サファイアの色とランクを徹底解説!選び方のポイントも紹介

世界四大宝石のひとつに数えられるサファイアは、古くから価値ある宝石として扱われてきました。さまざまな色味を楽しめるのもサファイアの魅力ですが、いざ自分自身で購入しようと思ったとき、やはり気になるのがその「価値」についてです。

サファイアの価値は色で決まると言われていますが、具体的にどういうことなのでしょうか。サファイアの色の種類やランク、それぞれの価値、魅力に迫ります。自分にぴったりなサファイアを見つけるための基礎知識として、ぜひ役立ててみてください。


サファイアの基本情報

サファイアは、その美しい輝きと豊かな色彩で多くの人々を魅了してきた宝石です。古代から神聖な意味を持ち、現在でもジュエリーとして高い人気を誇ります。ここでは、サファイアの歴史や特徴について詳しく解説していきます。

サファイアとは?

サファイアは美しい青色が印象的な宝石ですが、実は青以外にもさまざまなカラーが存在します。古くから「真実」「誠実」「知恵」の象徴として愛され、歴史的な逸話も多く残っています。まずはサファイアの基本的な情報について見ていきましょう。

サファイアの歴史と由来

サファイアの歴史は古代まで遡ります。古代ローマやギリシャでは、神々の加護を得るための護符として用いられていました。
また、中世ヨーロッパでは王族や聖職者の象徴とされ、「正義」と「真実」を守る力があると信じられてきました。

他の宝石との違い

サファイアはコランダムという鉱物の一種で、ルビーと同じ鉱物グループに属します。赤いコランダムはルビー、それ以外の色がサファイアと分類されます。硬度が高く耐久性にも優れているため、ジュエリーとして長く愛用できる点も魅力です。

サファイアの特徴

サファイアは、その硬度や耐久性に優れた特性を持つことで知られています。
また、青色だけでなくピンクやイエロー、グリーンなど多彩なカラーバリエーションも魅力のひとつです。

硬度と耐久性

サファイアの硬度はモース硬度で9と評価され、ダイヤモンドに次ぐ硬さを持ちます。そのため、日常的に身に着けても傷がつきにくく、耐久性にも優れています。ただし、内部に含まれる内包物や傷がある場合は、衝撃に弱くなることもあるため注意が必要です。

カラーバリエーションの豊富さ

サファイアと聞くと青色をイメージしがちですが、実はグリーン、イエロー、ピンク、ホワイトなど、幅広い色合いがあります。これらの色の違いは、内部に含まれる微量元素によって生じます。
特に鮮やかなブルーの「ロイヤルブルー」や、「パパラチアサファイア(オレンジピンク)」は希少価値が高く、コレクターや宝石愛好家から高く評価されています。

サファイアの多彩な側面を知ることで、その魅力をより深く理解することができます。次の章では、サファイアの価値を決定する「色のランク」について解説していきます。


サファイアでもっとも重要な要素は「色」

サファイアはもともと、酸化アルミニウムが結晶化してできた「コランダム」という鉱物の一種です。同じコランダムにはルビーも含まれていますが、両者の違い「色」にあります。コランダムのなかの赤く発色したものがルビーと呼ばれ、それ以外の色の石がサファイアと呼ばれます。サファイアの場合、宝石としての成り立ちにも色が深く関わっているため、その価値を判断する際にどのようなカラーなのかが最重要視されています。

サファイアには青以外にピンクやオレンジ、緑の石も存在しています。そのほか、色の濃淡も様々です。ランクが高いサファイアとして高値で取引されるのは、やはりブルー系。「ロイヤルブルー」や「コーンフラワーブルー」など、深みのある色合いを楽しめる石は、とくに価値が高いとされています。


サファイアの色の種類

サファイアの色は、その価値を決定づける重要なポイント。だからこそ、購入時にはじっくりとこだわりたいところです。サファイアの色にはどのような種類があるのでしょうか。6つの色合いについて具体的に解説するので、ぜひチェックしてみてください。

ブルーサファイア

サファイアのなかでも、とくに価値が高いとされるのが「ブルーサファイア」です。ひとことで「青」といってもさまざまな色味の石が存在しますが、色の深みと透明度が評価のポイントになります。サファイア特有の青が濃く出ていて、かつ透明感が高いものほど、高値で取引されます。

また、ブルーサファイアは原産地によっても評価が変わるのが特徴です。たとえば、インドとパキスタンの間に位置するカシミール産サファイアは、「ミルキーブルー」とも表現される柔らかな青色が魅力で、特に希少価値が高いとされています。中でも「コーンフラワーブルー」と呼ばれる白みがかった淡青色の石は、世界最高峰のブルーサファイアとして知られています。すでに採掘は終了しており、現在では市場に出回ること自体が稀です。

そのほか、ミャンマー(ビルマ)産サファイアは濃く鮮やかな青で、シルク状の内包物を含むことがあります。スリランカ(セイロン)産はやや明るく透明度が高い色合いで知られ、「ロイヤルブルー」の名で取引されることもあります。

なお、多くのブルーサファイアには、加熱処理(ヒーティング)が施されています。これは色味や透明度を向上させるための一般的な処理ですが、非加熱(ノーヒート)サファイアは希少価値が高く、鑑別書付きで高額取引されることもあります。

グリーンサファイア

サファイアらしい青色に黄色が混ざり合うことで生まれるのが「グリーンサファイア」です。グリーン系の色合いは比較的落ち着いた印象を与えますが、その色味の明暗によって価値が大きく変わるのが特徴です。

一般的に出回っているのは、深く渋い色合いを持つ「ボトルグリーン」と呼ばれるタイプで、それほど高価ではありません。しかし、ごく稀に鮮やかなネオンカラーのような「ライムグリーン」のサファイアが採掘されることがあります。こちらは非常に希少で、美しさとレアリティから高値で取引されています。

イエローサファイア

イエローサファイアは、淡いレモンカラーから深みのあるゴールデンカラーまで、色の幅が広いのが魅力です。明るく柔らかな印象を持つため、ファッション性にも富み、パワーストーンとしても人気があります。

特にインドでは、イエローサファイアは「プクラジストーン」や「オリエンタルトパーズ」と呼ばれ、特別な意味を持つ石とされています。インド占星術において木星を象徴する石とされ、成功や繁栄を呼ぶと信じられています。

一般的にはブルーサファイアよりも価値は劣るものの、未処理・非加熱のゴールデンサファイアは非常に珍しく、コレクターから高く評価されます。多くのイエローサファイアには、ベリリウム拡散処理と呼ばれる色を強調する加工が施されており、未処理の個体はごくわずかです。

ピンクサファイア

淡い桜色から鮮やかなショッキングピンクまで、幅広い色合いを楽しめるのがピンクサファイアです。その可憐でフェミニンな印象から、アクセサリーや婚約指輪にも人気の宝石です。

ピンクサファイアは、青以外のカラーをもつ「ファンシーサファイア」に分類されます。なかでも、特に色が濃く鮮やかなものは「ホットピンクサファイア」と呼ばれ、高く評価されます。ただしこの呼称は公式な鉱物名ではなく、業界内の通称・マーケティング用語です。「ホットピンク」「ラディッシュピンク」などの名称は店や業者によって若干定義が異なる場合があります。

薄く優しい「パステルピンク」や、やや赤みが強い「ラディッシュピンク」なども人気で、透明度が高い個体ほど価値が上がる傾向にあります。

パープルサファイア

パープルサファイアは、透明感のある涼しげな紫色が魅力の宝石です。落ち着いた雰囲気を持つことから、大人の女性を中心に人気が高まりつつあります。

全体の産出量のうち、およそ15%程度しか採れないとされており、ファンシーサファイアの中でもややレアな存在です。ルビーやブルーサファイアほどの市場価格ではありませんが、落ち着いた色合いで上品なジュエリーを探している人にとって理想的な選択肢といえます。

パパラチアサファイア

「パパラチアサファイア」とは、ピンクとオレンジが絶妙に混ざり合った中間色を持つ特別なサファイアで、「蓮の花のような色」とも表現されます。名前の由来は、スリランカのシンハラ語で「蓮の花」を意味するpadmaraga(パドマラガ)にあります。

採掘量が非常に少ないため、世界三大希少石のひとつに数えられています。状態の良いものは、ブルーサファイア以上の価格がつくこともあります。しかし、この石の評価は難しく、ピンクとオレンジの割合や色味の判別基準が鑑別機関によって異なるという問題もあります。

さらに、市場には拡散処理(ベリリウム拡散など)を施された模倣品が多く出回っているため、信頼できる鑑別書付きのものを選ぶことが重要です。

以下の記事では、サファイアの石言葉について解説しています。ぜひご覧ください。
サファイアの石言葉は色によって異なる!それぞれの意味や効果についても徹底解説


カラー以外でサファイアの価値を決めるポイント

サファイアの価値を決定づけるもっとも大きな要因は色ですが、それ以外の要素ももちろん関係しています。色以外にどのようなポイントが注目されるのか、具体的に見ていきましょう。クラリティ・カラット・加熱処理・原産地の4つの視点から解説します。

宝石の透明度を表すクラリティ

クラリティとは、宝石の透明度のこと。一般的には、透明度が高くインクルージョン(内包物)や傷が少なければ、価値が高いと判断されます。これはサファイアだけの判断基準ではなく、宝石の価値を見極める際の共通認識といえます。

ただし、サファイアのなかにはごく稀に石の内部に棒状のインクルージョン(ルチル)があり、まるで光の筋のように見えるものがあります。こうした石は「スターサファイア」と呼ばれ、希少価値が高い石に位置づけられています。

宝石の大きさを表すカラット

サファイアを含め一般的な宝石には、サイズが大きいものほど希少価値が高く、高値で取引されやすいという傾向があります。ですが、サファイアは同じカラット数でも色やクラリティによって価格が大きく変わります。とくにファンシーカラーやパパラチアサファイアは、小さくても高価です。

サファイアの場合、20カラットを超えるような大粒の石も決して少なくありません。1カラットは約0.2グラムなので、20カラットのサファイアは約4gです。ただしサファイアの場合、サイズが小さいからといって、価値がなくなるわけではありません。サイズ以外に優れた項目があれば、きちんとその価値を認められます。

加熱処理の有無

サファイアの多くは、加工の段階で加熱処理が施されています。加熱自体はよく行われるものであり、価値を大きく下げる要因にはなりません。処理を行うことで、より深みのある色合いを楽しめるでしょう。ごく稀に加熱処理が施されていないサファイアが出回りますが、こちらはもちろん、通常よりも価値が高いと判断されます。

ただし、加熱処理のなかには拡散加熱処理と呼ばれる手法があり、こちらはサファイアに着色する目的で行われるものです。サファイアの価値を判断するための最重要要素である色を加工によって出すことで、石そのものの価値を大きく下げてしまう可能性があります。

原産地

サファイアの価値を大きく左右する要素のひとつが「原産地」です。同じブルーサファイアでも、採掘された場所によって色味や透明度、質感に明確な違いがあり、宝石の評価に大きく関わってきます。

カシミール産サファイア(Kashmir)

19世紀後半から20世紀初頭にかけて採掘されていた、幻のブルーサファイア。現在ではほとんど新たな産出がなく、「幻の宝石」とも称される非常に希少な存在です。

特徴は、まるでベルベットのような柔らかな質感を持つ、淡く明るい青色。なかでも「コーンフラワーブルー」と呼ばれる色合いは、世界中の宝石商やコレクターが憧れる最高峰のサファイアとして知られています。

ミャンマー産サファイア(Burma / Myanmar)

ミャンマー(旧ビルマ)は、ルビーの名産地としても有名ですが、サファイアも高品質なものが産出されます。カシミール産に次ぐ評価を受けており、色の深さと透明度のバランスが取れた石が多いのが特徴です。

とくにミャンマー産のブルーサファイアは、力強い色味と高い透明感が魅力で、ジュエリーとしての人気も高く、市場では高値で取引されます。

スリランカ産サファイア(Sri Lanka / Ceylon)

スリランカ産のサファイアは「セイロンサファイア」としても知られ、明るく華やかなブルーが特徴です。色合いはやや淡めですが、透明度が高く、みずみずしい印象を与えます。

スリランカは長年にわたりサファイアの安定的な供給地であり、ブルー以外にもピンク、イエロー、パパラチアなど、さまざまな色合いのファンシーサファイアが産出されることでも有名です。

その他の産地

マダガスカル:1990年代から急速に注目されている産地。幅広い色のサファイアが産出され、特に良質なブルーサファイアも存在します。近年の市場では非常に重要な供給元です。
タイ、オーストラリア:商業的に広く流通しているものの、色が黒っぽい傾向があり、評価はやや控えめ。ただし、加工技術により市場での役割は大きい産地です。

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サファイアのランクや価値は色によって決まる

ここまで解説してきたとおり、サファイアの価値は色で決まります。サファイア特有の深い青色が楽しめる宝石は、高値で取引されるでしょう。カシミール産のコーンフラワーブルーは、独特の美しい色合いと珍しさから、非常に高い価値がつけられています。

サファイアのルースやジュエリーを所有している方にとって、「自分の石にはどれぐらいの価値がある?」かは非常に気になるポイント。
自分自身で判断するのは難しいからこそ、宝石買取店の無料査定の利用がおすすめです。宝石の高価買取を得意とする「ブラリバ」では、サファイアの買取査定も積極的に行っています。「売るつもりはないけれど、まずは価値を見てみたい」といった場合でも気軽に利用できるので、ぜひ活用してみてください。

参考文献・サイト
『鉱物・宝石大図鑑』(ナショナルジオグラフィック編)
『ジュエリーのすべてがわかる本』(高橋郁代著)
『宝石の色彩と評価基準』(日本宝石学会)
『宝石の常識百科』(主婦と生活社)
GIA(米国宝石学会):https://www.gia.edu/
国立科学博物館 宝石図鑑:https://www.kahaku.go.jp/