訪問買取は違法なのか?悪質な業者が使う手口や安全な業者の見極め方

近年、金やプラチナなどの貴金属需要が高まり、自宅で手軽に売却できる「訪問買取(※特定商取引法上の正式名称は『訪問購入』)」の利用が増えています。

便利であるいっぽう、全国の消費生活センターや国民生活センターには「突然自宅を訪ねてきた業者に金製品を安く買い取られてしまった」といった、消費者の意思に反して強引に買取を迫る「押し買い」によるトラブルも報告されています。

本記事では、訪問買取と押し買いの違いを整理し、悪質業者の典型的な手口や被害時の対応策を詳しく解説します。

目次


訪問買取はすべて違法というわけではない!

「訪問買取(訪問購入)」と聞くと、「自宅に来て取引するなんて違法なのでは?」と不安に感じる方も多いかもしれません。
しかし、訪問購入は特定商取引法により一定の条件のもとで認められた取引形態です。
訪問買取とは、買取業者が依頼者の自宅を訪れ、その場で品物を査定し、依頼者が希望すればそのまま買い取る方式のこと。
この「訪問購入」は特定商取引法の規制対象となっており、法律に定められた手続きを踏んで行われる限り、正当に認められています。

具体的には

  • 事業者名・取扱商品・勧誘目的を明示する
  • 契約時に法定書面を交付する
  • 契約時にクーリングオフ制度を記載した書面を交付し、説明すること
  • 消費者の同意を得て契約を進める

といったルールを守ることで、訪問買取は安心して利用できる正当な取引です。
つまり、「訪問買取」という行為そのものが違法なのではなく、法律に基づいた正しいプロセスを踏むかどうかが重要です。


押し買いとの違いを解説

しかし、上記のルールを無視し、消費者の意思に反して契約を迫るいわゆる「押し買い」行為は、特商法の再勧誘禁止規定などに違反する行為に該当する場合があります。

たとえば、「査定だけ」と偽って訪問したり、相場より著しく低い金額を提示して売却を迫ったり、クーリングオフの説明を怠ったりするケースが典型です。

こうした行為は特定商取引法の禁止事項に該当し、悪質な場合は行政処分や刑事罰の対象となります。
次章では、実際に悪質業者が用いる典型的な手口について具体的に見ていきましょう。


悪質な訪問買取でよくある手口

押し買い業者はさまざまな手口を用いて消費者を狙います。以下では代表的なケースを事例ごとに紹介します。

事前連絡のない訪問

事前のアポイントなしに突然訪問し、「近くに来たので寄りました」「不要なものを引き取ります」などと声をかけるパターンです。

予期せぬ訪問で消費者の警戒心を下げ、その場で査定や契約を迫るのが狙いです。

虚偽の説明で誘導

「古着や日用品を回収しています」と言いながら、実際には金や宝飾品を強引に求める手口です。

なかには「無料で査定します」「値段だけ見てください」と言って入り込み、後から強引に売却を迫る事例も確認されています。説明と実態が食い違う点が大きな特徴です。

社会貢献を装った偽装取引

「チャリティー活動」「被災地支援」「国際援助」などを名目にし、消費者の善意につけ込むケースです。一見社会的に意義のある活動に見せかけながら、実際は相場を大きく下回る価格で買取を迫る詐欺的行為です。

最近では「災害支援」や「海外難民支援」を語った訪問事例も報告されています。

高圧的な態度や居座り

当初は丁寧な態度を装っていても、途中から一変して強引な言動に出たり、玄関先や室内に長時間居座るケースがあります。心理的な圧力をかけ、「断りにくい状況」を意図的に作り出すのが特徴です。

とくに高齢者がターゲットとなりやすく、被害が深刻化する要因となっています。

著しく低い査定額の提示

相場を無視して極端に低い価格を提示し、「今すぐ現金化しないと価値が下がる」「今日だけ特別価格」などと誤解を与えて即決を迫る手口です。

根拠を示さず安値で買い取る行為は、消費者に大きな損害を与える典型例です。

大手企業を装ったなりすまし

「テレビCMで有名な会社です」「大手グループの関連会社です」と名乗り、実際には無関係な業者であるケースです。名刺や看板、チラシを偽造して信用を装い、取引を有利に進めようとします。

こうした偽装にだまされないためには、必ず古物商許可証や会社情報を確認する必要があります。

個人情報の収集を目的とした訪問

買取を口実に家に入り込み、金庫や貴金属の保管場所、生活習慣、家族構成などを探る事例もあります。

これらの情報が後日犯罪に悪用される危険性があり、金銭的被害にとどまらないリスクがある点に注意が必要です。


実際にあった悪質な訪問買取(訪問購入)の被害事例

押し買いは単なる理論上のリスクではなく、全国の消費生活センターや自治体に多くの相談が寄せられている現実的な問題です。
被害者の多くは高齢者を中心に、「売るつもりのなかった貴金属を強引に買い取られた」「断ってもしつこく居座られた」といった状況に直面しています。

ここでは、公的機関が公表している実際の事例を紹介し、どのような場面でトラブルが発生しているのかを確認していきます。

①東京都中央区での事例

年配の女性が「何でも買い取ります」という電話を受け、洋服の訪問買取を了承しました。ところが業者は来訪時に「貴金属はありませんか」と強く迫り、持ち出した金歯やネックレスをその場で査定。契約書に署名・捺印をさせられ、最終的に2万5,000円で持ち去られてしまった事例が報告されています。

出典:中央区 消費生活センター

②三重県伊勢市での事例

「皿だけを売るつもりだったのに、売る予定のなかった時計や貴金属を強引に買い取られた」「断ってもしつこく居座られ、結果的に相場よりも安い価格で貴金属を売らされてしまった」といった相談が寄せられています。

出典:伊勢市 消費生活センター

③埼玉県吉川市での事例

不用品を買い取ると言って自宅を訪問しながら、断ってもしつこく居座るケースや、個人情報を執拗に聞き出されるケース、さらに売るつもりのなかった貴金属を強引に買い取られたという事例も報告されています。

出典:吉川市 消費生活センター

④国民生活センターに寄せられた事例

電話で事前に来訪を約束したうえで突然訪問し、「少しだけ見せてください」と強引に家に上がろうとする業者の事例が報告されています。こうした行為は典型的な押し買いの手口とされ、注意喚起がなされています。

出典:国民生活センター


押し買い業者を見分けるチェックポイント

安心して訪問買取を利用するためには、事前に業者の信頼性を見極めることが欠かせません。

以下のポイントを確認することで、悪質業者を避ける手がかりになります。

事前のアポイントがあるか

突然訪問してくる業者は、消費者に冷静な判断をさせないことを狙っている可能性があります。正規業者は必ず事前に連絡を行い、日程を調整します。

会社名・担当者名・住所を明示しているか

身元を明かさない、あるいは曖昧にする業者は信頼できません。会社概要や担当者の氏名をしっかりと提示することが基本です。

古物商許可証や行商従業者証を提示するか

訪問買取(訪問購入)を行うには、古物営業法に基づく「古物商許可証」が必須です。
買取業者がこの許可を受けていない場合、法令違反にあたるおそれがあります。

また、古物商が店舗外で取引を行う場合(いわゆる出張買取や行商)には、行商従業者証の携帯義務が課されています。

これらを求めても説明をあいまいにしたり、提示を拒んだりする場合は、違法業者または悪質事業者の可能性が高いと考えられます。

契約書・申込書を必ず交付するか

訪問買取では、取引内容を記載した書面を交付する義務があります。書面を渡さない、または不十分な記載しかない業者は要注意です。

クーリングオフの説明を行っているか

消費者には、契約を無条件で解除できるクーリングオフ制度が認められています。これを説明しない、あるいは権利行使を妨げる態度を取る業者は違法性が疑われます。

査定や契約を玄関先で済ませようとするか

信頼できる業者は、必要以上に室内へ入ろうとせず、玄関先で手続きを完結させます。
逆に、居間や寝室などに入り込もうとする業者は、貴金属や現金の保管場所を探るなど、悪質な意図を持っている可能性があります。

もし「中で詳しく見たい」「座って話したい」などと促されたとしても、玄関先から上げずに対応するようにしましょう。

提示価格が相場と大きく乖離していないか

相場を大幅に下回る査定額を提示された場合は注意が必要です。事前に市場価格を調べておくことで、適正かどうかを判断しやすくなります。

実店舗や所在地が確認できるか

実際に足を運べる店舗や、明確な所在地を持つ業者は安心感があります。住所や電話番号が曖昧な場合は要注意です。


悪質な訪問買取から身を守るための対応ガイド

いわゆる『押し買い』と呼ばれる不当な訪問購入行為を防ぐためには、事前に防ぐ行動と、万一契約してしまった後の対応の両方を知っておくことが大切です。以下に代表的な対処法をまとめます。

とにかく家に入れない・はっきり断る

押し買い業者はその名の通り「押しの強さ」で契約を迫るケースが多いため、一度家に入れてしまうと被害に遭うリスクが高まります。

アポイントなしで突然訪問する業者は、原則として自宅に入れないことが重要です。断るのが苦手な方にとっては負担となるかもしれませんが、毅然とした態度で対応することが自衛につながります。しつこく居座る場合には、警察に通報することも有効な手段です。

古物商許可証を確認する

訪問買取を行うには、古物商許可証の携帯が法律で義務付けられています。提示を求めても拒否したり、曖昧な説明をしたりする業者は違法の可能性が高いでしょう。

ただし、悪質業者の中には偽造した許可証を示すケースもあるため、これだけで判断せず、会社名や所在地も併せて確認することが望ましいです。

契約書・申込書の交付を要求する

「断りきれずに契約してしまった」という場合には、必ず契約書や申込書の交付を求めましょう。
訪問買取(訪問購入)では、契約時に書面を交付することが特定商取引法で義務付けられています。
これを拒否する業者は法令違反に該当します。

とくに重要なのが、契約書内の「クーリングオフに関する記載」です。
契約書面(法定書面)では、クーリングオフに関する事項を赤枠・赤字・8ポイント以上で明記するよう定められています。

この記載がない契約書を提示する業者は、違法または極めて悪質な可能性が高いといえます。

特定商取引法におけるおもな義務

訪問購入を行う業者には、以下の事項が法律で定められています。

  • 勧誘前に事業者名・目的の明示
  • 飛び込み訪問や再勧誘の禁止
  • 勧誘前の事前説明義務および契約締結時の書面交付義務

書面には「契約内容」や「解除に関する事項」を記載し、注意事項は赤枠・赤字で明示する必要があります。

出典:訪問購入|特定商取引法ガイド 消費者庁

クーリングオフを行使する

訪問買取契約は、法律に基づき法定書面を受け取った日から8日以内であれば、無条件で解除できます。書面のほか、電子メールなどの電磁的記録による通知も認められています。契約後に不審に思った場合は、速やかにクーリングオフを行使することが被害回復につながります。

消費生活センターや警察へ相談する

対応に不安がある場合やトラブルが拡大している場合には、地域の消費生活センターや国民生活センターに相談しましょう。悪質性が強い場合や脅迫的な態度が見られる場合には、速やかに警察へ通報してください。

証拠を残す

契約書や名刺、訪問日時、やり取りの記録は後の対応において重要な証拠となります。可能な限りメモや録音を残しておきましょう。


安心して任せられる業者の見極め方

訪問買取や出張買取を安心して利用するためには、信頼できる業者を選定することが何よりも重要です。
悪質業者を避けるためには、以下のような基準をチェックしましょう。

複数の実店舗を運営しているか

信頼できる業者は、所在地が明確であり、実際に訪問できる複数の店舗を運営しています。所在地が不明確、または事務所が存在しない業者は注意が必要です。

実績や口コミが確認できるか

公式サイトでの実績公開や、第三者による口コミ・評判が確認できる業者は比較的安心です。とくに買取事例や相場の情報を透明性高く公開しているかが一つの指標となります。

許可証や契約書の対応が適正か

古物商許可証の提示を徹底し、契約時には必ず申込書や契約書を交付する業者を選ぶべきです。クーリングオフの記載を含む法定書面を適切に発行するかどうかは、業者の信頼性を測る大きなポイントです。

訪問買取や出張買取でも見積もり内容は明確か

訪問買取や出張買取を利用する際は、査定額だけでなく、その根拠を明確に説明できるかどうかが重要です。
正規の業者であれば、品物の状態・相場・査定基準を具体的に示したうえで金額を提示します。

いっぽうで、説明を避けて金額だけを提示する業者は、トラブルや不当な取引につながるおそれがあるため注意が必要です。

公的機関や業界団体と関わりを持っているか

国民生活センターや自治体は、悪質業者に対する注意喚起を行っています。こうした公的機関や業界団体と連携・協力する姿勢を示している業者は、透明性や社会的信頼性が高いといえるでしょう。日本リユース業協会などの業界団体に加盟しているか、または行政が主催する啓発活動に参加している業者であれば、安心材料のひとつになります。

こうした条件を満たす業者は、法令を遵守し、健全な取引を心がけている可能性が高いと考えられます。反対に、所在地や実績が曖昧で、書面交付を怠るような業者は避けるのが賢明です。

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訪問買取そのものは合法的な取引方法ですが、悪質業者による「押し買い」は法律で禁止された違法行為です。無断訪問や虚偽説明、クーリングオフ妨害などの手口は、全国各地で実際に被害として報告されています。

こうしたトラブルを避けるためには、まず自宅に安易に業者を入れないこと、古物商許可証や契約書を必ず確認すること、そして不審に感じた場合には速やかにクーリングオフや相談機関を活用することが重要です。信頼できる業者を選ぶことが、安心して資産を取引するための最大の防止策となります。

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