万4200円
2035年の金価格は、1グラムあたり2万2000円から3万4200円の範囲に達する可能性があると予測されます。これは、現在の水準から今後10年で着実に価値を高めていくことを示唆しています。
この価格予測の背景には、価格を押し上げる要因と抑制する要因が複雑に絡み合っています。
まず、価格上昇の要因として、地政学的リスクの高まりが挙げられます。台湾海峡や中東情勢の不安定さが長期化する懸念は、価値のブレが少ない「安全資産」としての金の需要を世界的に高めます。また、各国の中央銀行がインフレや自国通貨への不安から金の準備高を積み増す動きも、価格の強力な下支えとなります。需給面では、金が埋蔵量の限られた希少な資源であるいっぽう、電子部品や再生可能エネルギー関連などの工業用途で需要が安定的に拡大しており、このバランスも価格を支えるでしょう。さらに日本国内では、物価上昇の定着や長期的な円安傾向が、円建ての金価格を押し上げる要因となる可能性があります。
そのいっぽうで、価格上昇を抑制する要因も存在します。例えば、世界経済が安定に向かえば、投資家のリスク回避姿勢が和らぎ、安全資産である金の需要が減少することが考えられます。また、世界的に金利が上昇する局面では、利息を生まない金の魅力が相対的に薄れるため、価格の重しとなる可能性があります。加えて、現在の歴史的な円安が将来的に是正(円高方向に変動)された場合、日本国内における円建ての金価格の上昇ペースを緩やかにすることも十分に考えられます。
これらの理由から、2035年の金価格は複数の要因に支えられて上昇基調をたどると考えられます。金は短期的な投機対象としてではなく、インフレに備え、長期的な視点で資産価値を保全する役割が今後さらに重要になるでしょう。ただし、価格には変動リスクも伴うため、投資を判断する際には、世界経済や金融政策、為替の動向を十分に考慮する必要があります。
※この予測は、過去5年分の金価格推移などをもとに、AIが機械学習により算出した参考値です。ここで予測されていない外部要因によって、価格が下落に転じるリスクも十分にあるため、投資判断は慎重に行う必要があります。
10年後の予想については以下の記事でくわしく解説しています。あわせて参考にしてください。
>>金価格、10年後はどうなる?経済動向から見る将来予測
【20年後】2045年の金価格予測は最大1gあたり5万円
2045年の金価格は、短期的な調整を挟みながらも長期的な上昇トレンドを維持し、1グラムあたり2万8000円から5万円の水準に達する可能性があると予測されます。
この長期的な価格上昇の背景には、特に「供給の制約」と「需要の拡大」という構造的な変化があります。
まず、供給面では制約が深刻化する見通しです。現在の採掘技術で経済的に採掘できる金の埋蔵量には限りがあり、新規鉱山の開発にも長い年月と多大なコストを要します。このため、金の供給量は今後も大きく増える見通しは立っておらず、価格を押し上げる要因となっています。いっぽうで、需要はAI、宇宙開発、電気自動車、量子コンピューターといった先端技術分野を中心に数倍に拡大する可能性があり、この需給バランスの引き締まりが価格を押し上げる根本的な力となります。
さらに、世界経済と金融の動向も価格を後押しします。新興国を中心とした経済成長に加え、世界的なインフレ圧力や各国の財政赤字拡大を背景に、各国の中央銀行がドル依存からの脱却や外貨準備の多様化を目的として、金の保有を拡大する動きが続くと見られます。もし将来的に米ドルの信用力が相対的に低下するような事態になれば、金への資金流入は一段と加速するでしょう。日本国内においても、人口動態や財政構造の変化に伴う長期的な円安基調が、円建ての金価格を支える要因となります。ただし、世界経済が安定化したり、金利が上昇したりする局面では、短期的な価格調整が入る可能性も考慮しておく必要があります。
これらの要因を総合すると、金は短期的な価格変動を乗り越え、世界経済の成長や技術革新を自らの価値に取り込みながら、超長期的な資産形成の核となりうる資産と言えます。したがって、目先の値動きに一喜一憂するのではなく、2045年を見据えた長期的視点での投資判断がより重要になるでしょう。
※この予測は、過去5年分の金価格推移などをもとに、AIが機械学習により算出した参考値です。ここで予測されていない外部要因によって、価格が下落に転じるリスクも十分にあるため、投資判断は慎重に行う必要があります。
資金調達を検討しているなら売却も視野に
金の価格は近年高騰を続け、2025年9月にはじめて1グラムあたり2万円台を突破し、過去最高水準に達しました。過去2年間で国内の金価格は2倍以上に跳ね上がり、今後も上昇の余地があると見込まれています。
今後の資産形成を目的として投資用に金を買う方もいると思いますが、金価格が高騰している今は、売却のチャンスでもあります。とくに新しいブランド品などの購入を検討している方は、金を売却して目先の資金調達としてもよいでしょう。
そうした方におすすめなのが、ブランド買取専門の「ブラリバ」です。ブラリバは累計950億円を超える買取実績を持つ信頼の専門店で、経験豊富なスタッフによるスピード査定や買取手数料負担サービスにより、初めての方でも安心して利用できます。
2025年11月21日時点での金買取相場は1グラムあたり2万2,586円と高値になっており、売却を検討していただきやすい好機といえます。金価格は日々変動するため、最新の相場をぜひブラリバ公式サイトで確認してください。
2025年11月21日時点の
金1gあたりの買取相場価格
買取相場価格:22,586円
※出典:ブラリバ「金・貴金属 今日の1gあたりの買取相場価格」
※前日比は土日・祝日および休業日を除く前営業日の価格との比較で算出。
金は今後も価格が上昇する可能性が高い
金価格の今後について、価格を左右する要因やAIを使った10年後・20年後の予想を解説しました。2025年11月現在も金価格は1グラムあたり2万円台を推移し、今後も長期にわたって価格上昇が見込まれています。
こうした上昇局面では、資金形成を見越した金の購入や目先の資金調達を目的とした売却を検討するのに有利です。
金相場の現状や今後の見通しを理解したうえで、最適な売却のタイミングを見極めることが重要です。金価格が高水準にある今、ぜひブラリバを活用して有利な売却を行ってください。
参考文献
金価格推移|田中貴金属
主要各国政策金利表|為替どっとコム
Gold Demand Trends Q4 and Full Year 2024|World Gold Council

