
金のアクセサリーやジュエリーを見ると、「K24」や「K18」といった数字とアルファベットが刻まれています。その刻印にどんな意味があるかご存じでしょうか?
実はこの「K(カラット)」は、金の純度(=含まれる金の割合)を示す重要な指標です。純度の違いによって、価値・硬さ・色味・価格は大きく変わります。
本記事では、金の純度を示す単位「K」の意味や刻印の見方、純度ごとの特徴・用途・価格の違いをわかりやすく解説します。
目次
金の価値を決める「純度」とは

金の価値を左右する要素はいくつかありますが、なかでも最も重要なのが「純度」です。純度とは、その製品にどれだけ金が含まれているかを示す割合のこと。純度が高いほど金の含有量が多く、素材としての価値も上がります。
たとえば、K24(金含有率99.9〜99.99%)は「純金」と呼ばれ、資産用の地金やインゴットに使われます。いっぽうで、K18(金含有率75%)は、金に銀や銅を混ぜた合金で、ジュエリーに最も多く使われています。
金の純度が重要な理由
金の純度は、価値・用途・耐久性に直結します。純度が高いほど金の色は濃く、美しさと市場価値は高まりますが、その分柔らかく傷つきやすくなります。
いっぽう、K18やK14のように他の金属を混ぜた合金は硬度が増し、ジュエリーや腕時計など日常使いに適した実用性の高い素材となります。
実際、2025年時点の買取相場ではK24は1gあたり約21,000円、K18は約16,000円と1gあたり約5,000円の価格差があるほど価値に違いが出ます。
「純度が高い=価値重視」「純度を抑える=実用重視」と覚えておくとわかりやすいでしょう。
金の純度を示す単位「K(カラット)」とは?
金の純度は、Kという単位で表されます。
これは「24分のいくつが金でできているか」を示す数字で、K24が最も純度の高い“純金”を意味します。つまり、数字が小さくなるほど金の含有量が減り、他の金属(割り金)の割合が増えていきます。
下の表では、おもな金の純度ごとの含有率と特徴を一覧でまとめています。
| 純度表記 | 金の含有率 | 性質・特徴 |
|---|---|---|
| K24 | 約99.9〜99.99% | 非常に柔らかく、変形しやすい |
| K22 | 約91.7% | やや赤みがあり、加工性が高い |
| K18 | 約75% | 硬さ・色・価格のバランスが良い |
| K14 | 約58.5% | やや白っぽく、耐久性に優れる |
| K10 | 約41.7% | 白みが強く、最も硬い |
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金の純度を表す文字刻印一覧
金製品には、素材の純度を示す刻印が施されているのが一般的です。
刻印には「K」や数字の組み合わせで純度を表すほか、国や製造方法によって異なる表記も存在します。
下の表では、代表的な刻印表記と、それぞれが示す金の含有率・特徴をまとめました。
| 刻印表記 | 対応する金の種類 | 備考・注意点 |
|---|---|---|
| K24/24K/999 | 純金 | 国内外共通表記。変色・変形しやすい |
| K18/18K/750 | 18金 | 日本のジュエリーでは最も一般的 |
| K14/14K/585 | 14金 | 欧米表記では数字(585)が多い |
| K10/10K/417 | 10金 | 白っぽい色味。硬度が高い |
| GP/GF/HGE | メッキ・金張り製品 | 「金製品」ではないため注意 |
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刻印は、リングの内側やネックレスのプレート部分、時計の裏蓋・ブレスレットの留め具などに刻まれていることが多いです。
長く使われたジュエリーやサイズ直しをした製品では、刻印が薄れて見えにくくなることがあります。その場合は、比重測定やXRF(蛍光X線分析)などの専門的な方法で純度を確認するのが確実です。
刻印はあくまで“目安”であり、正確な判定には専門店でのチェックが欠かせません。大切な金製品ほど、信頼できる査定士や買取店に相談するのが安心です。
金の純度別の特徴と用途

金の純度によって、色味・硬さ・価格・使われる場面は大きく異なります。
純度が高いほど金本来の輝きと価値は高まりますが、その分柔らかく扱いづらくなります。いっぽうで純度を下げると、耐久性が増してデザイン性の高いジュエリーに適した素材になります。
ここでは、代表的な純度ごとの特徴と用途を詳しく見ていきましょう。
24金/K24(純金99.9〜99.99%)
金の純度がほぼ100%の「純金」。最も価値が高く、濃く深い黄金色が特徴です。化学的に非常に安定しており、酸化や変色がほとんど起こりません。
ただし、非常にやわらかいため傷や変形が起きやすく、日常使いのジュエリーには不向きです。そのため、おもにインゴット・金貨・地金型アクセサリーなどの投資目的で用いられます。
純粋な資産として金を保有したい方や、価値保存を目的とした購入に最適な純度です。
22金/K22(純金91.7%)
純度91.7%と高く、K24に近い輝きを保ちながらも、銅や銀を少量混ぜることでやや硬さを増した素材です。
色味は赤みがかった濃い黄色で、インド・中東・東南アジア圏では主流の純度として広く親しまれています。日本ではあまり見かけませんが、海外ブランドの高純度ジュエリーや記念コインなどに多く使われています。
柔らかさを残しつつも、装飾品としての強度は確保したい場合に適した純度です。
18金/K18(純金75%)
日本国内のジュエリーで最も多く採用されている標準的な純度がK18です。金を75%、残り25%に銀や銅・パラジウムなどを混ぜており、美しい発色と高い耐久性のバランスがとれています。
色味はK24よりも少し淡く、上品で落ち着いた印象。硬度が高く傷にも強いため、指輪・ネックレス・ピアスなど、日常的に身につけるジュエリーに最適です。
また、資産価値も安定しており、「使える金」として人気があります。実用性と価値を両立したい方にもっともおすすめの純度です。
14金/K14(純金58.5%)
純度をやや下げて強度を高めた合金で、K18よりも硬く丈夫です。色味は黄味が少し控えめで、白っぽい落ち着いたトーン。軽やかな印象を与えるため、カジュアルジュエリーやデザイン性重視のアクセサリーによく使われます。
また、変色しにくく扱いやすいため、日常使いにも向いています。資産価値はK18より下がりますが、普段使いの快適さを重視したい人に適した純度です。
10金/K10(純金42%)
金の含有量が約4割と少ないため、色味は淡く、白みがかったイエローが特徴です。非常に硬く丈夫で、最も耐久性に優れた金素材のひとつ。
ファッションジュエリーやペアリングなど、毎日気軽に身につけられるアイテムに多く使われます。
そのいっぽうで、金の含有率が低いため資産価値は高くありません。しかし、軽さや価格の手頃さが魅力で、若い世代やデイリーユースに人気の素材です。
金は純度が上がるほど価値が高まりますが、その分柔らかく傷つきやすくなる性質もあります。
K24は資産用、K18は実用ジュエリー、K10〜14はカジュアル用途と、目的に応じて最適な純度を選ぶのがポイントです。
なぜ金は純金のまま使わず合金にするのか?
金は非常に価値の高い金属ですが、そのままでは柔らかすぎて実用には向かない特性があります。
そのため、ジュエリーや時計などに使用する際は、銀・銅・パラジウムなどを混ぜた「合金」として加工されます。合金化によって強度や耐久性が高まり、デザインや色のバリエーションも広がります。
ここでは、純金のままでは使われない理由と、合金にするメリットを順に見ていきましょう。
純金のデメリットを補うための合金化
純金(K24)は柔らかく傷がつきやすいという性質を持っています。指輪やネックレスのように日常的に着用するアイテムに使うと、変形や摩耗が起こりやすく、長く美しい状態を保つことが難しくなります。
そのため、銀(Ag)や銅(Cu)、パラジウム(Pd)などの金属を混ぜて硬度と強度を補うのが一般的です。これにより、日常使いに耐えられる適度な硬さ・弾力性・耐摩耗性を実現できます。
たとえば、K18ではこの合金化によって
- ジュエリーとしての強度が十分に確保できる
- 純金の美しい色合いを残せる
- 加工・彫刻・石留めなどのデザイン自由度が高まる
といったメリットがあります。
つまり、「K18がジュエリーの定番」である理由は、金の美しさと実用性の両立ができるからなのです。
合金にすることで色合いやバリエーションを変えられる
合金化には、強度を高めるだけでなく、金の色味を調整する目的もあります。金は本来、濃く鮮やかな黄色をしていますが、混ぜる金属の種類や割合によって、色味を少し変化させることができるのです。
たとえば、銀を多く加えると明るく白っぽい色に、銅を多く加えると温かみのある赤みを帯びた色になります。
このように、合金化は金の耐久性だけでなく、デザインの幅を広げる技術でもあります。実際、ブランドごとに配合比率を工夫して、独自の色合いを生み出しているケースも多く見られます。
代表的なカラーゴールドの種類や特徴については、次章で詳しく解説します。
金の純度と色の関係
前述のとおり金の色味は、純度と混ぜる金属の種類によって変化します。純度が高いほど黄色が濃く、純度が下がるほど割り金の色味の影響を受けやすくなります。
ここでは、金の純度がどのように色に影響するのか、そして純度ごとの代表的な色合いや、人気の「カラーゴールド」について解説します。
金の純度が色に与える影響
金は本来、純金の状態では明るく濃いオレンジがかった黄色をしています。
しかし、純金は柔らかすぎてジュエリーとして扱いにくいため、銀・銅・パラジウムなどの金属を混ぜた合金として使われるのが一般的です。
このとき、割り金の種類と割合が色味に影響します。純度が高いほど黄色が強く、純度が下がるほど淡いトーンになります。
たとえば銀やパラジウムを割り金にする場合、
- K24:最も濃い黄色。オレンジを帯びた温かみのある色。
- K22〜K18:やや赤みを帯びた黄色。ジュエリーらしい定番の金色。
- K14〜K10:銀やパラジウムの割合が増え、黄色味が薄くなり白っぽい印象に。
このように、金の純度は「価値」だけでなく「見た目の印象」にも直結します。肌なじみやファッションに合わせて、好みの色合いで純度を選ぶという方法もあります。
カラーゴールドとは?種類と特徴
「カラーゴールド」とは、金に他の金属を加えることで意図的に色味を変えた合金のことです。代表的な種類は以下のとおりです。
| 種類 | おもな配合金属 | 色味の特徴 |
|---|---|---|
| イエローゴールド | 金+銀+銅 | 標準的な金色。最もバランスが良く、肌なじみもよい。 |
| ホワイトゴールド | 金+パラジウム(またはニッケル) ※現在日本ではアレルギー対策からパラジウム合金が主流 | 白く上品な輝き。プラチナのような印象で男性にも人気。 |
| ピンクゴールド | 金+銅 | 柔らかく温かみのあるピンク色。女性向けジュエリーに多い。 |
| レッドゴールド | 金+銅(高比率) | 深みのある赤みが特徴。アンティーク調デザインに用いられる。 |
| グリーンゴールド | 金+銀 ※銅を少量加える場合もある | わずかに緑がかった独特の色味。クラシックな印象を与える。 |
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カラーゴールドの純度は、K18やK14が中心です。純度が高いK24・K22では柔らかすぎて配合が難しく、ジュエリーとしての実用性と美しさを両立するにはK18前後が最も適しています。
同じK18でも、配合する金属の種類や比率によって色味がまったく異なるため、ブランドごとにわずかに違うゴールドの色合いが楽しめるのも魅力です。
自宅でできる金の純度の調べ方
金を購入するときも、売却するときも、純度の確認は非常に重要です。純度によって金の価値が大きく変わるため、お手持ちの金製品の正確な純度を知っておくことが大切です。
ここでは、自宅で比較的簡単にできる純度の確認方法を3つ紹介します。
①見た目と手触りで判断する
もっとも手軽にできるのが、見た目や質感によるチェックです。純金は金属の中でもとくに比重が高く、手に取るとずっしりとした重みがあります。
また、純度が高いほど熱伝導率が高いため、触った瞬間は冷たくてもすぐに温かく感じられるのが特徴です。同じサイズの指輪やネックレスをいくつか比べてみると、純度が高いものほど「重く・しっとりした手触り」であることがわかります。
ただし、見た目や感触だけで正確な純度を判断するのは難しいため、あくまで大まかな目安として捉えましょう。
②磁石に反応するかを試す
純金(K24)は非磁性体のため、磁石には反応しません。
いっぽう、金メッキや金張り、金以外の金属(真鍮・ステンレスなど)が混ざっている場合は、磁石に引き寄せられることがあります。
小型のネオジム磁石を使って、指輪やネックレスの一部を軽く近づけてみましょう。もし磁石に吸い付くような反応があれば、金以外の金属が含まれている可能性が高いです。
③比重を測定して純度を推定する
刻印が消えている場合や確認が難しい場合は、比重測定によって純度をおおまかに推定できます。比重とは「同じ体積の水と比べたときの重さの割合」のことで、金は非常に高い比重を持っています。
純金の比重は19.32。純度が下がるほど、他の金属が混ざるため比重も小さくなります。
簡単な測定手順
- 計量カップに水を入れておく。
- 金製品を完全に沈め、水の増加量(体積)を測る。
- 金製品の重さを測り、次の式で比重を計算する。
比重 = 重さ ÷ 増えた水の体積
以下は、純度ごとのおおよその比重の目安です。
| 純度 | 比重(目安) |
|---|---|
| K24 | 19.32 |
| K22 | 17.5〜18.2 |
| K18 | 16.0〜17.1 |
| K14 | 12.9〜14.4 |
| K10 | 11.4〜13.0 |
家庭でも実験感覚で試せますが、水温や気泡により精密な判定は難しいため参考程度に留めましょう。より正確な数値を知りたい場合は、専門店での専用機器による比重測定が推奨です。
詳しい数値や実践的なチェック方法を知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
>>金の比重についてはこちらをチェック
金の純度と価格の関係
金の価格は、純度・重さ・相場によって決まります。
同じ重量でも、K24とK18では含まれる金の量が異なるため、販売・買取価格にも差が生まれます。
一般的に、金の価値 = 純度(K値) × 重量(g) × 当日の金相場(円/g)で算出されます。
そのため、日々変動する金相場を把握することが、購入・売却のいずれにおいても非常に重要です。
ここでは、2025年現在の金相場の動向と今後の見通しについて整理します。
【2025年最新】金相場(K24)は1gあたり2万円突破の動向と今後の見通し
ここ数年、金相場は上昇傾向が続いています。9月29日には、純金1gあたりの国内価格が2万円に達しました。
2025年も高値圏で推移しており、中央銀行による金の買い増しや地政学リスク、円安・ドル高がおもな要因です。10月時点では、K24=約21,000円/g、K18=約16,000円/g前後と高水準を維持しています。
今後も安全資産としての需要は強く、高値を保ちながら安定推移する見通しです。
詳しい相場データや価格の目安は、金の価格は今後どうなる?の記事で詳しく紹介していますので、あわせてご覧ください。
金の純度を理解して賢く売買しよう
金は、純度によって価値・見た目・使われ方が大きく変わる貴金属です。K24は資産価値重視のいっぽう、K18やK14は加工性や実用性重視。
購入を検討する際は、まずお手持ちの金製品の純度を確認し、当日の金相場をチェックしましょう。
そして、実際に売却する際は、金の知識と実績を持つ専門店に相談することが大切です。ブラリバでは、経験豊富な査定士が一点ずつ丁寧に鑑定し、その日の相場をもとに適正で透明性のある買取価格をご提示します。金価格が高水準にある今、ぜひブラリバをお気軽にご活用ください。

