
深く美しい青が特徴的なサファイアは、ジュエリーにも人気の宝石。日本人の肌の色味にもなじみやすく、身につければ高貴な印象をプラスしてくれます。色味を特徴とする宝石だからこそ、こまめにお手入れして清潔さを保ちたいところですが、「サファイアは水に弱い」という話を耳にしたことはありませんか?実際のところはどうなのか、またどのようにお手入れするのがベストなのか、わかりやすくお伝えします。
お気に入りのサファイアジュエリーを長く愛用し続けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
目次
サファイアの性質
サファイアを適切な方法でお手入れするためには、石の性質を正しく理解しておく必要があります。まず頭に入れておきたいのは、「サファイアに水に弱いという性質はない」という事実です。汚れやくもりが気になったときには、ぬるま湯や中性洗剤を使ったお手入れもできるでしょう。セルフメンテナンスしやすいところも、サファイアの魅力です。
お手入れに水を使えること以外にも、サファイアにはさまざまな特徴があります。そのほかの性質についても、さっそくチェックしていきましょう。
耐傷性に優れている
サファイアの特性としてあげられるのが、耐傷性の高さです。鉱石の硬さはモース硬度と呼ばれる指標で表されますが、最大の10を示すのはダイヤモンドです。サファイアのモース硬度は9と高く、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持った宝石なのでちょっとしたことでは傷つきません。
また靱性値の数値は8で、衝撃に強く割れにくいという特徴もあります。たとえば、身につけていたジュエリーをどこかにぶつけたり落としてしまったりしたときでも、サファイアが簡単に割れるようなことはありません。ただし、強い衝撃や無理な力が加わるとまれにひびが入ったり割れたりすることもあるため、取り扱いには注意が必要です。
熱や酸に強く劣化しにくい
サファイアの強さはこれだけではありません。実は耐熱性にも優れており、高温になりやすい環境でも変質しにくい宝石です。たとえば、アクセサリーをつけたまま軽い調理作業をしても、石そのものが劣化する心配はほとんどありません。
また、酸や一般的な化学薬品に対しても高い耐性を持っています。宝石の中には、繊細で慎重なお手入れが必要なものもありますが、サファイアは比較的扱いやすい素材といえるでしょう。ですが、強酸に対しては注意が必要となります。
「サファイア=水に弱い」と言われている理由
サファイアは硬度が高く耐久性に優れた宝石として知られていますが、一部では「水に弱い」という誤解もあります。なぜそのようなイメージが生まれたのか、サファイアと水の関係について詳しく見ていきましょう。
内包物や傷が与える影響
サファイアは基本的に硬度が高く耐久性がありますが、内部に含まれる内包物(インクルージョン)や表面の微細な傷が弱点となることがあります。これらの欠陥は、サファイアに水分や他の物質が入り込むのを助ける可能性があり、内部で圧力の変化が起こることで亀裂が広がる可能性があります。ただし、これはあくまで「傷や内包物がある場合」の話であり、すべてのサファイアが水に弱いわけではありません。内包物がない場合、水によるダメージを受けるリスクは低いです。
水中の化学物質によるダメージ
日常生活で触れる水道水やプールの水には、塩素やカルシウム、鉄分などが含まれています。しかし、サファイアそのものは耐酸性・耐薬品性に優れており、これらの成分によって変質する心配はほとんどありません。
しかし、サファイアがジュエリーとして加工されている場合、ジュエリーの台座や接着部分(例えば爪留めや接着剤)に対するダメージが問題になることがあります。これにより、サファイアがしっかり固定されていない場合、落下や破損のリスクが高まることはあります。
ジュエリー加工と耐久性の関係
サファイアのジュエリーは、台座や爪で固定されていることが多く、加工によって耐久性が左右されます。特に爪留めの場合、細い爪が水に濡れることで酸化し、腐食するリスクがあります。
また、接着剤を使用したジュエリーでは、長時間水に浸かると接着力が低下することがありますが、これもサファイアそのものではなく、ジュエリーの接着部分に関する問題です。
これらの理由から、サファイアのジュエリーを長く美しく保つためには、湿気の多い場所での保管や長時間の水浸しは避けることが推奨されます。
サファイアのお手入れのやり方
サファイアに特別なお手入れは不要ですが、誤った方法でメンテナンスを続ければ、傷がついたり欠けてしまったりする恐れもあります。自分自身でお手入れする場合、正しい方法で行いましょう。おすすめのお手入れ方法と注意点を解説します。
柔らかい布で優しく拭き取る
サファイアの基本のお手入れでおすすめなのは、「柔らかい布で拭く」という方法です。アクセサリーとして身につけていれば、石には汗や皮脂が付着します。そのまま放置すれば、劣化の原因にもなり得るでしょう。それほど神経質になる必要はありませんが、定期的に布で拭き取るようにするだけでも、よりよいコンディションをキープしやすくなります。
お手入れ時にとくに意識したいのは、アクセサリーや石の裏側です。皮脂や汗が付着しやすく、また透明感のある宝石だからこそ、裏面の汚れが見た目に直接響いてしまいます。優しくていねいに拭き取ってください。
中性洗剤と柔らかいブラシでこする
拭き取るだけでは十分に汚れを落とせないときや、特別なお手入れをしたいときには、中性洗剤を使うのもおすすめです。化学薬品にも水にも強いサファイアなら、この方法で頑固な汚れもすっきりきれいに落とせるでしょう。
まずは器やボウルに、30度前後のぬるま湯を用意します。中性洗剤を入れて混ぜたら、サファイアを浸しましょう。柔らかいブラシでこすり洗いをすると、細かな部分に入りこんだ汚れも掻き出して掃除できます。こすってもなかなか落ちない場合は、30分程度浸け置きするのがおすすめです。汚れがゆるみ、するんと落とせます。
超音波洗浄を使用する
水にも傷にも、そして衝撃にも強いサファイアは、超音波洗浄機を使ったお手入れにも適しています。専用クリーナーに入れてスイッチを押すだけなので、洗面所での手洗いやすすぎと違って、ジュエリーを流してしまうような思わぬトラブルも防げます。
手軽で安全性も高く、自宅でのメンテナンスがしやすい方法のひとつです。
ただしサファイアの品質が低いと、洗浄機の衝撃により傷や割れといったトラブルが発生する恐れもあります。サファイアのグレードに注目し、それほど質が高くない場合は別の手段を検討してみてください。
サファイアの保管方法
続いては、サファイアの保管方法について学んでいきましょう。お手入れ方法は適切でも、保管方法を誤るとやはりトラブルの原因になってしまいます。サファイアを美しく保つための保管の注意点は、以下の2つです。
・適切な環境で保管する
・ほかの宝石やジュエリーと一緒に保管しない
ぜひ参考にしてみてください。
適切な環境で保管する
まず心がけたいのは、湿度と温度が安定した環境を選ぶことです。サファイア自体は高い耐熱性と耐薬品性を持っていますが、ジュエリーとして使用されている金属部分(特に銀や接着剤など)は湿気や温度変化に弱く、劣化の原因となることがあります。とくに高温多湿な場所では、酸化や腐食が起こりやすくなるため注意が必要です。
また、サファイアの多くは紫外線にも比較的強いとされていますが、特殊な処理が施された石の場合には、長時間直射日光にさらすことで色味に影響が出ることもあります。美しさを保つためには、直射日光の当たらない場所、たとえばジュエリーケースや引き出しなどでの保管が理想的です。防湿剤(シリカゲル)を一緒に入れておくと、さらに安心です。
ほかの宝石やジュエリーと一緒に保管しない
サファイアはモース硬度9という高い硬さを持ち、ダイヤモンドに次ぐ硬質な宝石です。この硬さゆえに、自身が傷つきにくいいっぽうで、他の柔らかい宝石に傷をつけてしまう可能性があります。エメラルドやオパール、トルコ石などのデリケートな石とは、直接触れ合わないように保管するのが賢明です。
複数のジュエリーを同じボックスに入れる場合は、仕切りのあるケースを使うか、それぞれを柔らかい布や専用のジュエリーポーチで包むようにしましょう。こうしたひと手間が、宝石同士の接触を防ぎ、傷や破損のリスクを大きく減らします。
サファイアは衝撃に強く割れにくい宝石
「サファイアが水に弱い」という情報は誤りです。傷がつきにくく、水にも化学薬品にも耐性を持つ宝石なので、日々のメンテナンスもしやすいでしょう。とはいえ、長い時間が経過すれば、その状態は少しずつ劣化していってしまうもの。とくに「あまり身につけていないから、お手入れしないまま放置してしまっている…」という場合は注意が必要です。
このような場合におすすめなのが、買取査定の利用です。ブランド品だけではなく、宝石買取も積極的に行う「ブラリバ」では、無料査定を行っています。サファイアを使ったジュエリーはもちろん、ルースにも対応。石の価値をしっかりと見極めて査定金額を提示してくれるので、まずは一度相談してみてはいかがでしょうか。LINEを使った簡単査定にも対応していますので、ぜひご利用ください。
参考文献・サイト
『宝石の常識百科』(主婦と生活社)
『鉱物・宝石大図鑑』(ナショナルジオグラフィック編)
『ジュエリーのすべてがわかる本』(高橋郁代著)
『宝石メンテナンスマニュアル』(ジュエリーコーディネーター協会)
GIA(米国宝石学会):https://www.gia.edu/
国立科学博物館 宝石解説資料:https://www.kahaku.go.jp/