
金は相続税や譲渡所得税の課税対象となり得る資産です。
昨今の金価格上昇を受けて、金を購入した、または買いたいと思っている方もいるかもしれません。「金の購入が税務署にばれなければ、税金を減らせるのでは?」と考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、税務調査が必要となった場合には、税務署による金融機関への照会などにより金の購入が把握される可能性があります。
そこでこの記事では、税務署に金の購入が把握されるしくみを解説します。さらに、金の売却にまつわる税金のトラブル回避のポイントを紹介!気になる方はぜひ最後までご覧ください。
目次
なぜ金の購入が税務署にばれる?4つの理由を解説

金を購入しただけですぐに税務署に把握されるわけではありません。しかし、金を購入すると、条件次第で税務署に知られる可能性があります。
たとえば、高額な金取引は業者から税務署に支払調書で報告されるケースがあり、銀行口座の大きな入出金も確認されるため、把握される可能性があるというわけです。ここでは金の購入が把握される4つの理由を解説します。
①金の購入・売却で把握される経路があるから
金の売買を行う業者には、一定条件のもとで取引内容を税務署に報告する義務があります。その条件の代表的な例が、高額取引時の支払調書の提出です。
1回の取引で200万円を超える金地金の売却を行った場合、買取業者は顧客の氏名・住所・取引額などを記載した支払調書を税務署に提出する義務があります。
税務署は支払調書によって金の売買に関する情報を把握でき、金の購入が把握されるというわけです。
出典:金地金等に係る譲渡所得調査等の状況|国税庁
②購入時に身分証明書の提示が求められるから
金を購入する際には、本人確認のために身分証明書の提示を求められる場合があります。
提示された個人情報は取引記録と結び付けられ、業者によって一定期間厳重に保存されるしくみです。
これにより、税務調査などで必要となった場合に、税務署は金の取引履歴を調べることが可能となります。
金は資産価値が高く犯罪収益の資金洗浄(マネーロンダリング)や不正取引に利用されやすいことから、こうした本人確認が法律で義務づけられています。そのため、匿名で金を取引することは難しいのです。
ただし、身分証を提示したからといって、その情報が自動的に税務署へ報告されるわけではありません。
③税務署は通帳や入出金履歴を把握できるから
税務署は税務調査などで必要がある場合、金融機関へ照会して、取引情報の提示を求めることがあります。
金の購入代金が銀行口座を通して動いた場合には、その取引履歴が通帳や取引明細に残るため、金の売買を行った事実は後からでも把握されます。
一度の取引だけですぐに問題視されるわけではありませんが、短期間に複数回の資金移動や不自然な入出金が続く場合には、税務署の調査対象になりやすくなります。
また、現金での取引であっても、履歴が残らないとは限りません。口座から大金を引き出した場合などは、入出金履歴から金の購入・売却が推測されるケースもあります。
④金地金はシリアルナンバーで管理されているから
金地金(インゴット)には、それぞれ固有のシリアルナンバー(製造番号)が刻印されています。この刻印は盗難防止や品質保証を目的として付けられています。
シリアルナンバーには製造元や重量、純度などの識別情報が紐づけられています。インゴットを製造・販売する業者はこの番号で商品を厳重に管理しており、同じ番号のインゴットは存在しません。
金地金を取引する際、業者はシリアルナンバーを確認して取引記録に残します。つまり、金地金の取引履歴を業者の記録と照合できる場合があります。その番号と業者側の販売記録と照合できれば、「いつ・誰が取得した金であるか」を把握できる、というわけです。
200万円以下でも金の購入は把握される?誤解されやすいポイント

先述したとおり、1回の売却利益が200万円を超える場合は、金を買い取った業者から税務署に支払調書が送られます。では、200万円以下の取引であればばれないのかというと、そうではありません。
すでに解説してきたように、金の購入では次のような状況が発生します。
- 短期間に何度も金を購入すると、税務調査の対象になりやすくなる
- 税務署は単一の取引ではなく、全体の資金の動きを見ている
- 金の購入時には身分証明書の提示が求められ、取引内容が記録される
- 金地金はシリアルナンバーで管理されている
- 銀行口座の入出金明細やクレジットカードの履歴で資金の流れを把握できる
少額の金を1回購入する程度では税務調査に入られることは考えにくいですが、税務署が金の購入履歴を調べようと思えば、金融機関への照会などが可能であるということです。
税務署が不自然な資金移動を確認した場合、詳しい税務調査の対象になることがあります。「金額を抑えれば大丈夫」という発想ではなく、「説明できる正当な取引であるか」が重要です。
金を売買した・手に入れたときに必要な対応
金を売却した場合や相続した場合、課税対象となるため、確定申告や相続税申告が必要となるケースがあり、注意が必要です。ここでは、金の購入・売却・相続においてどのような場合に税務申告が必要になるのかを解説します。
金の購入時に必要な申告はない
金を購入するだけでは何も問題はなく、特別な対応はありません。また、購入による確定申告も不要です。
50万円を超える売却益が出たら確定申告&納税
金を売却して利益が出た場合、その利益は原則として「譲渡所得」として課税対象になります。
譲渡所得には年間50万円までの特別控除があり、ほかの譲渡所得と合算したうえで売却益が50万円以下であれば課税されません。
ただし、売却益が50万円を超えた場合には確定申告が必要となります。ほかの譲渡所得と合算して50万円超になった場合も対象です。
譲渡所得の利益は「売却価格−取得費−譲渡費用」で計算され、売却額全体ではなく差し引き後の利益部分が課税対象です。
取得費が不明な場合、税法上、売却額の5%しか取得費と認められず、残り95%が利益とみなされてしまいます。たとえば、100万円で購入した金を160万円で売却した場合、差引利益は60万円となり、50万円の特別控除後の10万円が課税対象となります。
出典:No.3161 金地金の譲渡による所得|国税庁
継続的な金の売買は雑所得・事業所得になる
金の売却を継続・反復して利益獲得を目的に行う場合などは営利目的とみなされ、事業所得または雑所得として扱われることがあります。
所得区分が事業所得や雑所得に変わると、譲渡所得の50万円特別控除や長期保有時の税優遇が受けられなくなり、税率や申告方法も大きく変わるのです。
事業所得等になると、それだけ税負担が増える可能性があります。とくに投資目的での継続的な金の売買は、判断が分かれやすい領域です。税理士に相談するなど、十分注意しましょう。
出典:No.3161 金地金の譲渡による所得|国税庁
金を相続したら相続税申告が必要になる
金を相続した場合、相続税の課税対象となります。売却せず手元に保有しているだけでも、相続時点の評価額に基づいて相続税の申告が必要な場合があるのです。
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内。それまでに申告と相続税の納付を行う必要があります。
また、相続で取得した金を売却する場合は、その売却益には譲渡所得として所得税・住民税が課税される点にも気を付けましょう。
さらに、上記でも解説したとおり、相続した金の取得費がわからない場合は、売却額の5%で計算されることになります。そのため、金を相続したら取得費がわかる書類などを探すことも重要です。
出典:No.4105 相続税がかかる財産|国税庁
申告しないとどうなる?4つのペナルティ

金の売却益や相続財産を適正に申告しなかった場合、状況に応じて4つのペナルティが科される可能性があります。
以下ではこれら4つのペナルティについて詳しく説明します。
| 状況 | ペナルティ |
|---|---|
| 確定申告や相続税の申告を行わなかった | 無申告加算税 |
| 金の売買に関する情報を意図的に偽造・隠蔽した | 重加算税 |
| 期限内に税金を納付しなかった | 延滞税 |
| 本来の税額よりも少なく申告した | 過少申告加算税 |
無申告加算税が課されるケース
確定申告や相続税の申告が必要だったにもかかわらず申告をしていない場合、「無申告加算税」が課されます。金の売却益を申告していなかった場合や、相続した金を相続税申告に含めていなかったケースが該当しやすいです。
税務署から指摘を受けて申告した場合と、自主的に申告した場合では扱いが異なり、後者は加算税が軽減されることがあります。
いっぽうで、指摘後の申告では10〜20%程度の税率が適用される可能性があるのです。申告していなかった事実そのものが問題となるため、早めに対応することで結果的な負担を軽減できる場合があります。
出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁
重加算税が課されるケース
「重加算税」とは、意図的な隠蔽や仮装があった場合に科される非常に重いペナルティです。ほかの加算税に比べ税率が格段に高く、故意の隠蔽が発覚した場合の追徴課税は、税額の35〜40%にも達します。
たとえば、金の売買について事実と異なる説明をしたり、帳簿に記載せず金を隠していたりした場合などがこれに該当します。単なる申告漏れ(過少申告や無申告)と悪質なケースの違いは、「隠蔽の意図があるかどうか」です。
出典:無記帳者の重加算税について|国税庁
延滞税が発生するケース
納付期限までに税金を納めなかった場合、「延滞税」が発生します。これは期限翌日から実際に納付する日までの日数に応じ、自動的に課される「利息」に相当するペナルティです。
申告の有無にかかわらず、納付が遅れた期間に応じて日割り計算で延滞税が加算されます。たとえば、金の売却益や相続税を後から申告・修正して納付する場合でも、法定納期限の翌日から納付日までの延滞税が発生します。
延滞税は放置すればするほど増加していくため、早期に対応して税金を納めましょう。
出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁
過少申告加算税が課されるケース
「過少申告加算税」とは、実際の税額よりも申告内容が少なかった場合に課される加算税です。
金の売却益を少なく申告していたり、相続財産に金を含めていなかったりした場合など、こうしたケースが典型例のひとつとして挙げられます。
計算ミスや知識不足による申告漏れであっても、原則として過少申告加算税の対象となり、免れません。
修正申告を提出するタイミングによって、課税の扱いが異なります。税務署からの調査通知前に自主的に修正申告を行った場合は過少申告加算税は課されませんが、調査後の修正や更正では加算税(5〜10%程度)が課されます。
出典:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁
金の購入時に実践したい!トラブル回避の3つのポイント

近年、金価格は歴史的な高騰をしていることから、金を資産として持つ人が増えています。後々の売却や相続でのトラブルや損失を避けるためには、購入時からの備えが肝心です。
購入証明書や領収書をかならず保管する
金を購入した際に発行される購入証明書や領収書は、重要な資料です。これらの書類には取得時期や取得価格が記載されており、譲渡所得を算出する際の「取得費」の根拠になります。
万が一紛失すると取得費が不明とされ、売却額の95%が利益とみなされて課税され、譲渡益の確定申告で不利な税負担を強いられる可能性があります。
そのため、金の購入後はかならず書類を厳重に保管してください。再発行が困難なため紛失しないよう十分に注意しましょう。
具体的には、以下のような書類を保管します。
- 購入証明書
- 領収書
- 取引明細書
- 保証書やシリアル番号が分かる資料
資金の出どころを説明できるようにしておく
税務署が注目するのは「金を買った事実」よりも、その購入資金の出どころです。給与収入や預貯金の取り崩し、資産売却などといった、資金の流れを十分に説明できる状態にしておくことが重要です。
とくに、通帳の入出金履歴は説明資料として用いられるケースが多く、資金の流れが不明確だと不自然な取引として税務署に疑問視されかねません。
また、資金が収入に見合わないような場合、贈与を疑われる恐れもあります。現金で購入する場合でも、領収書やメモを残すなど、後から説明できるようにしておきましょう。
具体的には、以下のような説明資料が考えられます。
- 給与や賞与の振込履歴
- 預貯金の引き出し履歴
- ほかの資産を売却した際の取引記録
- 贈与を受けた場合の関連資料
これらの履歴や書類は、購入資金の流れを裏付ける証拠になるでしょう。
相続や売却を見据えて早めに整理しておく
金は購入した時点よりも、相続や売却の場面で問題になりやすい資産です。保有状況を早めに整理しておくことで、将来の相続発生時に相続人や家族が困らずに済みます。
また、相続時に必要な資料が揃っていないと、金の申告漏れや評価ミスにつながる可能性があるため注意が必要です。売却を検討する際にも、取得経緯が整理されていれば税務申告などの手続きがスムーズに進みます。
定期的に保有状況を見直すことが、不安を減らす有効な対策となります。具体的には、以下の点を整理しておきましょう。
- 保有している金の種類(地金・金貨・宝飾品など)
- 重量や数量
- 取得時期と取得価格
- 保管場所
所有する金の一覧表を作り、現物と書類の情報をまとめておくとよいでしょう。これらの情報を整理して記録しておけば、いざというときにも慌てずに対応できます。
金の売却時に注意すべき2つのポイント

金を購入する際のポイントだけでなく、売却時にも注意すべき点があります。ここでは、金を売却するときに押さえておきたい2つの重要なポイントを紹介します。
金の売却時も本人確認や取引記録が残る
金の売却時には、購入時と同様に身分証の提示など本人確認が求められるケースが多くあります。これは犯罪やマネーロンダリングを防止するための一般的な手続きで、法律により義務付けられているのです。
売却額や取引内容も業者側で記録され、台帳として厳重に保管されます。
また、記録された取引情報は法律で長期間の保存が義務づけられています。ただし、本人確認をしてもその情報が即税務署に通知されるわけではなく、後から調査があった場合に取引記録が確認される程度です。
本人確認時に提示を求められる書類は、運転免許証やマイナンバーカード、本人名義の金融機関の口座情報など。
これらの本人確認や記録は安全な取引のための措置です。
信頼できる買取業者を選ぶ
金の売却では、信頼できる買取業者を選ぶことが重要です。とくに査定内容や価格の根拠をていねいに説明してくれるかが決め手になります。
税金や手続きに関する基本的な質問に対応できるかどうかも、判断材料となるのです。逆に、手数料が不透明で説明も不十分な業者では、不安やトラブルにつながります。
安心して売却できる環境を選べば、売却後に税務署に知られるのではという不安も小さくなるでしょう。業者を選ぶ際は、以下の点をチェックしましょう。
- 査定内容や価格の根拠を説明してくれる
- 本人確認や手続きが明確である
- 手数料や条件が分かりやすい
- 相談しやすい窓口がある
また、買取サービス「ブラリバ」では、金の買取を強化しています!経験豊富な査定士が在籍しているため、金の価値を正しく見極めて査定します。
インゴットのほか、ジュエリー、壊れてしまったアイテムなどもOK。店頭買取以外にも、宅配や出張買取も行っています。金の売却を検討している方は、ぜひ一度ブラリバにご相談ください。
金の購入は税務署に把握される!正しく申告してトラブルを回避しよう
金の購入は、税務署に把握される可能性があります。売却利益が200万円以下であった場合や、現金払いをした場合であっても、資金の流れや取引状況次第では後から確認されるケースもあるのです。
ただし、金を購入しただけでは何も問題にはなりません。対応が必要なのは売却益が出た場合や相続が発生した場合です。申告を正しく行っていれば、過度に心配する必要はありません。
金は長期的な資産形成やリスク分散に役立ついっぽうで、税金のルールが多くあります。正しい知識を身につけ、必要な対策を講じたうえで、納得のいく形で金の購入・売却を進めていきましょう。

