エルメスの高級素材「シェーブル」とは?エプソンとの違いや特徴・傷つきやすさなどを解説

「HERMES(エルメス)」は、素材選びにも妥協のないラグジュアリーブランド。その中でも代表的なレザーのひとつが「シェーブル」です。軽さと美しい発色に優れた高級素材として、多くのアイテムに使用されています。

この記事では、シェーブル素材の特徴や採用アイテム、シェーブルと混同されがちな「エプソン」との違いについて解説。傷のつきやすさやお手入れについてもふれているので、シェーブル製品の購入を検討している方はぜひ参考にしてください。


エルメスの「シェーブル」ってどんな素材?


シェーブルは、高品質なヤギの革をエルメスの高い技術力で加工した高級素材です。フランス語の「ヤギ」から名前がつけられており、牛革にはない質感や特徴を持つ素材として知られています。

流通量が少ない希少素材でありながら、機能性とデザイン性に優れているため、世界的に知られるアイテムにも多く採用されています。手触りのよさと上品な風合いから、エルメスで長年愛され続けている素材のひとつです。


エルメス シェーブルの5つの特徴

シェーブルはヤギ革特有の特徴を多く有しており、シェーブル独自の特徴を強みとしてデザインされているアイテムがほとんどです。そのため、シェーブルの特徴を把握することは、相性のよいシチュエーションやコーディネートを知ることにつながります。

ここからは、シェーブルの特徴を5つ解説します。長く使用するためのヒントも紹介しているため、お手元にシェーブル製品がある方も参考にしてみてください。

希少価値が高い

ヤギは大きな個体がほとんどおらず、皮が取れる面積が小さいため、牛革よりも市場での流通量が少ない素材です。そのため、シェーブルの希少性はトップクラスといえます。

この希少性の高さから、使用されるアイテムは小ぶりなアイテムがほとんど。おもに使用されているアイテムは、バーキン25やウォレット、カードホルダーなどです。

軽量素材で持ち運びやすい

シェーブルは牛革よりも軽量であるため、持ち運びやすく、機能性に秀でています。日々持ち歩くウォレットやカードホルダーと相性がよく、高級感を与えつつも使用感を出すことができる素材です。

普段の荷物に軽量化を求めるなら、牛革よりもシェーブルが適しています。

発色に優れていてカラーバリエーションが豊富

シェーブルは発色性に優れています。鮮やかな色合いのものから、落ち着いたベーシックカラーまで豊富なカラーバリエーションがあることも人気のひとつです。

上品さや華やかさを求めたい方は、シェーブルのカラーアイテムがおすすめです。

傷や汚れが目立ちにくい

シェーブルは細かい革目があり、傷や汚れがつきにくいです。そのため、普段使いしやすいのも魅力です。

ただし、使い込むとツヤが増すいっぽうで、革の柔らかさが増す性質もあります。そのため、きちんとした保管方法でないと型崩れしてしまうことも。

長く楽しみたいなら、使用後には簡単なお手入れをしたり、箱にしまって保管したりするなど定期的なメンテナンスを心がけましょう。

実はバーキン内側に使われることも多い

シェーブルが採用されているアイテムは小物系が中心ですが、素材の軽さや耐久性を生かして、エルメスの象徴でもある「バーキン」の内側にも採用されています。

以前までは、バーキンの内側には革の表面を起毛させた「スエード」が使われているケースが多くありましたが、2010年以降からはシェーブルも使われるようになりました。

シェーブルが内側に使用されたバーキンは、スエードよりも流通量が少なく、より高い価格が設定されているケースも珍しくありません。


押さえておきたい!エルメスのシェーブル(ヤギ革)一覧

シェーブルとはヤギ革の総称であり、細かくわけるとたくさんの種類があります。雄雌、ヤギの年齢、素材の製法などによる種類の違いや特徴も異なるのです。

ここでは、シェーブルとあわせてチェックしたいヤギ革の種類を一覧で解説していきます。

シェーブル・ミゾール

「シェーブル・ミゾール」は、エルメスが使用する雄ヤギの高級レザーです。「シェーブル・ミゾル」や「ミゾル」などと呼ばれることもあります。ほどよい柔らかさとほどよい目の大きさを両立した素材で、ほかの素材にはないフレキシブルな手触りが多くの人を魅了しています。

おもにコンパクトなウォレットや、バーキン25などの小ぶりなバッグに使われています。フレキシブルな手触りで手になじみやすいだけでなく、経年変化が少ないため、美しい状態を長く保ちたい方におすすめの素材です。

シェーブル・コロマンデル

「シェーブル・コロマンデル」は、1990年代に登場した雌の仔ヤギ革素材で、「コロマンデル」と呼ばれることも。艶やかな光沢感とアイコニックな型押しが印象的で、虹彩のような光沢はシェーブル・コロマンデルだからこそ表現できるラグジュアリー感を醸し出しています。

発色が非常によく、鮮やかなカラーバリエーションを生かしたデザインが多いです。バーキンをはじめとするエルメスのさまざまなバッグにも採用されている実績があります。

アストラカン

「アストラカン」は、生後間もない仔ヤギの毛皮です。ロシアのアストラハン州に生息するカラクール種という仔ヤギが使われています。波状に縮れた毛並みと光沢感のある質感により、見る角度によって印象が大きく変わるため、使用されるアイテムは周囲の環境によって異なる魅力を放つことが特徴です。

アストラカンはバッグやコートなどさまざまなアイテムに採用されていますが、希少性の高さから手に入りにくい傾向があります。

ヴィブラート(廃番)

「ヴィブラート」は、複数のカラーに染色されたヤギ革を何枚も重ねて接着し、垂直に裁断することで作られる珍しい素材です。こうした製造方法から、同じ模様は1つとして存在しないユニークな特徴があります。

2000年頃、主にバーキン35で使用されていた素材ですが、2005年頃には廃盤となっています。そのため、令和に入ってからヴィンテージ品として価格が高騰しており、入手困難なアイテムのひとつです。

ヴィブラート・スニップ(廃番)

「ヴィブラート・スニップ」は、ヴィブラートと同じような方法で作られています。ヴィブラート素材を縦横にさらに裁断し、それらを貼り合わせることで、複雑な模様を織りなしている素材です。

おもにケリーやエヴリンなどの小型バッグで採用されていましたが、ヴィブラートとともに廃盤となりました。生産数が少ないことから、廃盤後はコレクターズアイテムとして扱われています。


エルメスの人気素材「エプソン」との違いは?

シェーブルとよく混同される人気素材として「ヴォー・エプソン(以下エプソン)」がよく挙げられます。
どちらも高級素材ですが、ェーブルはヤギ革であるのに対し、エプソンは雄仔牛の革です。それぞれ異なる特徴を有しており、大きな違いをまとめたものが下の表となります。

素材名シェーブルエプソン
素材ヤギ革雄仔牛の革
登場した年1990年代2003年頃
質感

・皮目が細かい
・柔らかい質感

・硬さがある
・カッチリとしている

光沢

光沢あり
使い込むとツヤが増す

自然な光沢感がある
使用されているアイテム小型バッグや小物アイテムが中心大型バッグや財布など幅広く使用

エルメスの革製品をうまくコーディネートに組み込むためにも、各素材の違いを簡単に把握しておくとよいでしょう。


シェーブルがよく使用されるエルメスのアイテム

シェーブルはほかの素材にはない独自の強みがあり、多くのアイテムに採用されています。ここでは、シェーブルがよく使用されるエルメスのアイテムを6つ紹介します。

バーキン

グリーンのシェーブル素材のバーキンの画像
バーキンは、普遍的な美しさと機能性を持ち合わせていることから、世界中に愛用者がいるエルメスのアイコンバック。熟練の職人によって手作りされ、上質なレザーと高いデザイン性により、長期間使ってもくたびれない名作です。

素材や金具のバリエーションも豊富で、エプソンや「トゴ・トリヨン」などさまざまな素材で制作されています。シェーブルは最も小さいサイズの「バーキン25」に使用されることが多く、人気の高さからバーキンの中でも高い価格がつけられる傾向にあります。

ケリーウォレット

ネイビーのシェーブル素材のケリーウォレットの画像

「ケリーウォレット」は、エルメスを象徴するケリーバッグのデザインを踏襲した財布。ケリーバッグと同じ金具のデザインを採用していることもあり、ケリーバッグとの相性は抜群です。

素材は「クロコダイル アリゲーター」やシェーブルなど、展開しているバリエーションによってさまざまであり、同じケリーウォレットでも雰囲気が異なります。シェーブルを使用したケリーウォレットは、使い込むほどに味わい深く変化していくため、長く愛用したい方におすすめです。

ベアンスフレ

ブラックのシェーブル素材のベアンスフレの画像

「ベアンスフレ」は、上品な二つ折りの長財布です。「H」の留め具が特徴的であり、クラシックながらも洗練されたデザインは、どんなファッションにも合わせられる汎用性があります。

ベアンよりも収納力がアップしたシリーズであるため、デザイン性だけでなく、日々の使い勝手も両立したい方におすすめです。シェーブルが使用されたベアンスフレは、「H」の留め具とシェーブルの光沢感が相まって、高級感を演出してくれます。

ゲタ

ピンクのシェーブル素材のゲタの画像

「ゲタ」は、日本の伝統的な履物「下駄」からインスピレーションを受けて、2021年に登場した個性的なデザインのショルダーバッグです。立体感のある構造と硬質なフォルムが特徴であり、存在感のあるボリュームと安定感を感じさせるユニークなシルエットは、ほかのバッグでは表現できないファッション性を秘めています。

素材は柔らかな手触りが特徴の「シェーブル・ミゾール」のみの展開であり、その特性を全面に生かして柔らかな箱を表現したデザインを楽しめます。

ヴェルー

クリーム色のシェーブル素材のヴェルーの画像

「ヴェルー」は、1930年代に誕生したレザー製のミニバッグです。名前はフランス語で「錠」を意味し、馬房の留め金具に着想を得た「かんぬき型金具」が採用されています。

小さめのサイズにはシェーブル・ミゾールが使用されており、使い心地のよさとラグジュアリー感を兼ね備えています。エルメスのバッグとしては控えめなデザイン性ですが、トレンドに左右されない隠れた名品として、さりげなくブランドバッグを持ちたい方におすすめです。

アザップロング

ブラウンのシェーブル素材のアザップロングの画像

「アザップロング」は、エルメスのアイコンであるH型の金具などが施されていない、ラウンドファスナータイプの長財布です。フォーマルからカジュアルまで幅広いシーンで使用できるシンプルなデザインですが、上質な素材によってエルメスらしい上品さを漂わせています。

シンプルなデザインゆえに、カラーバリエーションも豊富です。素材として使用されているシェーブルのおかげで、色鮮やかな発色が特徴的です。


シェーブルのお手入れ方法

シェーブルをお手入れする際には、乾いた柔らかい布やティッシュで優しく表面の汚れをふき取るようにしましょう。

牛革などと比較して水には強い素材ですが、水滴が長時間付着するとシミなどの原因となってしまいます。濡れてしまった場合にも、乾いた布で軽く押さえるなどして水分を拭き取りましょう。

また、保管方法も重要です。使用後は、風通しのよい場所に立てて置くことをおすすめします。長く使用すると、革が柔らかくなってくるため、中に詰め物をしたり、ボックスに入れたりして収納すると、型崩れ対策になります。

エルメスの直営店では、シェーブルを使用した製品のメンテナンスも受け付けています。傷やスレが気になる場合はぜひチェックしてみてください。


シェーブルアイテムの参考買取価格

シェーブルを使用したアイテムは当社「ブラリバ」で買取を実施しています。買取実績から価格を参考にしてみてください。

カテゴリアイテム参考買取価格
ウォレットベアンスフレ20,000円~23,000円
バッグバーキン253,325,000円

※2025年7月時点の情報です。参考買取価格は市場動向や製品の状態、付属品の有無などによって変動する場合があります。

シェーブルアイテムを含むエルメス製品の最新参考買取価格は以下ページで随時更新しています。気になる方はぜひ参考にしてください。
>>【今が売り時?】エルメスの参考買取価格を見る

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シェーブルは希少価値が高く、上品で丈夫なエルメスの素材!

シェーブルは軽量かつ丈夫であり、手触りも柔らかいため、バーキンやケリーウォレットなど、エルメスの代表的な多くのアイテムに採用されています。しかし、希少価値が高いゆえに高価格がつきやすいため、素材の特性をよく理解してから購入することが大切です。

この記事を参考に、アイテムを選ぶ際の判断材料として注目してみてはいかがでしょうか。

ブランド品の高価買取ならブラリバにおまかせください!
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